オレガノの優れた効果とは?おすすめのレシピや料理以外の使い方も。
清涼感の強い香りが特徴で、パスタやピザなどイタリア料理には欠かせないハーブ「オレガノ」。
名前はよく聞くけど、使い方が分からない、という人も多いのではないでしょうか。オレガノはさまざまな使い方ができ、ひとつまみで料理をグッと引き締め、いつもの料理をワンランクアップさせてくれる万能スパイスです。
ここでは、オレガノの優れた効果や、オレガノを使ったレシピ、また、料理以外の活用法などをご紹介します。
オレガノとは?
オレガノは、シソ科ハナハッカ属の多年草のハーブです。
ピンク色や白色などの花を咲かせ、草丈は30~60cm程度の品種が多いです。
学名である「Origanum」の語源が「oros ganos(山の喜び)」なのは、地中海沿岸の山岳地帯に住む人々に重宝されてきたことからきています。
地中海沿岸のヨーロッパ諸国が原産で、その歴史は古く、紀元前から香辛料として利用され、また古代エジプトではミイラの防腐剤としても利用されていたといわれています。
また、オレガノは幸福のシンボルと考えられ、結婚式では新郎新婦がオレガノで作った冠を身につけて幸せを祈りました。また、死者の魂が平安であることを祈って墓地にも植えられたといいます。
オレガノが日本に伝わったのは江戸時代の末期で、ハッカに似た香りがすることと花を咲かせるハーブなことから、花薄荷(ハナハッカ)の名で普及しました。
現在はアジアやアメリカ大陸などで広く自生しています。
日本でのオレガノの旬は6月~9月ですが、オレガノは温暖な気候を好むため、寒さや暑さが激しく梅雨のある日本では、香りの高いオレガノを栽培するのは難しいとされています。
オレガノは葉と茎の部分を香辛料として使い、他のハーブと同様に生の葉を使うこともできますが、オレガノは乾燥させたほうが香りがアップすることから、一般的にはドライの方がよく使われています。
ほろ苦い味と清涼感のある爽やかな香りが特徴で、ピザやパスタなどイタリア料理には欠かせないハーブのひとつです。
オレガノの種類と特徴
オレガノを含むハナハッカ属は、地中海沿岸に15〜20種ほど分布されています。
オレガノは大きくは「オリガヌム類」「アマラクス類」「マヨナラ類」の3つに分かれ、それぞれ草姿や葉の香りに違いがあります。
オリガヌム類
オリガヌム類には、「ワイルドマジョラム」「ゴールデンオレガノ」「カントリークリーム」などがあります。
オレガノの別名に「ワイルドマジョラム」があるように、一般的なオレガノとはこのオリガヌム類のワイルドマジョラムのことを指しています。
古代ギリシャ・ローマ時代から薬として用いられてきた品種で、現代はさまざまな料理やハーブティーなどにも利用されています。
アマラクス類
アマラクス類には、「ケントビューティー」「ロタンダフォーリア」「ミルフィーユリーフ」「ユノ」などがあります。
アマラクス類のオレガノは花を楽しむ品種が多いため、「花オレガノ」とも呼ばれています。
がく部分が赤みを帯び、その中心に咲く小さな花と相まってかわいらしい印象があります。
アマラクス類のオレガノは食用にはせず、ほとんどは観賞用として流通しています。
マヨナラ類
マヨナラ類には、「スイートマジョラム」「イタリアンオレガノ」「ポットマジョラム」などがあります。
マヨナラ類は、古代エジプトでは防腐剤として用いられていました。葉が小さめの卵型で、オリガヌム類よりもやや甘い香りを持っています。そのため料理以外にも、アロマテラピーや芳香浴、ポプリなどにも利用されています。
オレガノの優れた効果とは?
