ティーツリーとは?効能や精油(オイル)の使い方、相性の良い精油など。

森林の中にいるような爽快ですっきりとした香りが特徴の「ティーツリー」。
オーストラリアが原産の植物で、抗菌・抗ウイルス作用などさまざまな効能があるとして、先住民アボリジニは、古くから、咳や風邪の治療や、傷薬、抗菌薬などの万能薬として愛用していたといいます。
ここでは、メディカルティーツリーとも呼ばれるティーツリーの優れた効能や、精油の暮らしに役立つ取り入れ方、ブレンドにおすすめの精油などをご紹介します。
ティーツリーとは?

ティーツリーは、フトモモ科の常緑樹で、原産地はオーストラリアです。沼地や湖畔など湿地に自生しており、世界に300種ほどの品種があるといわれています。
葉は小さく細長い楕円形で、この葉を水蒸気蒸留させて精油を作ります。
羽毛状の白い花を咲かせ、幹は7mほどまでに成長し、切り倒しても2年後にはまた伐採できるほど育成スピードが早く、非常に生命力が強い植物です。
名前の由来は、オーストラリアにイギリスの探検家キャプテン・クックが上陸したとき、先住民アボリジニがティーツリーの葉のお茶でもてなしたことから、「お茶の木」を意味するティーツリーと名付けられたといいます。
また、オーストラリアでは「メラレウカ」と呼ばれ、抗菌、抗ウイルス作用にすぐれていることから、古くからティーツリーの葉を粉砕して咳や風邪の治療や、傷薬、抗菌薬などの万能薬として愛用していたとされ、「メディカルティーツリー」とも呼ばれています。
精油でも人気のオージープランツ(オーストラリアンプランツ)のひとつで、ボタニカルの洗剤やシャンプー、クリームなどにも配合されています。
ティーツリーの歴史
ティーツリーは、18世紀にイギリスの探検家であるキャプテン・クックによって、初めて世界に紹介されました。その後、「アロマテラピーの創始者」と呼ばれるフランスの軍医であったジャン・パルネ博士が、第一次インドシナ戦争で負傷兵に使用したのが、医師による医療時現場への初めての本格的な導入でした。
第二次世界大戦中には抗菌剤、昆虫忌避剤としてオーストラリア兵の常備薬だったといわれています。
現在は、花粉症やインフルエンザ対策に役立つことで注目されています。
ティーツリーの香り
ティーツリーは、スッキリと清涼感のある爽やかな香りをしており、ユーカリの香りに似ているともいわれます。鼻が通るようなフレッシュさがあります。
精油の分類では、グリーン系に属し、ノートは、トップです。
ティーツリー精油の成分・効能
ティーツリーの主な成分は、テルピネン4オール、γテルピネン、αテルピネン、1.8シネオール、テルピノレンなどです。
肌への刺激が少ないため、切り傷や虫刺され、日焼けの鎮静など肌トラブルのケアに使用されたり、また、風邪やインフルエンザなどの感染症予防や、花粉症などのアレルギー症状の緩和にも効果的だとされ、最近は、ティーツリーの抗菌・抗ウイルスの効果は注目を集めています。
参考:「ティーツリーの植物学と栽培」特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会
ストレス緩和・リフレッシュ効果
ティーツリーに含まれるテルピネン4オールという成分には、気持ちが沈んでいる時など気持ちを引き上げてくれたり、神経的なストレスによる憂鬱を緩和するはたらきがあるとされています。
また、清涼感のあるさわやかな香りが頭をすっきりとさせ、集中力や記憶力アップに役立つとされています。
肺炎予防
ティーツリーをうがい薬にしたり、吸入することで、マイコプラズマ肺炎感染症の緩和や予防する効果があります。
参考:「オーストラリア産ティーツリーオイルが壁のない細菌マイコプラズマ肺炎の生存率に与える影響」National Library of Ⅿedicine
大腸ガンの改善
ティーツリーに含まれるテルピネン4オールには、大腸ガンの腫瘍を縮小する効果があり、大腸ガンを改善する効果があるとされています。
