注目の「ヘンプシード」の栄養・効果は?食べ方使い方、レシピも。
最近話題になっている「ヘンプシード」は、良質なたんぱく質、良質な脂質、必須ミネラルなど、体に必要な豊富な栄養素がバランスよく含まれているとして、欧米を中心にスーパーフードとして注目されています。
身近でいうと、七味唐辛子に入っている丸いちょっと大きめの粒がヘンプシードです。
ヘンプシードというとヘンプシードオイルが有名ですが、じつは「実」の状態の「ヘンプシードナッツ」も人気があります。
ここでは、「ヘンプシード」の栄養や効果、食べ方や使い方、簡単レシピをご紹介します。
ヘンプシードとは?歴史
「ヘンプ」とは「麻」、「ヘンプシード」は「麻の実」のことです。
ヘンプはアサ科の植物で、生育が速く、雑草のように強い一年草で約90日で収穫することができ、約3~4mの高さまで成長します。
稲や小麦、大豆などと並ぶ「八穀」の一つとして、古代から長きにわたり人類の暮らしに根付いてきた最大規模の農作物です。
また、殻付きのヘンプシードは漢方では麻子仁(麻の実)と呼ばれて、漢方薬「麻子仁丸(マシニンガン)」の生薬に使われ、古くから便秘薬として用いられてきました。
ヘンプは、生活に必要な紙、繊維、衣類、建材、医薬品を生産するうえで、持続可能な天然資源であり続けてきました。
現在では、技術の進歩により、麻の実からは、チーズ、アイスクリーム、バター、オイルなどの食品が製造され、葉や茎からは医療用品、家庭用品まで2万種類以上の製品が製造されています。
また、アレルギーや遺伝子組み換えなどの問題がなく子どもにも安心して食べさせれることも注目されている理由のひとつです。
ヘンプシードの栄養と効果
ヘンプシードは、良質な植物性のたんぱく質、体内で生成できない必須アミノ酸や必須脂肪酸、食物繊維などが豊富に含まれており、美容面でも健康面でも取り入れたい食材です。
良質なたんぱく質
たんぱく質は、人の体を構成する三大栄養素のひとつで、酵素やホルモン、神経伝達物質などを作り、栄養素の運搬を助けます。
不足するとさまざまな形で体の機能を健康な状態に維持することができなくなります。
たんぱく質はアミノ酸から構成されています。
人の体を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち必須アミノ酸と呼ばれる9種類は、体内で生成できず食べ物から摂取しなければなりません。
必須アミノ酸が一種類でも欠けているとたんぱく質を作ることができません。
ヘンプシードは、この必須アミノ酸がバランスよく含まれている良質なたんぱく質です。
良質なたんぱく質といえば、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質ですが、動物性たんぱく質はたんぱく質を摂取する時に余分なカロリーや脂質の摂取、何より消化する際に体に負担がかかってしまいます。
ヘンプシードは、植物性たんぱく質では他にみない「エデスチン」と呼ばれる、消化しやすく吸収されやすいたんぱく質を含んでいるので体の負担がほとんどありません。
また、ヘンプシードは大豆や小麦に含まれるアレルギー物質も含まれておらず、農薬や遺伝子組み換えの心配がないので、小さな子どもも安心して食べれます。
良質な脂質(オメガ6とオメガ3)
脂質もたんぱく質と同じく三大栄養素のひとつです。
生命維持に重要な働きをします。
脂質にも体内で生成できず食事から摂取する必要のある、必須脂肪酸というものがあります。
必須脂肪酸には、オメガ6系脂肪酸(リノール酸)とオメガ3系脂肪酸(α‐リノレン酸)があり、この2つは摂取するバランスが大事で、理想値はオメガ6:オメガ3=4:1と言われています。
ヘンプシードは、この理想値に近い3:1でゴールデンバランスといえます。
ダイエット中は脂質制限をしがちですが、オメガ3脂肪酸は、脂肪燃焼の促進や中性脂肪を減らす働きがあるので、ダイエットのサポートをしてくれます。
食物繊維
ヘンプシードの食物繊維の大半は不溶性食物繊維からできています。
食物繊維が多いとされるサツマイモの約7倍もの不溶性食物繊維が含まれています。
不溶性食物繊維は、腸内の収縮運動を活発にさせ、排泄を促し、デトックス効果も期待できるので、積極的に摂ることで体の内側からきれいになり美肌効果にもつながります。
鉄・亜鉛・マグネシウムなどの必須ミネラル
ミネラルは、ごく少量で健康を保つために働いてる大切な栄養素です。
体内で生成することはできないので、食べ物から摂る必要があります。
〈鉄〉
赤血球を作るのに必要な栄養素です。
体のすみずみまで酸素を運ぶ働きがあります。
〈亜鉛〉
赤血球の形成を助け、体内の酵素の正常な働きと骨の形成を助け、皮膚や粘膜を健康に保つために必要な栄養素です。
亜鉛が不足すると味覚障害がおこる可能性があります。
〈マグネシウム〉
骨や歯の形成に必要な栄養素です。
エネルギー生産のサポートや血圧の維持にもかかわってます。
現代人に不足しがちな栄養素が豊富なヘンプシードの効果効能は?