オレガノは、カリウムやカルシウムなどのミネラル、葉酸やビタミンAなどのビタミン類、カルテノイドの一種であるルテインなどが豊富です。
抗菌・殺菌作用に優れていることから、欧米では「天然の抗生剤」と呼ばれ、香辛料として香りや味だけでなく栄養面でも優秀なハーブと言えます。
食中毒予防
オレガノの香り成分に多く含まれるチモールやカルバクロールには、細菌やカビに対する抗菌作用があります。
食中毒の原因である黄色ブドウ球菌およびネズミチフス菌(サルモネラ菌)に対して特に高い抗菌活性があり、食中毒の予防に有効だとされています。
★参考:福岡県保健環境研究所年報第43号 「精油の腸管系病原性微生物に対する抗菌活性について」
疲労回復・リラックス効果
オレガノに含まれるビタミンB1には、疲労物質である乳酸を溜まりにくくする働きがあります。また、糖質をエネルギーに変えるサポートをする働きもあり、ビタミンB1によってエネルギーがスムーズにつくられることで、疲労回復や精神を安定させる効果が期待できます。
眼精疲労・目の疾患を予防
オレガノにはルテインという成分が含まれています。
ルテインとは、野菜や果物に含まれるカロテノイドの一種ですが、人の網膜の黄斑部にも高濃度で存在している数少ない成分の一つです。人の体内では作りだすことができないため、食事で摂取しないといけません。
ルテインは、ブルーライトや紫外線などの有害な光を吸収します。また、強い抗酸化作用もあり、眼精疲労や眼の疾患を予防するのに効果的です。
★参考:ファルマシア Vol. 52 No. 6 2016 「機能性表示食品におけるルテインとゼアキサンチンの科学的根拠」
★参考:ルテイン情報局 「ルテイン研究と加齢黄斑変性(AMD)」
オレガノの代用品5選!
オレガノは、肉や魚の臭みを消す効果があります。そのため、オレガノが自宅にないときは、同じような効果のあるハーブで代用可能です。
オレガノがなかった時に代用できるハーブを紹介します。
代用品①:バジル
オレガノの代用品として定番なのがバジルです。
オレガノと同じシソ科のハーブで、香りはオレガノに似ていますが、オレガノに比べると香りが若干弱いため、少し多めに使うとよいでしょう。
さわやかな香りや素材の旨味を引き出す香りが特徴で、オレガノと相性の良いトマト系の料理などとよく合います。オレガノが苦手な人は、バジルを使うことで食べやすい味わいになることもあり、クセが少ないので、オレガノの強い味と香りが苦手な場合の代用品としてもおすすめです。
また、スーパーなどで手に入れやすいのもメリットです。
代用品②:パセリ
日本でもなじみの香辛料の1つであるパセリも代用品として活用できます。
パセリは爽やかな香りと独特のほろ苦い風味が特徴のハーブで、オレガノに比べると香りは若干弱めなので、少し多めに使うとよいでしょう。
見た目を華やかにしたいときの代用にも向いており、調理後の料理にトッピングするのがおすすめです。
パセリはオレガノに限らず飾り付けのアクセントとしての代用に適しています。
比較的に手に入りやすいハーブで、生でも乾燥でもスーパーで気軽に購入できることが多いです。
代用品③:マジョラム
マジョラムとは、オレガノと同じように爽やかな香りが特徴のハーブで、やや甘みもあり、オレガノのように肉や魚の臭み消しとしても使われます。
トマト料理とも相性がよく、料理をより本格的にしてくれます。
マジョラムは、オレガノより香りが強いので、量を少なめに使うとよいでしょう。人によってはマジョラムの香りを強く感じる人もいるので注意して代用しましょう。
代用品④:タイム
タイムは、オレガノとよく似たすっきりした香りが特徴のハーブです。
料理にさわやかな香りをつけたり、肉や魚の臭み消しとして使われるなど、オレガノの代用として向いています。
加熱しても香りが飛びにくいのが特徴で、どのような料理でも代用できます。
代用品⑤:ローズマリー
ローズマリーは、肉や魚の臭みを消すのに適したハーブで、清涼感のある香りが特徴です。
パセリやマジョラムなどのハーブよりも香りが強いので、代用に使うときは少量でもしっかり風味がつけられます。加熱しすぎると苦みが出るので、煮込み料理に使う際は、途中で鍋から出すのがポイントです。
オレガノの副作用・注意点
▽シソ科のアレルギーの人は注意!
