βカロテン豊富なドライアプリコットの栄養や効果、食べ方など。

日本で「あんず(杏子)」と呼ばれているアプリコットには、β‐カロテンや食物繊維、ミネラルなど豊富な栄養が備えられています。

美容や健康にいいと人気が高まっており、手軽に摂ることができるドライフルーツとして日常的に食べているという方も多いようです。

ここでは、「ドライフルーツの王様」とも呼ばれるドライアプリコットの優れた栄養や効果、おすすめの食べ方やレシピ、また、戻し方や柔らかくする方法などもご紹介します。

アプリコットとは?歴史

アプリコットは、バラ科サクラ属で桃などと同じ仲間です。
和名を「あんず(杏子)」といいます。
見た目は「ビワ」とも似ていますが、ビワはバラ科ビワ属で味や風味も違います。

アプリコットの原産地は主に中国北部から中央アジアで、特に中国では紀元前2~3世紀には栽培されていました。
その後東アジア地域に根付いた「東アジア系」と、シルクロードから中央アジアを経て地中海性気候に適応した「ヨーロッパ系」に分かれていきました。

日本には平安時代に、東アジア系のものが中国より渡来しました。当時は「唐桃(カラモモ)」と呼ばれ、その後「杏子」の中国読みから「あんず」と呼ばれるようになりました。また、品種的にも日本の気候に合うように次第に変化し、「ニホンアンズ」という独特の品種群を形成するようになりました。
中国でも日本でもはじめは薬として利用され、あんずの種の仁である「杏仁(あんにん、きょうにん)」が咳を鎮める漢方薬として重用されていました。
実を食べるようになったのは江戸時代に杏干として食されたことに始まります。

一方、ヨーロッパ系は、14世紀にイギリスに渡り、18世紀にアメリカ大陸へと広がりました。
現在、アメリカ産はカリフォルニアが大半を占めています。

現在は世界中で栽培されるようになり、日本でも青森、長野など、比較的、夏季に雨の少ない涼しい地域で栽培されています。

生のアプリコットの旬は6~7月と、生のアプリコットを食べられる期間は短く、ドライアプリコット(干しあんず)にすることで年中食べることができます。


アプリコットの産地

アプリコットの生産量の1位はトルコで、世界シェアは約21%になります。(2019年)
生産量1位のトルコ、2位のウズベキスタン、3位のイランの3ヶ国あわせて、世界の生産量の約42%を占めています。
世界のアプリコットの生産量は増加傾向にあり、特にトルコとウズベキスタンの生産量が大きく増加しています。
産地によってそれぞれ特徴があるのでみてみましょう。


トルコ産

トルコのアプリコットは、果肉が豊かで甘さがあり、ドライフルーツとしての人気が高いです。
マルトカという特定の品種が特に有名です。


ウズベキスタン産

ウズベキスタンのアプリコットは、トルコやイランのものとは異なり、果肉が厚く、濃厚な甘みと深い香りが特徴です。


イラン産

イランのアプリコットは、独特な味わいと果肉の密度が特徴です。一部はdried barberries(ザクロの一種)とともに料理に使われます。


スペイン産

スペインのアプリコットは、肉厚でジューシー、そしてバランスのとれた甘さと酸味を持つことで知られています。


アメリカ産

アメリカでは特にカリフォルニア州が主な生産地です。カリフォルニアのアプリコットは、果肉がしっかりとしていて、独特の甘さと酸味があります。ジャムなど加工品としてだけでなく、そのまま食べても美味しいです。


ドライアプリコットの栄養

アプリコットは、カリウム、鉄分、β‐カロテンや食物繊維など、栄養が豊富です。
ドライにすることでより栄養が凝縮されます。
ドライアプリコットの栄養成分をみてみましょう。

ドライアプリコットのカロリーは、1個あたり約23kⅽalで、100gあたり約288kⅽalになります。
1日の摂取目安量は、3~5個です。


β‐カロテン

β‐カロテンは、体内でビタミンAとして働きます。
目や皮膚の健康を保ち、消化器などの粘膜を丈夫にすることで外部からの細菌類の侵入を防ぎます。
アプリコットのβ‐カロテン含有量は、フルーツの中でもトップクラスです。


食物繊維

ドライアプリコットには、生のアプリコットの約6倍もの食物繊維が含まれ、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれています。
不溶性食物繊維は、胃や腸の水分を吸収して便のカサを増やし、腸のぜん動運動を促す働きがあります。水溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなり腸内環境を整える働きがあります。


カリウム

ドライアプリコットには、生のアプリコットの約6倍のカリウムが含まれています。
カリウムは、細胞の浸透圧を調整したり、心筋の活動を正常に保ち血流を促す働きがあります。
また、体内の過剰なナトリウムを排出する働きがあります。


