天然ビタミンCの爆弾「ローズヒップティー」の効果・効能とは?副作用など。
真っ赤な小さい実一粒に、豊富な栄養分を蓄えている果実「ローズヒップ」。
特に、ビタミンCはレモンの約20倍以上も含まれており、「天然ビタミンCの爆弾」とも呼ばれています。
ローズヒップを乾燥させ煎じたローズヒップティーは、上品な香りに爽やかな甘みと酸味が魅力で、ノンカフェインなので妊婦さんやお子さんにも安心なハーブティーです。
ここでは、ローズヒップの栄養や効果・効能、ローズヒップティーの美味しい淹れ方、アレンジ方法などをご紹介します。
ローズヒップとは?
ローズヒップは、バラ科バラ属の果実で、特にイヌバラと呼ばれるバラで採取されます。
実の大きさは2㎝ほどで、赤く卵のような形をしています。
イヌバラは、英語ではドッグローズと呼ばれ、ローマ時代には狂犬病にも効くとされたことから、名付けられたと言われています。また、「薬物誌」にその効能と処方が記され、中世ドイツでは民間療法に用いられるなど、ヨーロッパでは薬用として重宝されてきました。
特に、ビタミンCがレモンの20〜40倍も含まれており、「ビタミンCの爆弾」という異名をもつほど、美肌効果が高いとされています。
ローズヒップは生のまま使用されるだけでなく、ドライハーブやオイルに加工されます。
ローズヒップのオイルには保湿効果があるとして、化粧品としても人気が高く、乾燥させたローズヒップを煎じたローズヒップティーは、爽やかな甘みとほのかな酸味が魅力です。
ローズヒップの歴史
ローズヒップが世界中に注目されるようになったきっかけは、第二次世界大戦までさかのぼります。
ドイツ軍の潜水艦封鎖により物資の補給が断たれてしまったイギリスでは、柑橘類が不足していました。そこでイギリス政府は、当時、死の病として恐れられていた壊血病(ビタミンCが欠乏して起こる病気)の流行を防ぐため、国全体にローズヒップを摘むように呼びかけました。そして採取したローズヒップでビタミンCが含まれたシロップをつくり、栄養補給をしたといわれています。このような出来事がきっかけで、ローズヒップの高い健康効果が世界中に知られるようになりました。
参考:「美肌に導くハーブを学ぶ:ローズヒップ」特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会
ローズヒップの栄養・効果効能
ローズヒップの栄養成分は、ビタミンCやビタミンA、ビタミンEなどのビタミン類、鉄などのミネラル、赤色のカルテノイドであるリコピン、プロアントシアニジンなどのポリフェノールなどです。
特に、ビタミンCの含有量がレモンの約20倍にも及ぶことから、『ビタミンCの爆弾』と呼ばれるほどで、さらに、熱に弱いビタミンCを壊れにくくする作用があるバイオフラボノイド(ビタミンPなど)が20%も含まれているので、ビタミンCを酸化しにくくし、体内でより効率的に吸収させやすくしてくれます。
ローズヒップの効果・効能をみてみましょう。
美肌効果
ローズヒップに豊富に含まれるビタミンCやビタミンEには強い抗酸化作用があり、肌の構成成分であるヒアルロン酸やエラスチン、コラーゲンなどの劣化を抑制し、さらに、ビタミンCには、コラーゲンの生成を促進する作用もあり、肌のハリを保つ効果も期待できます。
また、ビタミンCは、シミの原因であるメラニン色素を生成する酵素チロシナーゼのはたらきを阻害し、メラニン色素の生成を抑え、シミやくすみなどを予防するなど美肌効果が期待できます。
参考:「ローズヒップ(Rosa canina L.)のマウス黒色腫細胞のメラニン形成および褐色モルモットの色素沈着に対する阻害効果」National Library of Ⅿedicine
整腸作用・便秘対策
ローズヒップに含まれる水溶性食物繊維ペクチンは、腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整えるはたらきがあります。それにより、便秘の予防にもなります。
免疫力向上
ローズヒップに含まれる豊富なビタミンCには、血中に入り、風邪菌などの細菌やウイルスを攻撃するはたらきがある白血球を活発化させるはたらきがあり、それにより免疫機能が強化され、病気への抵抗力を高める効果があります。
