クコの実とは?優れた美容や健康効果、栄養・効能、レシピも。

クコの実またはゴジベリーと白器

よく杏仁豆腐や中華粥に乗っている赤い実が、「クコの実」です。

中国料理には欠かせない食材で、古くから「長寿の果実」や「不老不死の実」と呼ばれ、薬膳に使われるなど栄養バランスの優れたスーパーフードとして海外セレブにも大人気の食材です。

日本ではまだ馴染みが薄いクコの実の、豊富な栄養、美容や健康の効果効能や食べ方、レシピをご紹介します。

クコの実とは?歴史

クコの実は、中国やモンゴル原産のナス科の植物になる果実です。
枸(カラタチ)のようなトゲがあり、杞(コリヤナギ)のように枝がしなやかであることから枸杞(クコ)と名付けられたといわれています。
1cmほどの楕円形の赤い実をつけ、この赤い実を乾燥させたものが枸杞子(クコシ)と呼ばれています。
「長寿の果実」や「不老不死の実」と呼ばれ、中国では生薬として古くから利用され、世界三大美女の楊貴妃が、美しさを保つために毎日欠かさず口にしていたといわれています。

日本に伝わったのは平安時代といわれ、健康志向が高かったといわれる徳川家康も愛用していたことが知られています。

近年では欧米で注目され、人気のスーパーフードとして「ゴジベリー」や「ウルフベリー」の名で、ドライフルーツのように食べられています。


クコの実の栄養・効果・効能

クコの実は、20種類以上のビタミン、ミネラルや必須アミノ酸など栄養バランスの優れた果実で、健康や美容効果が期待できます。
クコの実に含まれる栄養素をみてみましょう。


ミネラル

ミネラルは無機質ともいわれ、5大栄養素のひとつです。
それぞれ健康を維持する様々な機能を持ち、多くのミネラルをバランスよく摂取することが重要です。
クコの実には多くのミネラルが豊富に含まれ、特にカリウム・鉄・マンガン・銅・亜鉛・マグネシウムはドライフルーツの中でもトップクラスの含有量です。

カリウムは、細胞の浸透圧を維持し、水分を保持する働きがあります。余分な塩分を尿中へ排泄し血圧を下げる効果があります。
マンガンは、体内でのさまざまな代謝の酵素活性にかかわるため、体内の機能維持に必要な栄養素です。


鉄(ミネラルの中でも注目成分!)

体内の鉄のほとんどは、赤血球を作るヘモグロビンの成分となります。
赤血球のヘモグロビンは酸素と結びついて全身をめぐり、体のすみずみまで酸素を運ぶ働きがあります。
貧血予防や、肌のたるみやシワしみ、抜け毛を防いでくれる効果が期待できます。
成人女性の5人に1人は鉄欠乏のため、積極的に摂取したい成分です。


ビタミンA

ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミンに分類されます。
また、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、プロビタミンAと呼ばれ、ビタミンAの仲間に分類されます。
目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める働きがあります。
不足すると、皮膚の乾燥や肥厚、角質化が起こることがあります。


ビタミンE

ビタミンEは、強い抗酸化作用をもち、細胞の老化を防ぎ、血管や皮膚を健康に保つ働きがあり、エイジングケアに効果的です。
また、末梢血管を広げ血行をよくするので冷え性の改善が期待されます。


ビタミンB群

ビタミンB群には、ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・葉酸・パントテン酸などがあり、主に、エネルギー代謝、産生に関わる働きがあります。
特に葉酸は細胞分裂に重要で、妊娠初期には積極的に摂ることが薦められています。
また「造血のビタミン」とも呼ばれ、赤血球を造るのに必要な栄養素です。


ベタイン

ベタインはアミノ酸の一種です。
魚介類やてん菜、きのこなどにも含まれます。
「トリメチルグリシン」とも呼ばれ、スポーツ向けのサプリメントやプロテインに配合されることもあります。


ゼアキサンチン

ゼアキサンチンは、色素の一種です。
緑黄色野菜に含まれ、体内では生成できない重要な栄養素です。


クコの実の「肝と腎」に効く優れた美容・健康効果とは?

