幻の大豆「黒千石大豆」とは?栄養、効果効能、おすすめの食べ方も。
黒千石という大豆の名前を聞いたことはありますか?
北海道在来種の黒豆の一種で、大きさは極小粒ですが、アントシアニンやイソフラボンを豊富に含み、優れた効能を持つ健康食材です。
黒千石は栽培が難しく、一時は絶滅されたとされ『幻の大豆』と呼ばれていましたが、今では栽培が復活し、高機能性食品としてマスコミや食品業界で取り上げられるほどまでになりました。
ここでは、黒千石大豆の栄養や効果効能、おすすめのレシピをご紹介します。
黒千石大豆とは?歴史を紹介
黒千石(クロセンゴク)大豆は、北海道の在来種の黒豆です。
栽培するためには、通常の大豆より日照時間が長く必要で、天候にも左右されやすいため栽培が難しい品種です。
その為、一度、1970年代に栽培が途絶えました。
その後、2001年に絶滅したと思われていた黒千石の原種が50粒程見つかり、そこから再び栽培が始まりました。この約30年の間、黒千石大豆は『幻の大豆』と呼ばれていました。
若干50粒の黒千石のうち、28粒の発芽に成功し、その後、日照時間が長く気候も暖かくて、栽培が可能な最南端地と考えられていた岩手県で栽培、研究が進み、2005年には原産地である北海道で栽培が再開されました。
軌道にのってきたと思われた黒千石の生産でしたが、景気の悪化で黒千石を買ってくれていた中間業者が倒産したり、収穫時期を目前に黒千石が雪に埋まるなどの天候に恵まれず生産が危うくなります。
それでも、黒千石を思うさまざまな人の支えにより大きな困難を経て、今では、抜きんでた栄養成分のすばらしさに注目が集まり、食品業界やマスコミで取り上げられるようになりました。
そして現在、黒千石大豆は、高機能性食品として、日本人の命を守る北海道産の食べものとして、次世代へのスタートをきったのです。
‘’黒千石大豆‘’と‘’黒豆‘’の違い
「黒豆」は「黒大豆」の別名です。「ぶどう豆」と呼ばれることもあります。
「黒千石大豆」は、「黒豆」の一種で、実は球形で他の黒豆と比べて極小粒(100粒重は約10〜11g)の大豆です。
黒千石大豆の栄養
黒仙石大豆が注目されている大きな理由のひとつに、優れた栄養成分があります。
詳しく見てみましょう。
アントシアニン
アントシアニンは、ポリフェノールの一種で、黒千石の黒い種皮の部分に含まれています。
アントシアニンは黒豆自体に多く含まれている成分なのですが、黒千石にはその2倍も含有しています。食べることで効果に即効性があるといわれています。
高い抗酸化作用で活性酸素を抑制し血液をサラサラにします。また、脂肪の代謝を促進し内臓脂肪を減らす働きがあり、コレステロール値を下げる効果が期待できます。
大豆イソフラボン
イソフラボンとは、大豆などマメ科の植物に多く含まれるポリフェノールの一種です。
抗酸化力があるポリフェノールは、生活習慣やストレスによって増えすぎた活性酸素を抑えます。
そのためポリフェノールは、生活習慣病の予防や改善に役立つといわれています。
またヒトのエストロゲン(女性ホルモン)と分子構造がよく似ており、エストロゲンに似た働きをします。
エストロゲンとは、第二次性徴の発現や月経周期の調節などの重要な働きを担っています。
また、イソフラボンには、さまざまな種類があります。
大豆や大豆の加工食品に含まれているイソフラボンは、大豆イソフラボンとよばれています。
食物繊維
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類あります。
不溶性食物繊維は、水分や老廃物などを吸着して、便のかさを増やします。腸を刺激してぜん動運動を活発化し、排便を促します。
水溶性食物繊維は、腸内細菌(善玉菌)のえさになり、腸内環境を整えます。血糖値の上昇やコレステロールの増加を抑えます。
ナトリウム
ナトリウムは必須ミネラルの1つです。
カリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関わっています。また、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節しています。
通常の食生活で欠乏することは少ないですが、多量の発汗、激しい下痢の場合には欠乏し、疲労感、血液濃縮、食欲不振を起こすことがあります。
黒千石大豆の効果・効能
黒千石大豆には強い抗酸化力があるアントシアニンやイソフラボンが豊富に含まれ、優れた効果が期待できます。
血管を若返らせる効果
黒千石に含まれるアントシアニンの高い抗酸化作用には、血液をサラサラにし血液を元気にする働きがあります。この働きで、血管を若返らせる効果が期待できます。
黒千石大豆は『血管を若返らせる幻の大豆』と呼ばれています。
動脈硬化・高脂血症の予防
アントシアニンには、脂肪の代謝を促進し、内臓脂肪を減らす働きがあります。これによりコレステロール値を下げ高血圧や動脈硬化の発症を予防する効果が期待できます。