オレガノはバジルやタイムなどと同じシソ科なので、シソ科のアレルギーがある人は少量でも摂取することで症状が現れることがあります。アレルギー症状は、肌の赤みや蕁麻疹など、皮膚症状として現れることが多いようです。
オレガノは料理に使われることも多いので、心配な方は事前に確認するようにして下さい。
▽妊婦・幼児などの摂取は注意が必要!
ハーブは刺激の強いものもあり、種類によっては妊婦や幼児に副作用が起こることもあります。
妊娠中にオレガノを料理に少量使う場合やハーブティーとして適量の摂取は問題ありませんが、妊娠初期の場合には注意が必要です。
また、オレガノは幼児にとって下痢の原因となることもあるため、様子を見ながら摂取しましょう。
オレガノの料理以外の使い方
オレガノは、料理以外にも活用できます。
オレガノの活用法をみてみましょう。
ポプリやリースとして
オレガノを使ってポプリやリースなどを作っても楽しめます。
オレガノは安眠効果が期待できるので、ポプリにして枕に入れたり、虫よけ効果も高いので、ユーカリやローズマリー、ミントのような、同じく防虫効果のあるハーブと併せてリースを作れば、見た目にもかわいい自然の虫よけグッズができます。
入浴剤として
入浴剤として、お風呂に入れて使うこともできます。
生のオレガノはそのままお風呂に浮かべ、ドライのオレガノはコットン製の布袋やティーバッグに入れて浮かべましょう。
オレガノ入りの浴湯はリラックス効果が高いとされています。オレガノの爽やかな香りで気持ちが落ち着き、安眠効果も期待できます。
オレガノティーの淹れ方や効能
オレガノティーの淹れ方
オレガノをティースプーン1杯ほどティーポットに入れ、沸騰したお湯150㎖を注ぐだけ。
オレガノのスパイシーで清涼感のある香りを楽しむことができます。
オレガノティーの効能
オレガノティーは、香りや味わいを楽しむだけではなく、さまざまな効能が期待されています。
食後に飲むことで、胃腸の調子を整え、消化を助ける働きがあります。
さらに、オレガノには強壮作用もあるので、疲労を感じたときなどにオレガノティーでホッとひと息入れるのもいいでしょう。
オレガノの持つ力と爽快感のある香りが心身ともに癒してくれます。
オレガノのおすすめレシピ
オレガノは、ほんのひとつまみで料理をぐっと引き締め、いつもの料理をワンランクアップしてくれる万能スパイスです。
肉やトマトなど味の濃いものと合わせると、素材の味を引き立ててくれます。
ただし、ドライのオレガノは香りがとても強いので、様子をみながらひとつまみずつ入れるのがポイントです。
ここでは、オレガノを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
本格ミートソース
・合いびき肉 300g
・玉ねぎ 1個
・にんじん 1/2本
・セロリ 1/2本
・マッシュルーム 4個
・オリーブオイル 大さじ2
・トマトの水煮缶(カット) 1缶
・コンソメ(固形) 1個
・水 200ml
・ドライオレガノ 小さじ1/4
・ドライバジル 小さじ1/2
・ローレル(ホール) 1枚
・ナツメグ(パウダー) 少々
・塩 少々
・コショー 少々
1.玉ねぎ、にんじん、セロリ、マッシュルームをすべてみじん切りにし、鍋でオリーブオイルを熱してじっくりと炒め、いったん取り出しておく
2.鍋に合いびき肉とナツメグを入れ、肉を焼きつけるようによく焼く
3.火が通ったら①を加え、トマトの水煮(缶汁ごと)、水、コンソメ、オレガノ、バジル、ローレル、塩、コショーを加え、煮立ったらアクを取り、時々混ぜながら弱火で煮詰める
4.煮汁がほとんどなくなったらローレルを取り除き、塩、コショーで味を調える
本格ミートソースの出来上がりです♪
たくさん作って冷凍保存もできます。
パスタにかけるのはもちろん、ご飯と合わせてリゾットにしたり、ミートソースのグラタン、ドリアなど、たくさん使いまわしができる万能ソースです。
