コリアンダーとパクチーの違いは?効果・効能、代用品や使い方も。

カレーに欠かせないスパイスのひとつである「コリアンダー」。

コリアンダーは甘みのある爽やかな柑橘系の香りが特徴のスパイスです。カレー以外にも、肉料理やスープ、焼き菓子などさまざまな用途に使うことができます。

では、コリアンダーと独特な風味をもったパクチーとの違いをご存知ですか?

ここでは、コリアンダーとパクチーの違いコリアンダーの効果効能おすすめの代用品使い方やレシピをご紹介します。

コリアンダーとは?

コリアンダーは、セリ科コエンドロ属の一年草で、地中海沿岸が原産です。
河岸や湿り気のあるところに生え、高さ50㎝程に生長します。
葉は光沢のある緑色で、生長するとともに裂けて羽のようになります。
「コリアンダー」の語源にはギリシャ語の『koris(虫)』という言葉が含まれています。それは、コリアンダーの生の葉や未成熟の実の独特の強い香りが、カメムシや南京虫(トコジラミとも呼ばれる昆虫)の匂いに似てることからだといわれています。


コリアンダーの香りと味

クセのある好き嫌いの分かれる香りですが、乾燥させることにより、レモンとセージを併せたような爽やかな香りに変わります。
味はちょっとさわやかな苦みがあり、なんとなくカレーのような味がします。


コリアンダーシードとは?

コリアンダーの葉や茎はハーブや葉野菜として使われ、種子は乾燥させてスパイスとして使われます。

葉や茎の部分を「コリアンダーリーフ」、種子の部分を「コリアンダーシード」と呼ぶこともあります。
また、コリアンダーリーフは日本では「パクチー」としてよく知られています。詳しくは「コリアンダーとパクチーの違い」で解説します。

スパイスは、甘みのある爽やかな柑橘系の香りが特徴で、種子のままなのが『コリアンダーシード』、それを粉状にしたものが『コリアンダーパウダー』です。
カレーには欠かせないスパイスのひとつで、その他にも、肉料理やシチューなどの煮込み料理、クッキーなどの焼き菓子などさまざまな用途で使うことができます。


コリアンダーの歴史

コリアンダーの歴史は古く、古代ギリシャ時代に医学の父と言われたヒポクラテスが、コリアンダーに健胃作用や催眠作用があるとして用いたことからヨーロッパ中に広まったと言われています。
またヨーロッパの他にも、南米やインド、中国でも食用や薬用として用いられていました。

その独特な香りと、コリアンダーの持つ健胃・整腸・抗菌鎮静作用に由来して、惚れ薬や精力剤や保存料として使われたり、「幸福をもたらすスパイス」として貴族の埋葬品としても使われていたといわれています。


コリアンダーとパクチーの違い

コリアンダーとパクチーの違いをご存知ですか?
実は、コリアンダーとパクチーは同じ植物なのです。
コリアンダーは主に英語圏の呼び名で、日本では種子を乾燥させたスパイスのことを、コリアンダーと呼ぶことが多いです。
それでは、パクチーとはどう違うのかみてみましょう。


パクチーとは

パクチーは、タイ語でコリアンダーを意味します。
日本では葉の部分をパクチーと呼ぶのが一般的です。
特有の芳香があり、好みが分かれる食材です。

タイ料理やエスニック料理によく使われ、サラダや生春巻きなど香りを活かして生のままで使われることが多いです。

大体にして同じ植物なのに日本では名称がなぜ違うのでしょうか?
それは、多国籍料理がブームとなった頃、エスニック料理と共に『パクチー』が、そしてスパイスとして使われていた欧米料理と共に『コリアンダー』が、それぞれ別のルートで日本に入ってきたからだと言われています。


香菜(シャンツァイ)とは

中華料理などに使われている香菜。実はこれもコリアンダーやパクチーと同じものです。
香菜(シャンツァイ)は中国名です。
香菜の独特な香りは食欲増進の香辛料として中国料理に欠かせないものとされています。
ニラの代わりに餃子の餡に混ぜたり、中華がゆのトッピングに使われています。
近年、本場のタイ料理を食べられるレストランが増えると共に、家庭でもフォーなどを楽しむ機会が増え、それに伴い、香菜も国内で栽培されるようになり、一般のスーパーでもよく目にするようになりました。


コリアンダーの代用品 おすすめ7選!