また、アントシアニンの内臓脂肪を減らす働きは、内臓脂肪が優位に減ることで体内に『長寿ホルモン』といわれる「アディポネクチン」が活性して増殖します。
この「アディポネクチン」とは、寿命と大きく関係しているといわれており、長寿の人の「アディポネクチン」濃度は高いといわれています。
アディポネクチンは内臓脂肪の増加によって分泌量が低下するため、内臓脂肪型肥満を解消することでその分泌量は自然と増加します。
また、大豆に含まれるたんぱく質が脂肪細胞の中にあるアディポネクチンを合成する機能を高めることから、アディポネクチンを増加させる上で大豆は非常に有効的な食品だといえます。
★参考:国立情報学研究所「黒千石大豆入りおにぎりの食後血糖上昇抑制効果と官能特性」
更年期障害の改善
女性は、年齢とともに卵巣の機能が低下するため、エストロゲンの分泌が減少します。
エストロゲンの分泌が減少することにより、顔のほてりや、のぼせなどの身体的症状や、イライラや憂鬱など、精神的な症状もみられます。
これらの症状は、更年期障害とよばれ、イソフラボンは、顔のほてりや、汗をかきやすい、腰や手足が冷えやすいなどの血管運動神経症状を改善する効果が期待できます。
また、イソフラボンには、エストロゲンの過不足を整える作用があり、エストロゲンの過剰分泌が原因で引き起こされる乳ガンの予防につながると考えられています。
骨粗しょう症予防
エストロゲンの分泌が減少することにより、カルシウムを骨に蓄えておく力が低下します。
イソフラボンには、骨にカルシウムを蓄える作用があるため、骨粗しょう症を予防する効果が期待できます。
美肌効果
女性ホルモンのエストロゲンの分泌は、年齢や生活習慣によって低下します。
エストロゲンと似た働きをするイソフラボンは、女性らしい体をつくるために重要な役割を果たしています。
エストロゲンの分泌が低下することによって、肌の弾力を保つコラーゲンや、肌に潤いを与えるヒアルロン酸をつくる力が低下します。
その結果、シワやたるみなど肌の老化現象が進みやすくなってしまいます。
イソフラボンには、肌に弾力を与えたり、シワを改善する効果が期待できます。
イソフラボンの美肌効果は、美容のサプリメントや化粧品などにも応用されています。
便秘の改善・免疫力向上
食物繊維の働きにより便秘の改善効果が期待できます。腸がきれいになることで、美肌効果や、疲れにくく太りにくいカラダづくり、生活習慣病予防も期待できます。
腸は消化吸収のほかにも免疫という健康全般にかかわる機能を持ち、「第二の脳」とも呼ばれています。腸をいつも元気にきれいに保つことは、病気にかかりにくい体質にもつながります。
黒千石大豆の人気の食べ方・レシピ
黒千石大豆は、お茶にしたり、お米と一緒に炊いて豆ご飯にしたり、サラダに入れたり、卵焼きに混ぜ込んだりとさまざまな食べ方ができます。
黒千石茶
1.黒千石大豆をフライパンで15分程煎る
2.煎った黒千石を急須にティースプーン山盛り×人数分を入れ、お湯を注いで3分程蒸したらできあがり
黒千石大豆の栄養が手軽に摂れるノンカフェインのお茶です。
煎って残った大豆は保存容器にいれ、豆ご飯など料理にも使えます。
黒千石ご飯
・お米 2合
・黒千石大豆 40g
1.研いだお米と洗った黒千石を一晩水に漬けておく(1~2時間程でもОK)
2.お水を2合より少し多めの水加減になるように水を加え炊飯器で炊く
黒千石がぷくっとふくらみ、ほんのり甘い旨みたっぷりの豆ご飯のできあがりです♪
黒千石炊き込みご飯
・お米 1.5合
・もち米 0.5合
・黒千石大豆 大さじ3
・塩 小さじ1と1/3
・酒 大さじ1/2(おこのみで)
1.軽く洗った黒千石をかぶるくらいの水に漬け、一晩おいておく
2.研いだお米ともち米に黒千石の戻し汁を加え、2合になるまで水を加える
3.塩を加え軽く混ぜる
4.水気を切った黒千石を上に広げて炊飯する
5.炊きあがったら、酒を全体に一振りして軽く蒸らす
もち米なしでもできますが、もち米を入れるともっちり感が出ておすすめです。
黒千石大豆の煮豆
・黒千石大豆 200g
・砂糖 200g
1.鍋に軽く洗った黒千石と水1ℓを入れ、ふっくら戻るまで一晩(6~7時間程)漬けておく
2.戻った黒千石に砂糖を加えヘラなどで軽く混ぜる
3.戻し汁ごと中火にかけ、アクが出てきたら取る
4.ふつふつ沸くくらいの弱火にし1時間半ほど煮る
お好みのかたさまで煮てください。
熱々のまま食べても、冷まして食べても美味しいです。
保存容器に移して冷蔵なら1週間程、冷凍なら1か月程日持ちします。
ヨーグルトやアイスに蜜ごとかけるなどアレンジができて作っておくと便利ですよ。
まとめ
黒千石大豆は黒豆の一種で、極小粒の大豆です。
幻の大豆と惜しまれるほど、高い栄養成分が豊富!健康や美容に優れた効果が期待できます。
お茶にしたりお米と一緒に炊くなど手軽に摂ることができるのも魅力です。