加工食品やファストフードの増加により、昔と比べ、現代人の食生活はミネラルが不足していると言われています。
農薬や食品添加物などの化学物質は、体内でミネラルを浪費します。
また、化学肥料の使用などによる土壌の変質などで、野菜類に含まれるミネラルの量も大幅に減っているそうです。
その点、ヘンプは土壌からミネラルをよく吸収するので、ミネラルの優れた供給源です。
ヘンプシードの優れた効能を見てみましょう。
貧血予防
ヘンプシードに含まれる鉄や銅は、貧血予防に効果があります。
貧血になると、身体が重い、息が切れる、顔色が悪い、疲れやすいなどの症状がでることがあります。貧血を予防することで、それらの改善にも繋がります。
また、貧血予防のためには鉄分と一緒にたんぱく質も摂る必要がありますが、ヘンプシードには良質なたんぱく質も豊富に含まれています。
美肌効果
ビタミンAは、肌や皮膚の粘膜を健康に保ち、ビタミンCは、肌のハリを保つコラーゲン生成を助け、ビタミンEは、活性酸素や過酸化脂質などの老化物質の生成を防ぎ、食物繊維は、腸内環境を整えて美肌作りをサポートしてくれます。
ヘンプシードにはこれらの栄養素が豊富に含まれているので、肌の乾燥やシミ、しわを予防し、美肌効果が期待できます。
アトピーやアレルギーの改善
オメガ3脂肪酸のひとつであるEPA(エイコサペンタエン酸)には、炎症やアレルギーの原因となる物質を抑制する働きがあります。
オメガ3脂肪酸が豊富なヘンプシードは、アレルギーなどのトラブルを緩和することが期待できます。
ダイエット効果
オメガ3脂肪酸は、脂肪燃焼の促進や中性脂肪を減らす働きがあります。
ダイエット中は脂質制限をすることもありますが、ヘンプシードはダイエットを後押しする良質な脂質に富んでいるので、ダイエット中におすすめです。
便秘の改善・整腸作用
ヘンプシードに含まれる食物繊維は、大半が不溶性食物繊維で、便のかさを増やして腸の働きを刺激し、便秘解消を助けます。また、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌など善玉菌が増えて腸内環境が良くなります。便が出ることにより、有害物質も排出します。
また、マグネシウムも水分の吸収を高める作用があり、便が柔らかくなります。食物繊維などと同時に摂ると、腸のぜん動運動を助けます。
ヘンプシード(麻の実)の副作用は?