参考:「モノテルペン類による新しい大腸癌治療法の開発」科学研究費助成事業
インフルエンザ予防
ティーツリーに含まれるテルピネン4オールには抗ウイルス作用があり、ウイルス量のほぼ90%あるいはそれ以上のウイルス量を減少させ、ウイルスの増殖を抑制する効果があります。
2009年に発生した新型ウイルスであるH1N1に対して、ティーツリー精油が、ウイルスの増殖を大きく抑制したという報告もあります。
そのため、インフルエンザの流行時期には、アロマポットを部屋に置いたり、コットンに数滴含ませるだけで効果が期待できます。
参考:「植物精油の直接接触および芳香暴露の抗インフルエンザウイルス作用に関する研究」
水虫の改善
ティーツリーには水虫を改善する効果があります。
水虫患者に、10%のティーツリー精油を含有する軟膏を用いたら、皮膚の表層の剥げ落ちや、炎症、痒みといった水虫の症状に対して、一般的な薬用軟膏と同じような効果がみられました。
また、爪の水虫患者にティーツリー精油を塗布する実験を行ったところ、爪の外観や症状が改善する効果がありました。
参考:「足白癬の治療におけるティーツリーオイル」National Library of Ⅿedicine
にきびの改善
ティーツリーに含まれるテルピネン4オールやαテルピネオール、αピネンには抗菌作用があり、にきびなどの皮膚トラブルで多くみられる原因菌に対して作用します。
さらに、軽度から中度のにきび患者を対象に、5%のティーツリー精油ジェルを患部に散布すると、にきびの数を減少させたという報告もあります。
このことから、にきびの改善に効果があるとされています。
参考:「ニキビ治療におけるティーツリーオイルと過酸化ベンゾイルの比較研究」National Library of Ⅿedicine
花粉症状の緩和
ティーツリーには、花粉の刺激から鼻粘膜を守り、鼻水やくしゃみなどの症状を緩和してくれる働きがあり、花粉症による鼻炎の症状に効果的だとされています。
ティーツリー精油のおすすめの使い方

ティーツリーには優れた抗菌効果があるため、クリームや石鹸など様々な製品に利用されています。また気管支系の痛みや炎症に、うがい薬として使用されたり、口腔内の感染症にはマウスウォッシュとして使用されたりもします。
手軽に日々のライフスタイルに取り入れることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
※抗菌力、殺菌力がとても強いため、たった1滴でも効果があるとされているので、口から摂取する場合や、皮膚に塗る場合は、1、2滴ほどの少量でご使用ください。
芳香浴
ティーツリー精油をディフューザーに数滴垂らし、空気をリフレッシュしましょう。
抗菌・抗ウイルス作用が期待できるため、インフルエンザの季節や、花粉・ハウスダストによるアレルギー症状が気になる時におすすめです。
アロマバス
夏場の匂いや、水虫、汗疹などのケアにはティーツリー精油を使ったアロマバスがおすすめです。
お湯を張った浴槽にティーツリー精油を3〜5滴程度垂らして、よくかき混ぜてからお湯に浸かってください。
お湯の温かみと一緒に精油の香りが心身を優しく包み込んでくれます。湯気の中でゆっくり深呼吸することで、呼吸器系のトラブルのケアにもなります。
スキンケアクリーム
ティーツリー精油は、肌に原液で塗ることができる数少ない精油で、オーストラリアや欧米ではシャンプーや石鹸、歯磨き粉、ニキビ用化粧品などにも配合されています。
ティーツリーの抗炎症・抗菌作用を活かしてスキンケアクリームを作ってみましょう。
ニキビや肌荒れなどさまざまな肌トラブルや、傷口や火傷に塗ると化膿を防いでたり、虫刺されでの腫れや肌のかゆみを和らげるはたらきがあります。
また、強い抗菌・抗真菌作用もあるので、水虫や爪水虫などを緩和したり、足のイヤな匂いを消臭する効果もあります。
お風呂上りなどに、日常的にフットマッサージをしてみましょう。
【材料】
・ティーツリー精油 1滴
・ラベンダー精油 1滴