コリアンダーがない時の代用に使える食材をご紹介します。


カレー粉

カレー粉は、数十種類ものスパイスとハーブがブレンドされて作られています。配合量はさまざまですが、カレー粉にはコリアンダーも含まれているので、コリアンダーがないときはカレー粉を代用するのもひとつです。


ガラムマサラ

ガラムマサラはインドを代表するミックススパイスです。シナモンやクローブ、カルダモン、チリペッパーなどいろいろなスパイスが入っていて、奥深い香りがします。
コリアンダーのスパイシーでエスニックな香りを再現したいときに代用するのにおすすめです。
特にカレーを作りたいときに便利で、ガラムマサラを入れると本格的なカレーの香りや辛みが手軽につけられます。


カルダモン

カルダモンはスパイスの女王との呼び名もあり、コリアンダーに近い柑橘系の清涼感とスパイシーな香りが似ています。
カレー粉の代表的なスパイスでもあり、肉・魚料理の香りづけにも使えます。


クミン

クミンはコリアンダーと同じセリ科の植物の種子で、スパイシーなカレーを思わせる香りが特徴です。クミンは単体でもカレーの風味を感じさせるため、コリアンダーの代用に使う場合、よりカレー感が強く感じるかもしれません。
肉の臭み消しに向いており、羊肉などと相性がよく、カレーだけでなく、素材の臭みを消しうまみや甘みを引き立たせるスパイスで、コリアンダーとよく似ています。


ナツメグ

スパイシーで香り高いナツメグは、ハンバーグやミートソース、グラタンなどにもよく使われます。コリアンダーと同じく味に深みを与えるスパイスです。ひき肉料理や乳製品を使う料理にはナツメグを代用として使うと相性がよいです。
素材の甘みを引き出す香りで、辛みがないので辛いものは苦手という人にも適しています。


シナモン

カレー粉の原料にも使われてるシナモンは、甘く独特でエキゾチックな香りが特徴です。
肉類との相性も良いですが、焼き菓子などスイーツ全般におすすめです。


パプリカパウダー

パプリカパウダーは甘さを感じる独特の香りがあり、赤い色も特徴です。甘さのある香りはコリアンダーの代用に使えます。
香りはやや弱く、ほのかに香りづけさせたいときにおすすめです。


コリアンダーの効果・効能

コリアンダーには、ビタミンCやビタミンE、カルシウムや鉄などのミネラルを豊富に含んでいます。
また、香り成分であるゲラニオール、リナロール、α-ピネンなどが含まれており、消化促進、駆風、抗菌、鎮静作用などがあるといわれています。


消化促進効果

コリアンダーの成分は消化器に働きかけます。胃の健康を保ち食欲不振にも効果があるといわれています。
また、消化を促進したり、腸内のガスを出させる駆風(くふう)剤[腸管内にたまったガスを排出させる作用のある薬剤]の役割をする働きがあるといわれています。


口臭予防

香り成分のゲラニオールは、体内に吸収されると一定時間後に汗腺などから汗と一緒に放出されるので、口臭や体臭などを抑える効果もあるとされています。
また、抗菌作用、保湿作用、日焼けなどのほてりを抑えてくれる消炎作用や、女性ホルモンの働きを助ける効果があると言われています。


精神を安定させる効果

アロマを代表する香り成分「リナロール」には、鎮静、抗不安、抗炎症作用があります。
心理的な疲労感を取り去り、気分を前向きにさせる効果があるとして、アロマセラピーにも用いられている成分です。

また森林浴効果が期待できると言われている香り成分「α-ピネン」には、吸入すると、生理的リラックス効果をもたらすことがわかりました。


★参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 「木材由来のにおい成分α-ピネンは人をリラックスさせる Effects of olfactorystimulation by α-pinene onautonomic nervous activity (α-ピネンの嗅覚刺激が自律神経活動に及ぼす影響)」


コリアンダーの使い方

スパイスであるコリアンダーは葉の部分と違ってクセが少なく、柑橘系の香味がさわやかで、パクチーが苦手な人でも気軽に利用しやすい点が特徴です。


ミックススパイスとして

コリアンダーパウダーは、クミンパウダーやターメリックパウダー、チリパウダーなどと一緒にミックススパイスとして使えます。
シードは油で香りを抽出しますが、パウダーは玉ねぎを炒めた後など、煮込む前に加えるとよいです。