参考:「新型コロナウイルスービタミンCによるCOVID-19対策」日本生活習慣病予防協会
精神の安定
ローズヒップには、身体と感情をリラックスさせ、ストレスを軽減するはたらきがあるとされ、精神を安定させてくれる効果が期待できます。
参考:「ストレス軽減に働くローズヒップ+ハイビスカス」AEAJ
ダイエット効果
ローズヒップに含まれるポリフェノールの一種であるティリロサイドには、脂肪の代謝を促して脂肪燃焼をスムーズにし、体脂肪を低減させる効果があるとされています。
またビタミンCには、脂肪の栄養源となるブドウ糖の供給を防ぐとともに、脂肪を燃焼させるはたらきもあります。
これらの作用により、ダイエット効果が期待できるとされています。
参考:「ローズヒップ由来ティリロサイドを含む食品の体脂肪を減らす作用について」
生活習慣病の予防
ローズヒップに含まれる水溶性食物繊維ペクチンには、腸内細菌へ作用することで炎症を調節し、直接免疫細胞へ作用することで過剰な免疫細胞の活性化や炎症を制御するはたらきがあります。それにより、炎症に関する様々な慢性疾患や生活習慣病の予防が期待できます。
参考:「ペクチンの抗炎症活性構造の同定と作用機序の解明」KAKEN
アレルギー症状の緩和
ローズヒップに含まれるペクチンには、 腸内環境を整える · 排便を促す · 大腸のバリア機能を高めるなど健康維持に関与している短鎖脂肪酸の産生量を増加させ、アレルギーなどの免疫系疾患を緩和させるはたらきがあります。
参考:「ペクチン摂取による生理機能制御と疾病予防効果」農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター
ドライローズヒップの作り方
ローズヒップを長期保存したい場合はドライハーブにしましょう。
いつでも使えて、長持ちするのでとても便利です。
天日干しで作る方法
<作り方>
1.よく実を洗い、水気を拭く
2.包丁で実をカットして、スプーンなどで中の種とワタを取り出す
3.ペーパータオルを敷いた皿やバットなどに②を置き、風通しのよい日陰で1か月ほど自然乾燥させる
自然乾燥中は湿気やカビに注意が必要ですが、マイルドな風味に仕上がります。
トースターで作る方法
〈作り方〉
1.よく実を洗い、水気を拭く
2.包丁で実をカットして、スプーンなどで中の種とワタを取り出す
3.オーブンシートを敷いた耐熱皿に②を置き、トースターで15~20分乾燥具合をチェックしながら温める
焦げないように注意しましょう。
天候に左右されず作れる簡単な作り方です。
ローズヒップティーの美味しい淹れ方
【2人分】
・ローズヒップ ティースプーン2杯
・お湯 300ml
1.ティーポットにローズヒップを入れ、沸騰したお湯を注ぐ
2.フタをして3分ほど蒸らす
ローズヒップティーは、乾燥させたローズヒップをお湯に浸して作るハーブティーの一種です。爽やかな酸味とほのかな甘みが特徴です。
〈ポイント〉
ローズヒップはカットの細かさによって、蒸らし時間が異なります。
細かくカットされているファインカットは約3分、粗くカットされているシェルカットは約7分が目安です。
ローズヒップのエキスをしっかり抽出したい場合は、実をつぶしてから使うのがおすすめです。
ローズヒップティーの美味しい飲み方
〈はちみつや砂糖などで甘みをプラスする〉
甘酸っぱい風味のローズヒップティーは、はちみつや砂糖などを加え、甘みを少し足すだけで飲みやすくなります。
〈フルーツやジュースを加える〉
ローズヒップティーは柑橘系のフルーツとの相性がよく、カットしたフルーツを入れたり、ジュースを加えるのもおすすめです。
〈牛乳や豆乳でミルクティーにする〉
まろやかな味わいを楽しみたい場合は、牛乳や豆乳などを加えても美味しくいただけます。
〈効果的に飲むなら実ごと食べる〉
ローズヒップティーの健康・美容効果をしっかりと感じたいなら、ローズヒップの実ごといただきましょう。実を食べることでより効果を期待できます。
ローズヒップティーとハイビスカスティーの相乗効果!