ナスとチーズのオーブン焼き
・ナス 3~4本
・アンチョビ 4枚
・ピザ用チーズ 60~80g
・ピザ用ソース 大さじ3
・ドライバジル 少々
・ドライオレガノ 少々
・オリーブ油 大さじ3
・ミートソース 適量
1.オーブンシートを敷いた天板にナスを並べ、全体にオリーブ油をかけ、ピザソース、アンチョビをのせてオーブンで5~6分焼く
2.天板を取り出してピザ用チーズをかけ、バジル、オレガノを振って再びオーブンに入れ、チーズが溶けたら取り出す
3.器にミートソースを敷いて、ナスを盛り、お好みでコショウを振る
バジルとオレガノの香りが食欲をそそります♪
家庭のオーブンにより焼き時間は変わりますので調整してください。
トマトのサレ(惣菜ケーキ)
・トマト(完熟 160g程) 1個
・塩 小さじ2/3
・ドライオレガノ 小さじ1/2
・ホットケーキミックス 80g
・油 小さじ1
・バター 適量
1.1㎝角にカットしたトマト、塩、オレガノをボウルに入れ、混ぜる
2.ホットケーキミックスを加えて混ぜ合わせる
3.フライパンに油を熱し、キッチンペーパーで油を拭き取り、②を直径5~6cm程度になるように流し入れ、表面に気泡ができてきたらひっくり返してもう片面を焼く
4.熱いうちに皿に盛り、小さな角切りにカットしたバターをトッピングする
サレとは、フランスの家庭料理で、お惣菜ケーキのことです。野菜やチーズ、ベーコンや魚介類など、入れる具によっていろいろな味が楽しめるので、お好みでおうちにある具材を足してみてください。
トマトは甘みの強いトマトを使うと美味しいです。
オレガノ風味のチキンソテー
・鶏もも肉 2枚
・にんにく 4~5かけ
・ドライオレガノ 大さじ2
・オリーブ油 大さじ2
・塩 少々
・こしょう 少々
・レモン 1/4個
・クレソン 1束
・ラディッシュ(葉つきのもの) 4個
1.鶏もも肉の余分な脂肪を包丁で切り取り、肉の両面に塩、こしょうをふり、オレガノの葉のみじん切りを、大さじ1ずつまぶしつける
2.にんにくを横に2等分、レモンはくし形に2等分にカットする
3.フライパンにオリーブ油を中火で熱してにんにくを炒め、香りが立ってきたら、鶏肉の皮のほうから焼く
4.焼き色がついたら裏返し、弱火にして5~6分ほどじっくりと焼く
5.皿に鶏肉とにんにくを盛りつけ、クレソンとラディッシュ、レモンをそれぞれ盛りつける
爽やかな風味のオレガノが肉の臭みを消してくれます。
オレガノの保存方法
〈ドライのオレガノ〉
ドライオレガノは、湿気を含むことでカビやすくなります。香りが落ちる原因にもなりますので、密閉できる容器に入れ、一緒に乾燥剤を入れておくと長期保存ができます。
オレガノは、劣化に気付きにくいかもしれませんが、見た目が茶色くなったり、香りが薄くなって、以前のような強い香りがしない場合も、劣化してる目安です。
日本の梅雨は、オレガノが湿気でカビやすくなる原因です。賞味期限や、見た目の確認をしてから使用しましょう。
〈生のオレガノ〉
▼冷蔵保存・・冷蔵するときは洗わずに、水で濡らしたキッチンペーパーなどでくるみ、その上からラップで包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室へ。
保存期間は3~5日程度を目安にしてください。
▼冷凍保存・・さっと洗ってから水気をふいて細かく刻み、一回分ずつラップで包み冷凍庫へ。
冷凍した場合の保存期限は1~2か月程度です。
冷凍するととても便利ですが、オレガノは冷凍することで香りが弱くなるというデメリットもあります。しっかり香りを楽しみたい場合には向いていません。
まとめ
オレガノは、清涼感のある爽やかな香りが特徴で、イタリア料理には欠かせないハーブのひとつです。
抗菌・殺菌作用に優れ、料理以外にもさまざまな使い方で効果を取り入れることができます。
これまでオレガノを手に取ることがなかった人も、ぜひ活用してみてください。