ドライアプリコットには、生のアプリコットの約8倍の鉄が含まれています。
鉄は、赤血球の材料になります。ヘモグロビンの一部となって体のすみずみまで酸素を運ぶ重要な役割を担っています。また、二酸化炭素を回収して排出する働きもあります。


ドライアプリコットの効果

ドライアプリコットの優れた栄養から得られる、注目の美容・健康効果をみてみましょう。


美肌効果

アプリコットに含まれる鉄は、肌へしっかりと酸素を運び新陳代謝を促します。また、肌の潤いを保つコラーゲンの合成を助け、肌のハリを保つ効果が期待できます。


デトックス効果・冷え性の改善

アプリコットに含まれるカリウムには、体内の余分な水分を排出させると同時に尿から毒素や老廃物も出すデトックス効果が期待できます。また、血流を促進する働きもあり、血流が良くなることで冷え症の改善にも役立ちます。


便秘の改善

アプリコットには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく豊富に含まれています。
便通を改善し、腸内環境も整える効果が期待できます。それにより、老廃物が排出されるので、肌荒れを防止してくれる効果も期待できます。


貧血予防

アプリコットに含まれる鉄は、肺で取り込んだ酸素を全身の細胞や組織に運ぶ働きがあります。
人は酸素が不足すると、細胞が代謝をスムーズに行えなくなり、疲れやすくなったり貧血を起こしやすくなります。
ドライアプリコットには鉄が豊富に含まれているので、貧血を予防する効果が期待できます。


ダイエット効果

ドライアプリコットに含まれる水溶性食物繊維には、脂質や糖を吸着し体外へ排出する働きがあります。また、糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えることで、インスリンの多量分泌による脂肪細胞の蓄積も防ぐことができます。
さらに、食物繊維がお腹の中で水分を吸って膨らむので、満腹感が得やすくなり食べ過ぎ予防になります。
ドライアプリコットには豊富な食物繊維が含まれているので、ダイエット効果が期待できます。


ドライアプリコットの作り方

アプリコットはドライにすることで栄養が凝縮され、旨みが増します。
簡単にできるドライアプリコットの作り方をみてみましょう。


ドライアプリコットの作り方:砂糖なし

〈手順〉
1.アプリコットはよく洗ってキッチンペーパーなどで水分をきれいに拭き取る
2.半分に切り種をくり抜く
3.干し野菜用のネットやザルにアプリコットを並べる
4.風通しのよい、太陽の光が当たる場所に天日干しにする

〈ポイント〉
・カビを防ぐために、よく晴れた日の日中に干し始め、日が暮れたら屋内で干し、翌朝、再度屋外へ出して干す


ドライアプリコットの作り方:砂糖あり

〈手順〉
1.アプリコット1㎏をよく洗いキッチンペーパーなどで水分をきれいに拭き取る
2.半分に切り種をくり抜く
3.厚手の鍋に水200㏄と砂糖340gを入れ、煮立たせて砂糖を溶かす(シロップ)
4.火を止め、アプリコットを入れ蓋をする
5.約3時間、余熱でアプリコットが少し柔らかくなったら、ざるにあげシロップとアプリコットに分ける
6.シロップを煮詰める
7.半分位になるまで煮詰まったら再びアプリコットを入れ、完全に冷めるまで置いておく
8.味をみて、中まで甘さが浸透しているか確認(浸透してない場合もう一度、3,4を繰り返す)
9.シロップをざるで濾し、オーブンシートを敷いた天板にアプリコットを並べ、100°で40分加熱し、途中で裏返し加熱する

〈ポイント〉
・少し柔らかさが残ったセミドライの固さくらいなので、もっとドライにしたい場合は乾燥時間を調整する
・天気がカラッと晴れている日は天日干しにしてもOK


ドライアプリコットの戻し方・柔らかくする方法

ドライアプリコットはそのまま食べても美味しいですが、ちょっと柔らかくして食べたい時や、お菓子作りに加える時などにも使えるアレンジ方法をみてみましょう。


ヨーグルトに漬ける

ヨーグルトにドライアプリコットを漬け、一晩冷蔵庫におく。

ヨーグルトにはお腹の調子を整える乳酸菌が含まれており、食物繊維が多く含まれるドライアプリコットと一緒に食べることで整腸効果を期待することができます。お通じの改善にもぴったりのアレンジ方法です。
朝ごはんにもぴったりです。


ラム酒に漬ける

1.ドライアプリコットは熱湯で湯通しして、水気を拭き、保存瓶に入れる
2.ひたひたにラム酒を注いで、かき混ぜ、しっかり蓋をして冷蔵庫に置いておく

ドライフルーツがラム酒をたっぷり吸い込み、ぷりぷり&ジューシーに!
漬けて1週間から10日程が食べ頃ですが、一晩漬けるだけでも結構吸い込みます。お好みの漬け具合で試してみてください。
途中ラム酒が少なくなったらまたラム酒をひたひたに入れてください。

