サンフラワーシード(ひまわりの種)の栄養価は?バターの作り方など。
サンフラワーシードは、日本では食用としてはあまり馴染みがありませんが、さまざまな栄養が含まれ、高い健康効果があることはご存じですか?
疲労の回復や免疫力の強化、肉体強化を促す成分が含まれており、基礎代謝も上がる効果が期待できることからメジャーリーガなどアスリートは日常的に食しているという方も多いそうです。
ここでは、自然の恵みであるサンフラワーシードから得られる栄養や効果、ローストの方法やサンフラワーシードバターの作り方などをご紹介します。
サンフラワーシードとは?
サンフラワーシードとは、キク科ヒマワリ属に属するひまわりの種子のことです。
日本では観賞用として親しまれているひまわりですが、まずそもそもその種は食べられるのでしょうか?
原産地の北アメリカではサンフラワーシードは先住民たちの貴重な栄養源でした!
サンフラワーシードが食用として栽培されるようになったのは、北アメリカ原産のヒマワリがヨーロッパにもたらされた17世紀頃です。初めは欧州では観賞用に栽培されていましたが、18世紀になるとヨーロッパの一部の地域で食用としても栽培されるようになりました。
19世紀には、サンフラワーシードから抽出される植物油の需要が高まり、今では、独特の風味と栄養価の高さから、多くの国で人気のあるスナックや料理の材料として親しまれています。
サンフラワーシード(ひまわりの種)の栄養
サンフラワーシードには、リノール酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、トリプトファン、アルギニンなどのアミノ酸や、クロロゲン酸、キナ酸、カフェ酸などのポリフェノール、ビタミンE、ナイアシン、葉酸、チアミン、ピリドキシン、パントテン酸、リボフラビンなどのビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、マンガン、セレン、銅などのミネラルなどが含まれています。
サンフラワーシードの栄養素を詳しくみてみましょう。
ビタミンE
ビタミンEは、脂溶性のビタミンのひとつです。
強い抗酸化作用で、体内の細胞膜の酸化による老化や、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化など、生活習慣病や老化と関連する疾患を予防する働きがあると言われています。
たんぱく質
たんぱく質は、炭水化物・脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれています。
主にアミノ酸によって構成されています。たんぱく質は、アミノ酸や、アミノ酸がつながったペプチドに分解されて体に取り込まれたあと、必要なたんぱく質へと再形成されます。
人間の筋肉や臓器、体内の調整に役立っているホルモンの材料となるだけでなく、エネルギー源にもなっている不可欠な栄養素です。
不飽和脂肪酸
サンフラワーシードには、不飽和脂肪酸のリノール酸とオレイン酸が含まれています。
リノール酸は、オリーブ油、コーン油、大豆油といった植物油のほか、豆や穀類などにも含まれる脂肪酸です。血中コレステロール値を下げる働きがあり、体内では合成できず、食事から摂取する必要があるため、必須脂肪酸と呼ばれています。
オメガ6系脂肪酸に属します。
また、オレイン酸は、オリーブ油や紅花油などにも多く含まれ、オメガ9系脂肪酸に属します。LDL(悪玉)コレステロールの上昇を抑える働きがあります。
体内でも作り出すことができ、酸化しにくい特質を持っています。
食物繊維
サンフラワーシードに含まれる食物繊維は、大半が不溶性食物繊維で、腸内の便をふくらませることで腸の運動を促進し、便の排出をスムーズにする助けとなります。
セレン
セレンとは、抗酸化酵素の一部を構成し、細胞を酸化ストレスから保護する役割を果たしています。酸化ストレスは、体内に過剰な酸化物質が蓄積することで、細胞や組織の損傷を引き起こす可能性があります。セレンはこの酸化ストレスを抑制し、細胞の健康を助ける働きがあります。
トリプトファン
トリプトファンとは、「必須アミノ酸」の1つです。必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事で補う必要があります。
トリプトファンは、神経伝達物質である「セロトニン」の原料です。セロトニンには、寝つきをよくしたり、神経の興奮を鎮める作用があり、不足すると精神的に不安定になるおそれがあります。
また、トリプトファンには、老化の原因となる活性酸素を抑制する働きや、集中力や記憶力を高める効果も期待されています。
寝つきが悪い時や生理前のイライラしやすい時は特に、積極的に摂った方が良い栄養素です。
アルギニン
アルギニンとは、体内でも合成される非必須アミノ酸に分類されます。
しかし、乳幼児や成長期の子ども、大きなケガや手術後など体力の消耗が激しいときは十分に合成できないことがあります。
また、年齢を重ねると共に体内での合成量が減るため、大人でも十分摂ることがすすめられています。
脂肪の代謝を促して筋肉組織を強化したり、身長の伸びにつながる栄養素でもあります。