・ホホバオイル 20g
・ミツロウ 4g
・シアバター 2g
【作り方】
1.耐熱カップにホホバオイル・ミツロウ・シアバターを入れ、湯煎する
2.マドラーで混ぜながら、ミツロウが完全に溶けたら、保存容器に入れて粗熱をとる
3.精油を入れてよくかき混ぜる
冷蔵庫で保存し、3ヶ月以内に使い切ってください。
小さい容器に入れてカバンやポーチに忍ばせておくと気軽に使えますよ♪
除菌スプレー
外出先での手の消毒や、部屋やトイレの消臭には除菌スプレーがおすすめです。
【用意するもの】
・無水エタノール 10ml
・ティーツリー精油 10滴
・精製水 90ml
・スプレーボトル
【作り方】
1.無水エタノール・精油をスプレーボトルに入れしっかりと振って混ぜる
2.精製水を入れ再度よく振って混ぜる
※室内やトイレなどの空間の臭い消しのみで使う場合は、水道水50mlに精油10~20滴程を加えてよく混ぜてから使用してください。
【使い方】
①服や靴に吹きかければ、たばこなどの臭い消しに、クローゼットに使用すればカビ防止にも。
※素材によってはシミになる場合もありますので、確認してからご使用ください。
②おもちゃに使うと、ダニ防止や消臭・抗菌対策に。
③お風呂の床や壁に振りかけると、カビ対策に。
④ティーツリー精油にはダニなどが嫌う成分が含まれているので、愛犬のケアにもおすすめです。
※猫はティーツリー精油に分解できない成分が含まれているため、使用はしないでください。
洗濯に
ティーツリー精油には、殺菌・消臭効果があり、洗濯物の部屋干しの不快な臭いも抑えてくれます。
すすぎ時に精油を5~10滴程垂らすだけ!
長く繰り返し使用することで、洗濯機にできるカビにも効果が現れてきます。
※洗濯機や乾燥機の仕様によっては精油の使用ができないものもあります。説明書をご確認いただいてからお使いください。
掃除に
ティーツリーには、抗菌・抗ウイルス・殺菌・消臭効果など、掃除に役立つ作用がたくさんあります。
バケツに水をたっぷり入れ、ティーツリー精油を2、3滴程垂らしてよくかき混ぜてから、雑巾をつけて絞り、拭き掃除をしましょう。
梅雨時期には、抗菌・抗真菌作用でカビの原因を取り除くことができます。
また、ナチュラル素材なので、小さなお子様がいるご家庭には特におすすめです。心にも身体にも優しい住環境作りに役立ちます。
香りが苦手な方は、ベルガモットやペパーミントをブレンドしてみてください。
※変色しないことを確認してからご使用ください。
花粉症対策に
花粉の季節には、マスクやハンカチにティーツリー精油を1滴垂らすと、花粉の刺激から鼻粘膜を守り、鼻水やくしゃみなどの症状を緩和してくれます。
手作りアロマスプレーを使うのもおすすめです。
※マスクに使用する際は、外側に塗布してください。
ティーツリー精油と相性の良い精油

清涼感のあるすっきりとしたグリーン系の香りのティーツリー精油は、オレンジやグレープフルーツ、レモン、レモンマートルなどの爽やかでジューシーな柑橘系の精油全般ととても相性がいいです。
ほかにも、ラベンダーやローズマリー、ペパーミント、ユーカリやゼラニウムとのブレンドもおすすめです。
とくに、ラベンダーは、鎮静・抗菌効果があり、ニキビやかゆみなど全身の皮膚のトラブルに効果的なブレンドです。
また、風邪やインフルエンザ、花粉症による鼻づまりなどにはユーカリのブレンドがおすすめです。
ティーツリー精油を使う際の注意点
ティーツリー精油は、原液で肌につけてもいい精油のひとつですが、肌が敏感な方は皮膚の炎症を起こす可能性があります。はじめて使う際は、必ずパッチテストをしてからご使用ください。
妊娠中の方や乳幼児への使用は避けてください。
お子様に使用する場合は通常の半分以下の量で使用してください。
まとめ
ティーツリーは香りだけでなく、風邪や花粉症の症状を和らげたり、ニキビや水虫など全身のスキンケアに役立つ万能精油です。
ライフスタイルに合わせて、セルフケアアイテムとしてティーツリー精油を取り入れてみてください。