アイスにトッピングしたりパウンドケーキやマフィンなど焼き菓子にも使うことができます。


紅茶漬け

1.ドライアプリコットに熱湯をかけ、水気を切る
2.保存瓶にドライアプリコットを入れ、紅茶を注ぎ、ドライアプリコットが紅茶を吸ってふっくらするまで半日程おく

漬ける時間がない時は、紅茶で煮る方法もあります。
鍋にドライアプリコットと紅茶を入れ、十分に水分を吸収するまで煮詰めます。

紅茶から取り出してそのままおつまみに、アイスのトッピングや、クリームチーズとトーストにのせるなどアレンジはさまざま!
噛むほどに華やかな紅茶の香りがジューシーに広がりますよ♪

お酒の苦手な方には紅茶漬けがおすすめです。

ドライアプリコットを取り出したあとの紅茶シロップは、氷を入れてフルーティーなアイスティーに♪


お湯で戻す

ドライアプリコットを80°くらいのお湯に入れ、2~3時間程浸しておく。
水で戻す場合は、一晩冷蔵庫におく。

一番簡単な戻し方です。
ラム酒や紅茶、ヨーグルトなどと一緒に食べるのはちょっと、という方におすすめです。


ドライアプリコットの食べ方・レシピ

ドライアプリコットは、持ち運びしやすく、一粒が大き過ぎず、あまりべたべたしないことから、携帯して小腹が空いた時のおやつにそのまま食べるという方も多いようです。
その他にも、ヨーグルトやアイスにトッピングしたり、シリアルに混ぜたり、お菓子やパン作りに活用することができます。
ジャムにしたりラム酒漬けなども人気の食べ方です。

味は産地によって違いますが、やや酸味が強く、甘みはすっきりしています。


ドライアプリコットのジャム

・ドライアプリコット 200g
・水 400cc
・砂糖 100g
・レモン汁 大さじ1/2

1.アプリコットは4等分くらいにカットする
2.鍋に水、アプリコット、砂糖を入れ火にかける
3.沸騰したら火を弱め好みの固さに煮詰める
4.レモン汁を入れ火を止め、粗熱が取れたら保存瓶に入れる

無添加の手作りジャムの出来上がりです♪


ドライアプリコットのパウンドケーキ

・無塩バター 100g
・砂糖 110g
・卵 2個
・薄力粉 100g
・ドライアプリコット 20g
・ドライイチジク 20g
・レーズン 20g
・ドライクランベリー 20g
・ブランデー 40ml
・はちみつ 10g

(下準備)
ドライフルーツに熱湯をかけ、水分をきれいに拭き取り、ブランデーとはちみつを合わせたものに1日漬けておく

1.バターをクリーム状にし、砂糖70gを加え混ぜ、卵黄2個分を入れ混ぜる
2.薄力粉を2回ふるいにかけ、1に入れ混ぜる
3.卵白2個分に砂糖20gを加え混ぜてメレンゲにし、2に3回に分けて混ぜ合わせる
4.ドライフルーツのブランデー漬けを入れ軽く混ぜる
5.パウンド型にオーブンシートを敷き、生地を入れたら、持ち上げて軽く数回落とし空気を抜く
6.170°に予熱したオーブンで40分程焼いたら、型からだし、オーブンシートはつけたまま15分程焼く

側面までカリカリのパウンドケーキの出来上がりです♪
お好みのドライフルーツを入れてみてください。


ドライアプリコットの紅茶マフィン

・無塩バター 50g
・砂糖 50g
・卵 1個
・牛乳 大さじ3
・薄力粉 80g
・ベーキングパウダー 3g
・紅茶 1パック
・ドライアプリコット 60g

1.バターと卵は常温にしておく
2.バターをふんわりするまで混ぜ、砂糖を加え混ぜる
3.溶いた卵と牛乳を順に少しずつ加え、都度よく混ぜる
4.薄力粉とベーキングパウダーをふるい、3に入れ、ドライアプリコットと紅茶も加え、ヘラでさっくり混ぜる
5.容器に入れ、180°のオーブンで25分程焼く

紅茶香るマフィンの出来上がりです♪


まとめ

β‐カロテンや食物繊維、ミネラルなどが豊富に含まれているアプリコットは、ドライフルーツにすることで栄養が凝縮され、高い美容や健康効果が期待できます。
ジャムやスイーツに活用したり、ヨーグルトや洋酒に漬けるなどさまざまな食べ方ができるので、毎日少しずつ取り入れて、健康的な生活に役立ててみてください。


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