香りがマイルドなので、ラムカレーやフィッシュカレー、ビーンズカレー、ピラフやサモサ、スープなどさまざまな料理に使うことができます。


スタータースパイスとして

コリアンダーシードは、調理の最初に油の中に入れ、弱火で香りを出して使われることが多いです。
本格カレーはもちろん、いつものルーカレーの最初にクミンやコリアンダーシードをスタータースパイスとして使うだけでも、本格的なワンランク上の風味を楽しむことができます。


ピクルスなどの香りづけに

コリアンダーは酢との相性も良く、コリアンダーシードをピクルスやマリネなどの香りづけに使うのもおすすめです。
また、柑橘を思わせる香りは、レモンやライムなどの果汁ともよく合います。


柑橘の香りのスイーツに

コリアンダーシードをパウンドケーキやクッキーなどに入れると、ほのかにスパイシーな柑橘系の香りがするスイーツになります。
シードのまま加えると、プチプチとより香りが楽しめます。
他のスパイスやドライフルーツ、洋酒などとも相性が良いです。


ハーブティーとして

コリアンダーシードをハーブティーに。甘くスパイシーな香りのするハーブティーになります。シードは軽く叩いて潰しおくと香りが立ちやすいです。
食べ過ぎたときや口臭が気になるとき、リラックスしたいときにおすすめです。
また、市販のビールに入れるとフルーティーな香りが楽しめます。


コリアンダーのおすすめレシピ

まろやかスパイスチキンカレー

・鶏もも肉 400g
・塩  小さじ1/2
・玉ねぎ  1個 (200g)
・すりおろしにんにく 小さじ1
・すりおろししょうが 小さじ1
・コリアンダーパウダー 小さじ2
・ターメリックパウダー 小さじ1
・クミンパウダー 小さじ2
・カットトマト缶 1/2缶 (200g)
・無糖ヨーグルト 50g
・水 100ml
・砂糖 小さじ2
・サラダ油 大さじ1

1.玉ねぎは薄切りに切る
2.鶏もも肉は一口大に切り塩をまぶす
3.コリアンダー、ターメリック、クミンを混ぜ合わせる
4.弱火で熱した鍋にサラダ油をひき2を入れ、両面に焼き色がつくまで5分程焼いたら取り出す
5.同じ鍋に1を入れ中火で7分程炒め、しんなりとして薄く茶色になったら、すりおろしにんにくとすりおろししょうがを入れ、全体が色づくまでよく炒める
6.弱火にし、3を加えて5分程炒めてなじんだら、カットトマト缶を加え水分が飛ぶまで加熱する
7.4を戻し入れ、無糖ヨーグルト、水、砂糖を入れ蓋をし、時々かき混ぜながら弱火で10分程、鶏もも肉に火がとおるまで煮こむ

おこさまも喜ぶまろやかなスパイスカレーのできあがりです。
ヨーグルトを加える際は、先によく混ぜてなめらかにしてから入れるとダマになりにくいです。
辛みがほしいときはお好みでレッドペッパーを。


スパイスピクルス

★穀物酢 300cc
★レモン汁 15cc
★水 60cc
★砂糖 100g
★塩 9g
★鷹の爪 一つまみ
★ローリエ 1〜2枚
★ブラックペッパーホール 10粒ほど
★コリアンダーシード 10粒ほど
・人参 2本
・大根 2本
・きゅうり 2本
・パプリカ 1個

1.★を鍋に入れ沸かす
2.人参と大根を一口大にスライス(厚さは揃える)
3.保存容器に★と2を入れ漬け込む
4.きゅうりとパプリカを一口大に切る
5.3が冷めてからきゅうりとパプリカを加え漬け込む
6.一日ほど冷蔵庫におく

そのまま食べてもヨシ、お肉などに添えてもヨシ!
カリフラワーやブロッコリーなどをいれても良いです。
根菜類は温かいうちに、その他の野菜は冷めてから漬けるようにすると味が良くなります。


まとめ

コリアンダーとパクチーは同じ植物ですが、コリアンダーは種子を乾燥させたスパイスのことで、パクチーは葉の部分で生で使うことが多いです。
パクチーの独特な風味が苦手という方も、スパイスのコリアンダーだと使いやすいと思います。
さまざまな使い方ができるので、ぜひスパイスで試してみてください。


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