また、他のアミノ酸とともにTCA回路(エネルギー代謝システム)でエネルギーを効率よく生み出し疲労回復を早める働きがあります。
鉄
鉄分は赤血球の材料として欠かせないミネラルで、サンフラワーシード30g中には1.08mgの鉄分が含まれています。
鉄が不足することで貧血となり、体内に十分な酸素を供給できなくなります。酸素は、細胞がエネルギーを産生するのに欠かせないことから、鉄不足は思考や記憶といった脳の機能や、運動機能を低下させる可能性があります。
サンフラワーシード(ひまわりの種)の健康効果
自然の恵みであるサンフラワーシードの栄養から得られる優れた健康効果をみてみましょう。
血流を改善する効果
サンフラワーシードに含まれる不飽和脂肪酸には、血中のコレステロールを減らし、血管を浄化して血行を良くする働きがあります。またビタミンEにも血液の流れをスムーズにし体内のすみずみまで新鮮な酸素と栄養素を届ける働きがあり、血管を健康的に保つ効果が期待できます。
美肌・美髪効果
サンフラワーシードに含まれる鉄や亜鉛、銅などのミネラルは、体の調子を整える働きがあります。
鉄や銅は貧血の予防に、また亜鉛は細胞の生まれ変わりを助けて髪や爪、肌を健やかに若々しく保つ働きがあります。
また、ビタミンEは、冷え、美肌に役立つ成分で髪や肌をはじめとする体内の細胞の老化を予防する効果が期待できます。
他にも、葉酸は細胞の生まれ変わりや造血作用などを助ける成分として活躍します。赤血球をつくり出し細胞の生まれ変わりを助け、成長を促進する働きがあります。
細胞の生まれ変わりが盛んな、成長期のお子さんや妊婦さんには大切な栄養素です。
肌細胞の生まれ変わりのトラブルの1つである、肌荒れや口内炎の予防にも効果が期待できます。
ダイエット効果
サンフラワーシードに含まれるたんぱく質は、筋肉を維持し体重管理に役立ちます。
また、マグネシウムはエネルギーの代謝をサポートする働きがあり、食物繊維は満腹感を促進し食べ過ぎを抑えてくれる働きがあります。
ただし、サンフラワーシードは、100gあたり611kcal(1粒あたりのカロリーはおおよそ1.5kcal)と意外と高カロリーです。
食べ過ぎはカロリー過多になりますが、ダイエットに適した栄養素が豊富に含まれているので、一日の摂取目安量(約20粒)を守ることで効果が期待できます。
精神安定・安眠効果
サンフラワーシードに含まれているトリプトファンは、日中は幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」、夜は睡眠を促す「メラトニン」に変化します。
トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともに神経伝達物質であるセロトニンをつくる原料となります。セロトニンには興奮や不快感を鎮めて精神を安定させる効果が期待できます。
セロトニンは、脳の松果体でメラトニンに変換されます。メラトニンは体内時計の調整を行い、睡眠サイクルを正常にし、安眠を促す効果が期待できます。
月経前症候群の改善
トリプトファンには鎮静作用や精神を安定させる作用があり、月経前のイライラや体の不調を改善する効果が期待できます。
★参考:生命科学関連特許情報 タイトル:公表特許公報(A)「月経前症候群の症状を抑える方法」出願番号:2006533750
免疫力向上
サンフラワーシードに含まれるアルギニンには、体内で一酸化窒素の産生を高めて、細菌やウイルスに対する抵抗力を高める働きがあり、免疫力を向上する効果が期待できます。
また、細胞の増殖や、組織の修復に欠かせない物質である「ポリアミン」を合成する働きがあります。それにより、傷の治癒力を高める効果が期待できます。
筋肉の強化
アルギニンには、成長ホルモンの分泌を促す作用があります。
成長ホルモンは脂肪の代謝を促進し、筋肉を増強させる働きがあります。
この働きから、筋トレをしてる方やボディビルダーの間で、アルギニンは栄養補助剤としても活用されています。
アルギニンのほかにも、トリプトファンも同様、成長ホルモンの分泌を促進する働きがあります。
サンフラワーシード(ひまわりの種)の選び方
サンフラワーシードは、さまざまなタイプの商品が売られています。自分のニーズや好みにあわせて選ぶといいでしょう。
ここでは、種類や選び方をご紹介します。
殻付きと殻なしタイプ
サンフラワーシードには、殻付きタイプと殻なしタイプがあります。
殻付きタイプは1つずつ剥くのは大変ですが、食べ過ぎ防止になります。
一方、殻なしタイプは、剥く手間がない分手軽に食べられるのが魅力です。塩を振るなど好きな味付けをして楽しむこともできます。料理で使う場合は、殻なしタイプが便利です。
生タイプとローストタイプ
サンフラワーシードの生タイプは、少しほろ苦くしっとりと柔らかい食感が特徴です。加熱処理すると栄養素が失われやすくなるので、栄養素を効率よく摂取したい場合は生タイプがおすすめです。
一方、ローストタイプは、カリっとした食感と香ばしさが特徴です。料理でアクセントにしたいときは、ローストタイプがおすすめです。
無塩と味付きタイプ
サンフラワーシードは、無塩タイプから味付きタイプまでさまざまな商品が揃っています。
