紅茶の長期保存方法とは?賞味期限が切れた紅茶の活用法など。

紅茶には、インド産のダージリンやアッサム、スリランカ産(セイロンティー)のウバ、中国産のキーマンなどがあります。ほかにも、フレバーティーのアールグレイやイングリッシュブレックファーストなども紅茶です。
紅茶に使われている茶葉は、実は緑茶とウーロン茶と同じもので、これらはみな「カメリア・̪シネンシス」という植物の葉から作られています。フレッシュな味わいの緑茶を発酵させて赤みとコクが増したものがウーロン茶で、さらに発酵を重ねることで、芳醇で香り豊かな紅茶が誕生します。
この芳醇で豊かな香りや風味を長く楽しむためには、保存場所や適した容器に保存することが重要です。
ここでは、紅茶の正しい保存方法や長期保存するときの注意点、紅茶の賞味期限、劣化した紅茶の見分け方、賞味期限の切れた紅茶の活用法などをご紹介します。
紅茶の正しい保存方法・長期保存する際の注意点

紅茶の正しい保存方法、または長期保存する際は、以下の3点がポイントです。
・遮光容器に入れて密封して保存する
・直射日光の当たらない冷暗所で常温保存をする
・湿度が低い場所で保存する
一度開封したお茶は、納品時に紅茶が入っていたアルミの袋のまま、保存容器に入れ常温で保存するのがおすすめです。
ポイント①:遮光容器に入れて密封して保存する
紅茶は湿気や酸素に弱いため、密閉容器に保存することが重要です。
空気に触れると酸化が進み、紅茶の風味が落ちる大きな原因になります。
袋のまま保存する場合は、袋を密閉して空気に触れさせないようにしましょう。
ポイント②:冷暗所で保存する
開封・未開封にかかわらず、紅茶は直射日光の当たらない冷暗所で保存しましょう。
直射日光に当たると茶葉の成分が分解され、風味が損なわれてしまいます。
ポイント③:湿度が低い場所で保存する
紅茶は、湿度の高い場所で保存すると、茶葉が湿気を吸ってしまい、酸化が進んだりカビが発生するなど、風味が損なわれる原因となります。
特に日本の場合、湿度が高くなる梅雨時期や夏場には注意が必要です。
湿気が気になる場合は、シリカゲルや乾燥剤と一緒に保存しましょう。
紅茶の賞味期限

「賞味期限」とは、未開封の状態において保存したときの期限が示されたものです。
開封後は、本来の風味が徐々に失われていきますので、期限に関わらずなるべく早めに消費する必要があります。
未開封の場合は1~3年
未開封の場合、製品のメーカーや包装の仕方にもよりますが、賞味期限は1年~3年で記載されているものが一般的です。
適切に保存されていれば、缶入りのリーフティー(茶葉)や、アルミパックに入ったティーパックは3年、紙パッケージに入ったティーパックは2年が目安とされています。この期限内でしたら茶葉そのもののよい香りが楽しめるでしょう。
開封済みの場合は1~3ヶ月
開封後は、1~3ヶ月で消費するとよいでしょう。
開封されて空気に触れたときから、紅茶の劣化が進み風味が落ち始めます。
ただし、開封後でも保存状態が良ければ、この期限を過ぎても美味しく味わえることもあります。
やってはいけない紅茶の保存方法とは?

