オートミールの「米化」とは?栄養、ダイエットにもいい効果的な食べ方、レシピ。
近年、よく名前を聞くようになった『オートミール』は、 食物繊維やミネラルが豊富で、低GI食品なので健康管理やダイエットに効果的な食材として、アスリートや健康意識の高い人たちに人気のスーパーフードです。
アメリカ発祥のシリアルで、今では日本でも朝食として人気のグラノーラは、オートミールで作られています。
昨今は、オートミールを、この牛乳をかけて食べるといった従来の食べ方ではなく、お米の代わりに手軽でありながら“食事”としておいしく食べる「米化」レシピが人気です。
ここでは、『オートミール』の栄養、米化の効果、食べ方米化レシピなどをご紹介します。
オートミールとは?歴史
オートミールは、オーツ麦を脱穀して調理しやすく加工したもので、「oats(オーツ麦)」と「meal(食事)」を掛け合わせて「オートミール」と呼ばれるようになりました。
オーツ麦は日本では「えん麦」とも呼び、小麦や麦、とうもろこしなどと同じ穀物です。
オーツ麦の原産地は中央アジアと言われています。
ノルウェーやフィンランドなど気候条件が小麦の栽培に適さない地域や、イギリスでは古くから日本のお米のように重要な穀物でした。
オートミールは古くから生産量の多い穀物なのですが、その最大需要は農耕馬などの飼料でした。
実が硬く、小麦のようにそのままパンなどにできないため、主食にするには扱いにくかったのです。
しかし、1870年代にアメリカで、オーツ麦をフレーク化する技術が発明されたことで「オートミール」が誕生し、食品メーカーが大量生産をはじめ、アメリカで急速に広まりました。
日本では、明治時代に初めてオートミールが食べられるようになりましたが、当時は牛乳や水をかけてお粥のようにして食べるのが一般的でした。
ところが2020年代に入り、「オートミールの米化レシピ」がSNSで話題となり、栄養価が高く、手軽に調理ができダイエットにもよいことから注目されるようになりました。
オートミールの栄養素
オートミールは、食物繊維、鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラルが豊富で、低GI食品です。
オーツ麦を粒ごと加工して作られる全粒穀物なので、小麦やお米のように胚芽や種皮が取り除かれていず、これらの部分に含まれるミネラル類をまるごと摂ることができます。
オートミールの主な栄養素をみてみましょう。
食物繊維
食物繊維には水溶性、不溶性と2種類あります。
水溶性は、水分を吸ってゲル状化することによってコレステロールなどを包み込み吸収を抑える作用があります。
不溶性は、水に溶けづらいので、腸にとどまり刺激を与え便通を促す作用があります。
オートミールは、水溶性と不溶性の割合がおよそ1:2で含まれており、これは健康を維持するために理想的な食物繊維の摂取バランスといわれています。
鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラル
〈鉄〉
体内の鉄のほとんどは、赤血球を作るヘモグロビンの成分となります。
赤血球のヘモグロビンは酸素と結びついて全身をめぐり、体のすみずみまで酸素を運ぶ働きがあります。
オートミールは、一食分にすると白米の7倍の鉄分を含んでいます。
〈亜鉛〉
亜鉛は、皮膚や粘膜を健康に保つために必要な栄養素です。
細胞の新陳代謝が活発なところで多く必要とされます。
口腔内で味覚にかかわる細胞は新陳代謝が活発なため、亜鉛が不足すると味覚障害がおこる可能性があります。
〈マグネシウム〉
マグネシウムは、カルシウムやリンとともに骨や歯を形成している栄養素です。
そのほか、エネルギー生産のサポートや血圧の維持にもかかわってます。
現在の日本人は、欧米化の食生活によりマグネシウムの摂取量が不足しがちです。
低GI
GI(グリセミック指数)とは、食後の血糖値の上がりやすさを数値化したものです。
目安としては、GI値が55以下だと「低GI食品」、56~69だと「中GI食品」、71以上は「高GI食品」になると言われています。
数値が低い方が、血糖値の上昇が緩やかなので糖質を体脂肪に変えにくいということです。
白米は、88なので高GI食品。
オートミールは、55なので低GI食品となります。
オートミールの種類
オートミールは加工の仕方によって、大きくわけて5種類あります。
その中でも、主に日本でよく売られている2種類、「ロールドオーツ」と「インスタントオーツ」の特徴をみていきましょう。
「ロールドオーツ」
オーツ麦を脱穀して、蒸してからローラーで平たく伸ばし乾燥させたもの。いわゆる押し麦。
〈特徴〉 そのまま食べるには硬く、加熱して食べるのがよい
米化するのに向いている
噛み応えがありダイエットによい
「インスタントオーツ」
ロールドオーツを調理し、すぐに食べられるように加工したもの。
〈特徴〉 味付けされてるいるタイプも多い
そのまま食べても美味しいし、牛乳をかけるだけでさっと食べられる
お菓子作りに向いている
煮すぎるとドロドロになり食感がなくなる
オートミールの米化
“オートミールの米化”とは、オートミールをお米のようにして食べることです。
オートミールと水を合わせて加熱するだけで、ご飯を炊くよりずっと簡単で早く”主食”ができあがります。
”オートミールの米化”の人気の理由は、なによりダイエット中の主食に向いている!という点です。
白米との栄養素比較とともに、その理由をみていきましょう。
※米化の方法は、レシピに載せてます。
オートミールと白米の栄養素比較
【オートミール1食分(30g)】
カロリー・・・105kcal
