天然カフェイン豊富なコーラナッツとは?優れた効能や使い方など。
天然カフェインが多く含まれ、薬用植物として古くから利用されてきた「コーラナッツ」。
近年、欧米ではコーラナッツの天然カフェインを原料としたエナジードリンクや、ダイエット食品の需要が高まり、日本ではクラフトコーラのブームによってコーラナッツを加えた自家製レシピが多くみられるようになりました。
カフェインというと、体に良くないイメージがありますが、適切な量の摂取は、集中力アップや疲労感の軽減など、とても優れた効果が期待できます。
ここでは、コーラナッツの優れた効果や、過剰摂取による副作用、使い方や自家製自家製クラフトコーラの作り方などをご紹介します。
コーラナッツとは?歴史
コーラナッツとは、アオイ科コラノキ属のコラノキの種子です。
コラノキは、アフリカ熱帯地方に分布する常緑樹で、高さが10~20mになる高木で、主に西アフリカの熱帯雨林で自生または栽培されています。
コーラナッツは、赤みがかった白色のナッツで、ガムのように噛んだり、粉末を煮出して飲んだりして利用されます。
1880年代、ジョージア州の薬剤師ジョン・ペンバートン氏が、コーラナッツから抽出したカフェイン等を使って発明した飲み物こそ、世界初のコーラ飲料と言われている、あのコカ・コーラです。(現在のレシピにはコーラナッツ抽出物は含まれていません)
コーラナッツは、西アフリカのグニネア地方で最初に発見されたとされています。コーラナッツには、カフェインやテオブロミンといった刺激性のある物質が含まれており、アルコールが禁止されているイスラム文化においては貴重な嗜好品であり、噛むことで空腹感や口渇感を癒し、カフェインによる覚醒作用は疲労回復を助けてきたと言われています。
そのためアフリカの熱帯雨林地帯に自生している木でありながら、伝統的にイスラム文化地域へ交易されてきた歴史があります。
古代からその効能が知られ、結婚式や祭事で食べられてきました。現在でも、眠気覚まし等のため日常的に用いられる他、日本でも注目されつつあるクラフトコーラには欠かせない原料です。
コーラナッツの効能
コーラナッツには、タンパク質やカフェイン、アルカロイドの一種であるテオブロミンなどの栄養成分が含まれ、認知機能の向上や疲労感の軽減、脂肪の燃焼促進など健康効果が期待できます。
とくにカフェインは、カカオやコーヒーよりも含有量が多く、効率的な天然カフェインの原料として着目され、エナジードリンクの原料として注目されはじめています。
認知機能の向上
「神様の食べ物」と命名された「テオブロミン」は、チョコレートやココアにも多く含まれるアルカロイドの一種です。
テオブロミンが、アルツハイマー病などの認知機能低下の原因とされるmTORシグナルを抑制することをラット実験で見出しました。
このことから、テオブロミンを摂取することは、認知機能の低下の改善や予防に効果がある可能性があるとされています。
参考:科研 機関番号:15201「mTORシグナル抑制を介した認知機能改善戦略ーモデルマウスを用いての検討」
疲労感の軽減
コーラナッツに含まれるカフェインには、疲労感を減退する効果が認められました。また、カフェイン摂取の中断により疲労感が上昇することも認めました。
参考:東京福祉大学・大学院紀要 「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」
パーキンソン病の予防
カフェインを含む飲料を飲む人は全く飲まない人に比べて4~8倍、パーキンソン病を発症しにくいことが報告されました。またこの予防効果はカフェイン摂取量に比例しており、多く飲む人の方が発症が少なかったそうです。
現在、パーキンソン病の発症に関係している遺伝子がいくつか分かっており、遺伝子変異を持っていない人ではカフェインによる発症予防効果は40%程度だったのに対し、LRKK2という遺伝子変異を持っている人では予防効果は70~80%程度ありました。
カフェインがパーキンソン病の発症予防効果があるのではないかという報告や、パーキンソン病患者さんでは血中のカフェイン濃度が低くなっているという報告があり、カフェインがパーキンソン病の発症と何らかの関係があるのではないかと考えられていましたが、この研究結果により、遺伝的にパーキンソン病発症リスクが高い人ほどカフェインの予防効果があるということがわかりました。
ただし、パーキンソン病の発症リスクを増やす遺伝子変異は他にもあるのですが、それらについてはカフェインの予防効果がどの程度あるのかは分かりません。