クコの実は、「肝と腎」によいとされる生薬のひとつです。
「腎」とは腎臓のみをさしているわけではなく、「泌尿器系・ホルモン系・免疫系・生殖系・水分代謝・骨代謝・髪・耳・足腰」などの機能や状態を支え、「生長・発育・老化・生殖」などを指します。
「肝」は、「美容と眼」です。
小さな実ですが、「生命の根本」に優れた効果がある果実なのです。
その効果をみてみましょう。


美白美肌・美髪・保湿効果

クコの実には、強い抗酸化作用をもつカロテノイドという色素成分の一種である「ゼアキサンチン」が豊富に含まれています。
抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA、Eも豊富で、ストレスや紫外線などで増えた活性酸素の働きを抑えてくれます。
さらに、美容のビタミンと呼ばれるビタミンB2も豊富で、髪、皮膚、爪などの再生を助けてくれます。
また、アミノ酸の一種の「ベタイン」には、保湿効果がありお肌や髪の潤いを守ってくれます。
美白効果もあるといわれ女性には嬉しい効果がいっぱいです。


ダイエット効果

アミノ酸の一種の「ベタイン」には、糖が吸収されるのを防いで血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。それにより、糖質を体脂肪にするのを抑えてくれます。
さらに、代謝に関わるビタミンが多く含まれ、糖質をエネルギーに変えてくれるので、ダイエット効果が期待できます。


眼精疲労の改善

ビタミンAとゼアキサンチンには、ブルーライトなどの有害な光を吸収して眼を守る働きがあります。
クコの実は、中国では「明眼子」ともいわれ、眼精疲労の生薬としても使われています。


疲労回復・免疫力アップ効果

クコの実に含まれる豊富なビタミンやミネラルは、代謝を促しエネルギーを作り出してくれます。
疲労回復や疲れにくい身体づくりに役立ち、また、ビタミンCは免疫力を上げる働きがあります。


その他

・男女の生殖器の働き、ホルモンバランスなどのコントロール
・背筋や腰の筋肉、下半身の力
・排尿排便の調節

など、男性にも女性にも助かる効果が期待できます。


クコの実の効果的な食べ方

クコの実の戻し方

1.クコの実をサッと水で洗う
2.熱湯をかけて消毒
3.容器にクコの実と適量の水を入れ20~30分程おく

このくらいの時間で芯が残るくらいに戻ります。
お好みで時間は調節してください。
早める場合はお湯で戻してもОKです。

用途に応じて、
〖サラダに使う〗 酢で5~10分程戻す
〖スープに使う〗 そのまま一緒に鍋に入れて煮る
〖焼き菓子に使う〗 ブランデーやラム酒で一晩漬ける

ヨーグルトに漬けて一晩戻すと食べやすい状態まで柔らかくなります。


  

クコの実の食べ過ぎは注意!

一日の摂取量の目安は、10粒程です。
良い効果があるクコの実ですが、食べ過ぎると副作用が起こることがあります。
また、以下の方たちは注意が必要です。

《妊娠中や授乳中の方》 クコの実に含まれるベタインの作用で、早産のリスクが高まる可能性があるといわれています。妊娠中や授乳中の方は控えた方がいいでしょう。

《低血圧の方》 血圧を下げる作用があります。注意が必要です。

《胃腸の弱い方》 クコの実はナス科の果実です。ナス科は身体を冷やす作用があり、食べ過ぎるとお腹を下してしまう可能性があります。胃が弱っている時やお腹を下しやすい方は注意が必要です。

《薬を服用している方》 血圧の薬、糖尿病の薬、抗凝血剤などの薬を服用している方は医師とご相談ください。


クコの実の使い方・レシピ

クコの実は、生で食べると渋く甘みも薄いですが、ドライにすると甘くなりほんのり酸味があります。レーズンのように強い味ではないので、食事にいれても他の食材のジャマをしないので取り入れやすいです。


クコの実の使い方

・ジュースやスムージーに混ぜる
・ヨーグルトやグラノーラに混ぜる
・おかゆに混ぜる
・お茶に入れる
・スープに入れる
・サラダにトッピング
・パンケーキなどの生地に混ぜる
・お鍋に入れる

色味がキレイなので、見た目のアクセントにもなりますよ。


レシピ① クコの実の薬膳グラノーラ

・オートミール 200g
・カシューナッツ 40g
・松の実 20g
・アーモンド 30g
・クコの実 30g
・レーズン 30g
・クランベリー 30g
・プルーン 4個
・なつめ 4個
・はちみつ 20g
・メープルシロップ 40g
・ココナッツオイル 40g
・米粉 20g

1.なつめ、プルーン、カシューナッツ、アーモンドは食べやすい大きさにカット
2.ボウルにオートミール、なつめ、カシューナッツ、アーモンド、松の実を入れ、はちみつ、メープルシロップ、ココナッツオイル、米粉を入れよく混ぜる
3.天板にオーブンシートを敷き2を薄く平らに広げ、160℃のオーブンで25~30分焼く
4.途中2回ほど混ぜる
5.焼き上がり粗熱がとれたら、クコの実、レーズン、クランベリー、プルーンを加え混ぜる
6.冷めたら保存容器に入れる