ローズヒップティーは、ハイビスカスティーとの相性が良く、また、様々な相乗効果が期待できることで注目されています。
ハイビスカスには、クエン酸やビタミンC、リンゴ酸、カリウム、アントシアニンなどの栄養成分が含まれており、さまざまな健康効果が期待できるとされています。
どのような相乗効果があるのかみてみましょう。
ビタミンの相乗効果
ローズヒップはビタミン全般が豊富ですが、特に注目したいのがビタミンCで、ハイビスカスにも豊富に含まれています。
そのためローズヒップは、ハイビスカスティーと相性のいいハーブといわれています。ローズヒップティーと一緒に飲むことで、ハイビスカスの美容効果がさらにアップすることも期待できます。
身体と心にもたらす相乗効果
ローズヒップには、身体と心をリラックスさせストレスを軽減するはたらきがあり、またハイビスカスには安眠を促すはたらきがあります。就寝前に飲むことでリラックスし、質の良い睡眠をサポートしてくれます。
脂肪燃焼の相乗効果
ローズヒップに含まれるポリフェノールは、脂肪を燃焼させるはたらきがあるとされ、また、ハイビスカスに含まれるリンゴ酸は、エネルギーを作り出す際に脂肪を分解します。このことから、ハイビスカスティーとローズヒップティーを一緒に飲むことで脂肪燃焼の相乗効果が期待でき、ダイエット効果が期待できます。
妊婦さんにおすすめの相乗効果
ハイビスカスもローズヒップも、妊娠中や授乳中の飲み物におすすめのハーブです。ただし、ハイビスカスには身体を冷やす作用があるため、薄めにしてホットで飲むようにしてください。
ハイビスカスティーには、妊娠中毒症やむくみを改善する働きがあるといわれ、ローズヒップティーにはつわりを抑える働きがあるといわれています。
一緒に飲むことで相乗効果が期待でき、妊婦さんや授乳中の方にもおすすめです。
ローズヒップティーは妊婦さんにもおすすめ!
ローズヒップティーは、妊婦さんにおすすめのハーブティーの一つです。
その理由は以下の通りです。
・妊娠中に気を付けたい成分であるカフェインが含まれていないので、妊娠中・授乳中でも安心して飲めます。
・ローズヒップティーには豊富なビタミン類だけでなく、妊娠中に不足しがちな鉄分やカルシウムなどのミネラルも豊富!妊娠中に起こりがちな便秘や免疫力の低下に効果が期待できます。
・ローズヒップティーは妊娠中の体のケアはもちろん、心のケアにも役立ちます。
ローズヒップティーのアレンジレシピ
ホットレモネード
・レモン汁 大さじ1〜2
・はちみつ 大さじ1
・ローズヒップ ティースプーン1杯
・熱湯 150ml
・レモンスライス 1切れ
1.ポットにローズヒップ、お湯を入れて蓋をし、3分ほど蒸らす
2.カップにレモン汁、はちみつを入れて混ぜる
3.①を注ぎ、混ぜ、レモンスライスをのせる
甘酸っぱいレモネードの出来上がり♪
就寝前のドリンクにおすすめです。
ローズヒップゼリー
・ゼラチン 5g
・ローズヒップティー 約200ml
・砂糖 大さじ3
・ホイップクリーム 適量
・果物 適量
1.ローズヒップティー約200mlに、溶かしたゼラチン(薄く水を敷いてゼラチン粉と共にレンジで温める)、砂糖を混ぜる
2.ローズヒップティーゼリー原液の粗熱を取った後に冷蔵庫に3時間ほど冷やす
3.冷やし固まったゼリーの上にホイップや果物を飾り付ける
ビタミンCたっぷりのヘルシーゼリです。
妊婦さんやお子さんにもおすすめです。
ローズヒップティーの飲み過ぎによる注意点・アレルギーや副作用
ローズヒップティーの飲み過ぎやローズヒップの食べ過ぎは、お腹を下したり腎臓に負担をかけて結石の原因になる恐れがあります。
1日3~4杯を目安として、適度な量を心がけましょう。
シラカバやハンノキなどの花粉症がある方や、バラ科の植物アレルギーのある方は、アレルギー反応が起こる場合があるので注意が必要です。
まとめ
ノンカフェインで妊婦さんにもお子さんにも安心のローズヒップティー。
ビタミンやミネラルが豊富で、特にビタミンCはたっぷりでさまざまな美容・健康効果が期待できます。
毎日飲み続けることで効果が実感できます。
はちみつや牛乳を加えるなどアレンジするとぐっと飲みやすくなりますので、上手に取り入れてみましょう。