紅茶の保存をする際おもわずやっていませんか?
以下の保存方法は、紅茶の劣化を進めてしまいますので気をつけましょう。
・ジップロックに入れる
・匂いの強いものと一緒に置く
・冷蔵庫・冷凍庫に入れる
・キッチンやレンジの近くに置く
・ガラス瓶で保管する
ジップロックなどの保存袋は、透明なので光を吸収してしまうので適しません。また、匂いや香りの強いものの近くに置くと、匂い移りをし、茶葉本来の香りが消えてしまいます。
また、冷蔵庫や冷凍庫での保存は、NGです。
冷蔵庫や冷凍庫の中は意外と湿気があるうえ結露も発生します。結露により茶葉が水分を吸収してしまい劣化の原因になります。また、ほかの食べ物の匂いが移りやすい場所でもあります。
そして、置きがちなのがキッチンやレンジ周り。
キッチンやレンジの近くに保管すると、熱によって茶葉がダメージを受けてしまいます。
最悪の場合、開封していないのに茶葉が傷んでしまう恐れもあるため、火の近くや熱が加わる場所の近くは避けて保存しましょう。
ガラス瓶は見た目おしゃれなのですが、光を通すので紅茶の長期保存には向きません。 紅茶が光に当たると酸味のある独特の匂い(日光臭)が出てきて、1週間ほどで風味が落ちていきます。透明な容器を使いたい場合は、1週間で飲み切れる量だけ入れて、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
紅茶の保存容器を選ぶポイント!
紅茶は保存場所だけでなく、適した保存容器を選ぶことが大切です。
ポイントは、
◆素材・遮光性
◆気密性
◆サイズ
◆デザイン
詳しくみてみましょう。
素材・遮光性
紅茶の保存には、陶器やステンレス素材の、密封できて光を通さない容器が向いています。アルミ製のチャック付き袋も、空気を押し出してからチャックできるので便利です。
また、プラスチックは安価で軽く、取り扱いしやすいのがメリットですが、遮光性に欠け、匂いも移りやすいので適しません。
気密性
紅茶は湿気に弱いので、気密性の高い保存容器を選ぶことが大切です。
パッキン付きや中蓋付きのものでしっかり密閉できるものであれば外気に触れずに保管することができます。
サイズ
保存容器の大きさは、1ヶ月程度で飲み切れるサイズのものを選びましょう。
容器のサイズが大きすぎると、その分、空気や湿気に触れ、劣化の原因になります。
大量に茶葉がある場合は少量を小さめの容器に入れ、残りは密封性の高い容器に保存しましょう。
デザイン
せっかくの楽しいティータイムです。
お気に入りの紅茶を淹れる時に手にする容器は、見ていて気分が上がるものがいいですよね。
機能をふまえた上で、保存容器のデザインにもこだわってみましょう。
さまざまな種類の紅茶を保管するのであれば、容器のデザインをそろえてみてください。すっきりしてスタイリッシュに見えますよ。
紅茶におすすめの保存容器

保存容器を選ぶポイントをおさえて、以下のような保存容器がおすすめです。
・ステンレス製キャニスター
・アルミ製キャニスター
・銅製キャニスター
・ブリキ製キャニスター
・木や竹で作られた茶筒
・ジッパー付きアルミ袋
※キャニスターとは金属製のふた付き容器のことです。
ステンレス製やアルミ製は、中蓋やパッキン付きのスクリュータイプがいいでしょう。
どちらも、金属の中でも特に錆びにくく、耐食性に優れ、軽くて取り扱いやすいのが特徴です。匂いも移りにくく、茶葉の保存に適しています。
気密性の高いものなら銅製もおすすめです。
銅もステンレスやアルミと同様、耐食性に優れています。銅の最大の特徴である抗菌作用が、紅茶の鮮度を保ってくれます。
鉄の表面を錫(スズ)でメッキしたブリキは、多くの飲料缶・保存食である缶詰に使用されています。外国のアンティークな紅茶缶やお菓子の缶でもよく目にする素材です。
ブリキは耐食性に優れているので、紅茶の保存容器としておすすめです。しかし、スズは腐食しにくいのですが、一部でも鉄が露出してしまうと腐食が進んでしまいます。錆びやすいというデメリットはあります。
茶筒は本来、日本の煎茶の茶葉を保存するために作られた容器なので、中蓋が付いていて、蓋が隙間もなく閉まる気密性の高い茶筒は、紅茶の保存にも向いています。
アルミ袋は、開封前の保存袋としてよく使われているほどなので、食品の保存には最適です。
内容量に応じて中の空気を抜くことができ、口を締める前になるべく空気を抜くことで、より酸化を防げるのもメリットです。
すぐ使う少量をお気に入りの容器に保存し、残りの茶葉やティーバッグなどをジッパー付きのアルミ袋で保存すると良いでしょう。
飲まない方がいい紅茶の見分け方
紅茶が劣化しているかどうか、香りや見た目、風味や味での見分け方をみてみましょう。
紅茶特有の香りがしない
茶葉が古くなってくると、紅茶特有の華やかな香りが感じられなくなります。
特に、茶葉に香りをつけているアールグレイなどはわかりやすいです。
また、茶葉が酸化すると、酸化した油のような臭いやカビのような臭いが感じられる場合もあります。これは、茶葉が古くなっていますので、絶対に飲まないようにしましょう。
茶葉が湿っている
茶葉を開封して長く保管すると、茶葉が水分を含み湿ってきます。原因は、湿度の高い環境や不適切な保存容器での保存など開封後の保存が不適切であることが挙げられます。
茶葉が湿ると茶葉同士がくっついて固まることもあるので見た目で判断しやすいです。
この場合も、茶葉が劣化しているので、飲むのは控えたら方がいいでしょう。
風味が感じない・変な味がする
紅茶は、爽やかな香りや風味豊かな味わいが特徴ですが、古くなって酸化が進んだ紅茶は香りが飛んでしまうだけではなく、紅茶特有の風味も感じにくくなってしまいます。
紅茶の味があまりしない・なんか変な味がする・酸っぱいなどと感じた場合は、茶葉が劣化しています。
茶葉が黒っぽくなっている
一般的に、紅茶の茶葉は濃い茶色をしていますが、劣化してくると黒っぽく変色します。
ただし、製法によっては初めから黒っぽい色をした茶葉もあるため、一概には言えません。
賞味期限の切れた紅茶の活用方法