美容によいナッツやドライフルーツたっぷりのグラノーラです。

ナッツやドライフルーツは手に入るものでОKです。


レシピ② クコの実と塩昆布茶

・クコの実 3~5粒くらい
・塩昆布 ひとつまみ

1.カップにクコの実と塩昆布を入れる
2.お湯を注ぐ

注ぐだけのカフェインレス美肌茶のできあがりです!
少しおくとクコの実が柔らかくなり食べやすくなります。


レシピ③ 杏仁豆腐

・牛乳 300㎖
・杏仁霜 20g
・グラニュー糖 30g
・粉ゼラチン 5g
・クコの実 4粒

1.クコの実を水で10分程浸し、戻す
2.粉ゼラチンを大さじ2の水に入れふやかす
3.鍋に杏仁霜とグラニュー糖を入れ、牛乳を2回に分け入れ、都度ヘラで混ぜ合わせる
4.3を中火にかけヘラで混ぜながら沸騰直前まで温める
5.火からおろし、2を入れ溶かし、容器に移して粗熱をとる
6.ラップをして冷蔵庫で2時間程冷やし固める
7.水気を切ったクコの実をトッピング

ゼラチンを使ったぷるぷる食感の杏仁豆腐です。

ゼラチンは沸騰させてしまうと固まりにくくなります。


レシピ④ 手羽元でサムゲタン風スープ

・クコの実 6個
・手羽元 2本
・長ネギ 1/3本
・米 20g
・すりおろしニンニク 小さじ1/3
・すりおろしショウガ 1/2
・鶏ガラスープの素 小さじ2

1.長ネギを長さ5㎝の千切りにする
2.鍋に水500㎖とニンニク、ショウガ、鶏がらスープの素、お米を入れて強火にかける
3.沸騰したら手羽元を入れ弱火にし蓋をして15分程煮込む
4.手羽元に火が通ったら長ネギを入れ1分程加熱
5.長ネギがシンナリしたら火を止める
6.器に盛りクコの実を散らす

体ポカポカ温まる 簡単サムゲタン風スープです。
お好みで最後に白ゴマをふりかけても美味しいですよ。


レシピ⑤ クコの実・くるみ・松の実のはちみつ漬け

・クコの実 20g
・くるみ 30g
・松の実 30g
・はちみつ 適量

1.くるみと松の実をフライパンで乾煎りする(焦げないように注意)
2.1を容器に入れ、クコの実を入れる
3.はちみつを浸るまで入れる

1週間程したらできあがりです。
エイジングケア抜群のはちみつ漬け!そのままでも、トーストしたパンの上にのせても美味しいですよ。


レシピ⑥ クコの実のシロップ漬け

・クコの実 50g
・水 200㎖
・砂糖(好みのもので) 50g
・レモン果汁 大さじ1/2

1.鍋に水を入れ、火にかける
2.沸騰したら弱火にし、砂糖を入れよく溶かす
3.ひと煮立ちしたらクコの実を加え、5~10分くつくつ煮る
4.火を止め、レモン果汁を加えたら、保存瓶に入れる
5.粗熱をとってから冷蔵庫で一晩寝かす

牛乳やヨーグルトに入れたり、アイスにかけたり、使いまわしバツグンです!


レシピ⑦ クコの実の酢漬け

・クコの実(乾燥) 適量
・酢 適量

1.瓶にクコの実を入れ、クコの実が浸るまで酢を注ぎ入れる

クコの実が酢を吸ってふっくらしたら使えます。
冷蔵庫保存で長期保存ができます。


レシピ⑧ クコの実とオートミールのクッキー

・クコの実 25g
・オートミール 40g
・バター(無塩) 30g
・黒糖(粉末) 30g
・バナナ(完熟) 90g
・アーモンド 15g
・レーズン 40g
・小麦粉(薄力粉) 90g

1.やわらかくなったバターに黒糖を混ぜ込む
2.バナナを潰し1にいれる
3.クコの実、オートミール、アーモンド、レーズンを加えて混ぜる
4.薄力粉を入れざっくりとゴムベラで混ぜ合わせる
5.オーブンシートを敷いた天板に好みの大きさに分けて形を作る
6.180℃のオーブンで15~17分焼く

美容に良いクコの実クッキーの出来上がり!クコの実があまり得意でない方も美味しくいただけますよ。


まとめ

「肝と腎」の生薬「クコの実」は、生命に重要な効果が期待できる栄養素が豊富な果実です。
一日の摂取量を守り、健康な体作りに取り入れてみてください。


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