クセがない無塩タイプは、サラダやスープなど料理に加えたり、お菓子作りの材料にしたりなど、幅広く使えアレンジしやすいのが魅力です。
味付きタイプには、おつまみに最適な塩系や、チョコレートでコーティングした甘い系などがあります。
サンフラワーシード(ひまわりの種)のロースト方法
殻付きのサンフラワーシードのロースト方法
1.殻付きのシードをボウルに入れ、シードが浸る程度に水を入れ一晩漬けておく(ローストする際に乾燥し過ぎるのを防ぐため)
2.シードを水から出し、キッチンタオルで軽く押さえて乾かす
3.オーブンを150°Cに予熱する
4.クッキングシートを敷いた天板にシードが重ならないように置く
5.シードの殻が黄金色になるまで、30~40分ローストする
〈ポイント〉
・加熱中に殻の中央にわずかな亀裂ができます。両面が均等に焼けるように、時折シードをかき混ぜましょう。
・シードが熱いうちにバターなどを混ぜてすぐに食べるのもおすすめ♪ または天板にシードを置いたまま冷まし、その後密閉容器に入れて保存することもできます。
殻なしサンフラワーシードのロースト方法
1.オーブンを150°Cに予熱する
2.天板にクッキングシートを敷き、シードを重ならないように置く
3.30~40分程、シードが茶色くカリカリになるまでローストする
〈ポイント〉
・両面が均等に茶色くなるように、時々シードをかき混ぜながらローストしましょう。
・熱いうちにバターや塩、シナモンパウダーなどをかけて、そのまま食べることもできます。また、冷ましてから密閉容器に保存することもできます。
サンフラワーシード(ひまわりの種)バターの作り方
お菓子作りの材料やパンにつけたりなど、いろいろ活用できるサンフラワーシードバターの作り方をご紹介!
〈作り方〉
1.生のサンフラワーシード200~300g程を、180°Cのオーブンで15~20分程ローストする
2.オーブンから出して、シードが人肌程度に冷めたらフードプロセッサーで10~15分程、撹拌する
粉状
↓
そぼろ状(この状態が長く続きます)
↓
側面に飛んだ粉をこそげ取り再度撹拌を繰り返す
↓
油が出てきて段々とバター状に
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何度か塊をほぐしながら回し続ける
↓
塊がなくなりスムーズに回り始める
↓
好みの滑らかさまで混ぜたら完成!
〈ポイント〉
・ローストしたシードは冷まし過ぎない方が、油が分離しやすく早く作ることができます。
・なかなか油が分離しない場合は量が多すぎるのかもしれません。シードを少し取り出して攪拌し、油が分離してきたら取り出した分を加え混ぜるとうまくいく場合があります。
・撹拌後、お好みでココナッツシュガーやオイルを加えてしっかり混ぜてください。
サンフラワーシード(ひまわりの種)のおすすめの食べ方・レシピ
サンフラワーシードは、そのまま食べても美味しいですが、グラノーラやヨーグルトに加えると香ばしくさらに美味しくなります。栄養バランスも良くなり朝食にもおすすめです。
他にも、サラダやスープにトッピングしたり、炒め物にするのもいいです。いつもの野菜炒めに加えるだけで、食感が楽しい野菜炒めになります。
クセがない味わいなので、焼き菓子やパンの材料にも最適!生地に混ぜ込んで焼くと、香ばしい味わいになりますよ。
サンフラワーシードを加えるだけで栄養バランスがアップします。料理やお菓子作りにも気軽に活用してみてください。
スーパーフードグラノーラ
・オートミール 2と1/2 カップ
・サンフラワーシード 1/2 カップ
・アマニシード 大さじ1
・チアシード 小さじ2
・マカパウダー 小さじ2
・バニラパウダー 小さじ1
・ココナッツオイル 1/4 カップ
・メープルシロップ 1/2カップ
・アーモンド 50g
・塩 ひとつまみ
・カカオニブ 50g
・ゴールデンベリー 80g
1.カカオニブとゴールデンベリー以外のすべての材料をボウルに入れ混ぜる
2.クッキングシートを敷いた天板に①をひろげて置く
3.200°Cに予熱したオーブンで30分程焼く(焦げないように10分ごとに混ぜる)
4.冷ましたら、ココアニブとゴールデンベリーを加えて混ぜる
栄養満点のグラノーラのできあがりです♪
ヨーグルトやアイスにトッピングするのもおすすめです。
バジルペースト
・バジルリーフ 4カップ
・オリーブオイル 1/2カップ
・サンフラワーシード 1/3カップ
・ガーリック 2片
・レモン 1/2個
・パルメザンチーズ 1/4カップ
・塩 少々
・コショウ 少々
1.バジルリーフ、オリーブオイル、サンフラワーシード、ガーリック、絞ったレモン汁をブレンダーでソース状にする
2.パルメザンチーズ、塩、コショウを加え、再度撹拌する
自家製バジルペーストのできあがりです♪
パスタに和えたりサラダにかけるなどいろいろ活用できますよ。
まとめ
サンフラワーシードは、栄養成分のバランスが良く栄養価が高いことから、スナックや料理の材料として人気があります。ただし、食べ過ぎには注意が必要です。食べ過ぎるとカロリーや脂肪摂取量が増え、体重管理に影響を及ぼす可能性があるため、適量を守るようにしましょう。