糖質量・・・17.9g
食物繊維・・・3.3g
カルシウム・・・15㎎
鉄・・・1.4㎎
GI値・・・55
【白米1杯分(150g)】
カロリー・・・234kcal
糖質量・・・53.4g
食物繊維・・・0.7g
カルシウム・・・5㎎
鉄・・・0.2㎎
GI値・・・88
オートミールがダイエットに向いている理由
⦅一食分のカロリー・糖質が低い⦆
オートミールは一食30gが適量です。
一食で比較した場合、白米よりもカロリーは半分以下、糖質は1/3程になります。
⦅腹持ちが良い 脂肪になりにくい⦆
オートミールはGI値が低いので、食後の血糖値の上昇が緩やかで、お腹が空きにくくなるのでムダ食いが減ります。
また、血糖値がゆっくりと上昇すると、糖質を体脂肪へと変換させるメカニズムが働きにくくなるので脂肪に変わりにくくなります。
⦅お腹の調子を整える⦆
オートミールに含まれる食物繊維は水溶性も不溶性も多く含まれるため、腸内環境を整え、食事の満足感を得やすく、便量を増やしてくれます。
⦅白米では摂れない栄養素が多い⦆
代謝をサポートするビオチン(ビタミンB7)
赤血球となって酸素を運搬する鉄
体内のミネラルバランスを維持するマグネシウム
など、これらは白米をオートミールに変えるだけで効率よく摂れます。
オートミールの食べ方・米化レシピ
「まずい」「硬い」などと食べづらいイメージのあるオートミールですが、正しく調理すれば驚くほど美味しく食べられます。
オートミールの米化の方法、白米の代わりに主食として食べる簡単レシピや、オートミールで作るお菓子をご紹介します。
オートミールの米化① 少量の場合は電子レンジで
[1食分]
・オートミール(ロールドオーツ)・・30g
・水・・50㏄
1.耐熱容器にオートミールと水を入れて軽く混ぜる
2.ラップをかけずに電子レンジ600wで1分30秒加熱し、ほぐすように混ぜたら完成
オートミールの米化② 作り置きはフライパンで
[3食分]
・オートミール(ロールドオーツ)・・90g
・水・・150㏄
1.オートミールと水をフライパンで混ぜ、弱火にかけてフタをする
2.ときどき混ぜながら5~6分加熱し、水気が飛んでパラっとしてきたら火を止め、フタをしたまま5分程蒸らしたら完成
米化したオートミールの保存方法
〈冷蔵保存〉
ラップに包むか、タッパーに入れて保存。
ただし、当日中に食べてください。
翌日食べるのはやめておいた方がいいです。
食べるときはレンジで再加熱してください。
〈冷凍保存〉
加熱したオートミールの粗熱をとりラップで包み、空気を抜いてチャック付きの食品袋に入れて冷凍。
2週間くらいで食べきりましょう。
オートミールのレシピ① オートミール炒飯
・オートミール(ロールドオーツ) 30g
・水 50㏄
・卵 1個
・長ネギ 適量
・鶏ガラスープ 小さじ1
・ブラックペッパー 少々
・ごま油 少々
1.オートミールを電子レンジで米化する
2.フライパンにごま油をひき、1を炒める
3.鶏ガラスープ、ブラックペッパー、みじん切りにいた長ネギを加える
4.溶き卵を入れ、絡めるように炒める
5.風味づけにごま油を回しかける
※他にも野菜やお肉をプラスしたら、さらにビタミンやたんぱく質が強化された炒飯になりますよ!
オートミールのレシピ② オートミールビビンバ
・オートミール(ロールドオーツ) 30g
・水 50㏄
・卵 1個
・ナムル(市販でОK) 適量
・ごま油 小さじ1
・コチュジャン 適宜
・韓国海苔 適宜
1.オートミールを米化する
2.小さめのフライパンやスキレットにごま油を熱し、1と卵白を入れて混ぜながら焼きつける
3.ナムルを2の上に彩りよく並べ、真ん中に卵黄をおく
4.コチュジャンを添える まんべんなく混ぜて食べましょう
オートミールのレシピ③ オートミールおかかチーズおむすび
・オートミール(ロールドオーツ) 30g
・水 50㏄
・かつおぶし お好み
・チーズ お好み
・醤油 お好み
1.オートミールを米化する
2.1にかつおぶし、チーズを入れて混ぜる
3.醤油を回し入れ混ぜる
4.ラップで握って形を整える
※他にも、塩こんぶやサケフレークなどおにぎり具材はなんでも合います。冷めてもおいしいのでお弁当におすすめです。
オートミールのレシピ④ アーモンドとマンゴーのオーツボール
・オートミール(インスタントオーツ) 60g
・アーモンド 20g
・ドライマンゴー 30g
・はちみつ 大さじ1
・無調整豆乳 大さじ1
1.アーモンド、ドライマンゴーを細かく刻む
2.耐熱ボウルに、オートミール、はちみつ、豆乳を加えてよく混ぜる
3.ラップをしてレンジで1分加熱して、さらによく混ぜる
4.全体がしっとりしたら6等分にして丸める
砂糖も油も使わないヘルシーなおやつのできあがりです!
※ドライマンゴーの代わりに、レーズンやクランベリーなどもよく合います。
※丸める時は、お皿にラップを敷いてその上に生地をのせて丸めると上手にできますよ。
オーバーナイトオーツ
オートミール(インスタントオーツ)に牛乳や豆乳、ヨーグルトなどを染み込ませ、一晩置く。
一晩置くことでオートミールがしっとりもちもちになり食べやすくなります。
火を使わずに手軽にできるので、とても人気がある食べ方のひとつです。
まとめ
オートミールは、食物繊維やミネラルが豊富なスーパーフードです。
牛乳をかけて食べる従来の食べ方だけでなく、米化することで、より食べやすく、手軽に簡単にヘルシーな主食になります。
美味しい米化料理を取り入れて、ダイエットや健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。