ヘンプは麻のことですが、大麻草とも呼ばれます。
大麻と言えば危ないイメージがありますが、食用のヘンプシードは陶酔成分が含まれていない物を厳重に管理して生産されているので陶酔作用はありません。
CBⅮ(カンナビノイド)と呼ばれる大麻から抽出される薬理成分がありますが、ⅭBⅮには、依存性、副作用はありません。
CBⅮという成分は、炎症やかゆみの抑制、緊張の緩和、睡眠の改善、食欲の改善などの効能があります。
これらの効果、効能はごく一部でまだ未知の部分も多く、現在も研究は続けられています。
また、最近は、犬の必須アミノ酸10種類が全部含まれてることや、炎症やかゆみなどに悩んでいるペットには嬉しい成分が含まれているなど栄養、効能が優れていることからペットフードの原材料としても注目されています。
ヘンプシードの食べ方、使い方
ヘンプシードは主に3種類に加工されます。
1.「パウダー」
2.「ナッツ」
3.「オイル」
「ナッツ」は、麻の実の殻を取り除き食べやすくしたもので、クルミやカシューナッツのようなちょっと香ばしい風味で、柔らかい種子なので消化しやすいのが特徴です。
ローストせずそのまま食べることができます。
「オイル」は、麻の実から抽出される油で、スプーン一杯で必須脂肪酸(主に、リノール酸、α-リノレン酸)やビタミンEなどをバランスよく摂ることができます。
特に必須脂肪酸は、植物性オイルの中ではダントツの含有量です。
オイルというと、トランス脂肪酸やコレステロールが心配になりますが、ヘンプシードオイルにはこれらは全く含まれていません。
ここでは使い勝手のよい、「ヘンプシードナッツ」と「ヘンプシードオイル」の食べ方とレシピをご紹介します。
※ヘンプシードは不飽和脂肪酸が含まれているので、加熱すると成分が変わります。そのまま摂るのがおすすめです。
一日の摂取目安量は、20g(大さじ3杯)程です。
食べ方① トッピング
・フルーツやサラダに
・ヨーグルトやシリアルに
・納豆、冷奴、煮物に
・スープに
・トーストに
・お肉やお魚に
食べ方② 混ぜる
・クッキーやケーキのお菓子の材料に
・混ぜご飯に
・おにぎりに
・おからやひじきの和え物に
レシピ① ヘンプシードナッツとココナッツオイルのトースト
・お好きなパン
・ココナッツオイル 適量
・ヘンプシードナッツ 適量
1.トーストしたパンにココナッツオイルを塗り、その上にヘンプシードナッツをふりかける
そのままかけるだけで、ナッツのような味わいと柔らかい食感がクセになります。
レシピ② かつおとヘンプシードのカルパッチョ
・かつおの刺身 2人分
・ニンニク 1片
・バジル 3~5枚
・ヘンプオイル 大さじ2
・ヘンプシードナッツ 大さじ1
・塩 適量
・コショウ 適量
・レモン 1/2個
1.かつおの刺身をお皿に盛り、みじん切りにしたニンニクと食べやすい大きさにカットしたバジルを添える
2.塩、コショウ、ヘンプオイル、ヘンプシードナッツを適量かけて、輪切りにしたレモンを添える
かつお以外のお魚の刺身でもできます。
オメガ3豊富なのが嬉しいですね!
レシピ③ ヘンプシードと大葉の混ぜご飯
・白米 1合
・ヘンプシードナッツ 大さじ1
・胡麻 大さじ2
・大葉 3枚
・ごま油 大さじ1
・薄口しょうゆ 小さじ2
1.白米に刻んだ大葉、ヘンプシードナッツ、胡麻を加える。
2.ごま油と薄口しょうゆを加えてよく混ぜる。
ヘンプシードナッツと胡麻のコクで箸のすすむ一品です!
レシピ④ ヘンプシードクッキー
・ヘンプシードナッツ 50g
・オートミール 50g
・全粒粉 120g
・てんさい糖 大さじ4
・オリーブオイル 大さじ4
・豆乳 大さじ2
1.材料を全部ボウルへ入れ 混ぜてひとまとまりに
2.オーブンシートの上でのばし お好みのサイズに包丁で切れ目をいれる
3.オーブンで180℃ 17~20分焼く
焼きあがると切れ目でポキポキ折れます
ヘンプシードとオートミールで 栄養たっぷりおやつです。
ヘンプシードオイルレシピ① ドレッシング
《ヘンプシードオイルのレモンドレッシング》
・レモン 2個(果汁100㏄)
・ヘンプシードオイル 50㏄
・オリーブオイル 50㏄
・天然塩 小さじ1/8
・黒コショウ 少々
1.レモンを絞り、絞った後のレモンの皮を摩り下ろす
2.絞ったレモンに、すったレモンの皮と塩、黒コショウを加え軽く混ぜる
3.ドレッシングの容器に注ぎ入れ、ヘンプシードオイルを加える
4.さらにオリーブオイルを加える
5.蓋をしてよく振る
お砂糖の入っていないヘルシードレッシングです!
まとめ
ヘンプシードナッツは、良質なたんぱく質、良質な脂質、必須ミネラルがバランスよく豊富に含まれているスーパーフードです。
生のまま料理に加えるだけで食べれるので、手軽に健康にも美容にもいい栄養素が摂れるのが嬉しいです。
幅広く料理に使える点も魅力といえます。