賞味期限が切れた紅茶は保存状態が良ければ飲むこともできますが、香りや風味が落ちた程度でしたら、料理に使ったり、うがい液として利用できます。口にするのは躊躇われる場合は、消臭剤や掃除用具として活用してみましょう。
紅茶風呂として
紅茶風呂とは、浴槽に紅茶を入れた入浴方法です。
紅茶には、肌の漂白剤とも呼ばれ美白化粧品にも配合されている成分「ハイドロキノン」、抗酸化作用の高い「紅茶ポリフェノール」、リラックス作用の高い「テアニン」などの成分が豊富です。
美容効果やリラックス効果が期待できます。
紅茶のティーバッグや茶葉を布袋に入れてお風呂に浮かべるだけで、手軽に紅茶風呂を楽しむことができますよ。
参考:「紅茶エキスを有効成分とする肌質改善用組成物」
消臭剤として
紅茶の茶葉には、匂いを吸収する特性があります。
賞味期限が切れた紅茶の茶葉を乾燥させて、小さな袋に入れ、靴箱や洋服棚、冷蔵庫などに置いておくと、嫌な匂いを吸収してくれます。
ティーバッグの場合はそのまま使うことができます。
消臭剤の使用期限は2週間ほどですが、茶葉の状態によっては短くなります。
参考:「草木染めを利用した消臭機能布に関する研究」東京家政大学生活科学研究所研究報告 第38集
掃除用具として
紅茶に含まれるタンニンには、抗菌作用や殺菌作用があり、鏡やガラスの汚れを取るのに効果的です。
冷ました紅茶を鏡やガラスにスプレーし、乾いた布で拭くと汚れが落ちやすくなります。また、木製家具のお手入れには、紅茶を木製家具に塗布し、乾かした後に乾いた布で磨くことで、汚れを取り、艶を出してくれます。
環境にもやさしく、エコな活用法です。
※色素が残る可能性があるため、使用する場所には注意しましょう。
うがい液として
賞味期限の切れた紅茶は、「うがい液」にして利用してみましょう。
紅茶には「テアフラビン」という成分が含まれ、インフルエンザウィルスを無力化する能力が高いとされています。
ほかにも、紅茶ポリフェノールには喉の粘膜を保護したり痛みを緩和させたりする働きがあるため、喉の不調を感じている人にもおすすめです。
ただし、茶葉の匂いがおかしかったり、カビなどが発生してしまっている茶葉は使用しないでください。
参考:「高機能紅茶飲料の開発」鳥取県産業技術センター研究報告 No.15 (2012)
参考:「紅茶のインフルエンザウイルス感染阻止力の研究について」三井農林お茶化学研究所
料理やお菓子作りに
賞味期限が切れてしまっても茶葉の状態がよければ、細かく砕いてクッキーやケーキの生地に混ぜ込んだり、豚肉ブロックを紅茶で煮込んで、臭み消しとして使うなど、お菓子作りや料理などにも活用することができます。
肥料として
うがいや料理にも使えない紅茶は、家庭菜園などの肥料として再利用することもできます。
乾燥させた紅茶の茶葉を土の上にパラパラと撒くか、茶葉を少しづつ土の中に混ぜることで、植物の成長に役立つといわれています。
コンポストで堆肥化してから使うと、より植物に栄養が吸収されやすくなります。
動物性の肥料より匂いが気にならないのも利点です。
参考:「肥料成分調整堆肥の製造と肥効特性」群馬県畜産試験場研究報告 = Bulletin of the Gunma Animal Husbandry Experiment Station
草木染として
草木染めとは、植物の着色効果を利用して布を染めることです。
ハンカチや手ぬぐいなどさまざまな素材を染めたり、綿や麻の洋服をナチュラルな色合いに染めることができます。
紅茶の淡いカラーで自然の温もりが感じられる優しい風合いになります。
まとめ

紅茶は、賞味期限が過ぎても保存状態が良ければ美味しく飲むことができます。
香りや風味が落ちても、紅茶の効能を活かしたさまざまな活用法がありますので、最後まで紅茶を堪能してみてください。