参考:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構「カフェインとその代謝産物がパーキンソン病診断のバイオマーカーになる―血液による診断とカフェイン補充治療への期待―」
ストレスの軽減・集中力の向上
コーラナッツに含まれるカフェインには、自律神経活動を活性化し、カフェインの薬理効果として、中枢神経の活性化、注意集中力の向上、筋肉の働きを活性化することなどが明らかになりました。
また、脳内情報処理能力が向上し、作業成績が上昇したことを示唆しています。
参考:別府大学文学部人間関係学科,別府大学大学院文学研究科臨床心理学専攻,別府大学短期大学部食物栄養科「コーヒー摂取による作業成績の向上とストレス反応の軽減」
脂肪燃焼の促進
カフェインの摂取は、運動時の脂肪燃焼を促進する可能性があることが、新しい研究で明らかとなりました。
同じ運動でも、カフェイン摂取後に行った方が脂肪の燃焼が大きく、持久力が上昇することがわかりました。
参考:Journal of the International Society of Sports Nutrition 「Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation?」
コーラナッツの使い方
コーラナッツは、土と青い草の香りが混ざったような香りです。
主にクラフトコーラの材料として使われます。
クラフトコーラは、一般的なコーラと異なり、スパイスと、レモンやライムなどの柑橘系の果物など天然の原材料を使用して作ります。原料に明確な決まりはなく、どのスパイスをどのくらい使うのかは、自分好みに作ることができます。
スパイスを多く使用するので、味は通常のコーラとは異なり、基本的な味はスパイシーでクセが強く、柑橘系のさわやかさがあります。
コーラナッツは、クラフトコーラの中でも特に重要な役割を果たしており、風味を良くするために使用されます。
自家製クラフトコーラの作り方
・砂糖 400g
・水 400ml
・レモン 2個
・クローブ 5g
・バニラビーンズ 7㎝~10㎝
・八角 3g
・カルダモン 約3g
・コリアンダーシード 3g
・ブラックペッパー 小さじ1
・シナモンスティック 3本
・コーラナッツ 小さじ2
1.カルダモンとコリアンダーシードは包丁の柄などで上から押しつぶして種を取り出し、シナモンスティックは手で細かく砕く
2.バニラビーンズは包丁で縦に切り込みを入れ、包丁の先で中身の種をそぐように取り出す
3.レモン1個を3mm程にスライス
4.もう1個のレモンは半分にカットし、レモン絞り器で果汁をしぼる
5.コーラナッツと絞ったレモン果汁以外の材料を鍋に入れて中火にかける
6.煮立ったら火を弱めて、10分程煮込む
7.火を止めて粗熱をとる
8.粗熱がとれたら、レモン果汁とコーラナッツを入れ一日常温で置く(夏は鍋ごと冷蔵庫に入れる)
9.ざるで濾したら、クラフトコーラの原液のできあがり
10.コップに原液25ml、炭酸水150mlを入れよく混ぜる
スパイスがピリリと効いたクラフトコーラの完成!
原液と炭酸水の分量はお好みで調整してください。
粉末のスパイスは入れすぎると粉っぽくなってしまうので、なるべくホールのものを使用するのがポイントです。
原液は蓋が閉まる容器に移して、冷蔵庫で保存できます。
コーラナッツの副作用・一日の摂取量
健康上の利点があるとはいえ、カフェインを過剰摂取すると、神経刺激作用を引き起こすことがあります。適量を守ることが大切です。
ナッツコーラ抽出物の副作用は、同等の用量のカフェインの効果と平行しています。
健康な成人の場合、悪影響のない1日のカフェイン摂取量は400mgと推奨されています。
例えば、ドリップコーヒー1杯(200㏄)でカフェイン量120㎎とされ、コーヒーでは1日3杯程が適量です。
【カフェインの含有量】
アラビカコーヒー 0.6 - 2.2%
ロブスタコーヒー 1.2 - 2.5%
カカオ 0.1 - 0.5%
コーラナッツ 2.8%
また、妊婦や授乳中の女性がカフェイン過剰摂取すると、血管を収縮させるため赤ちゃんに運ばれる栄養や酸素が少なくなり、流産や新生児の低体重リスクを招くと言われています。
WHOは、「妊婦の場合カフェインの胎児への影響はまだ確定していないが、カフェインの摂取を1日300mgまでにするように」としており、欧州食品安全機関では、「妊婦・授乳中の女性は習慣的なカフェイン摂取は200mg/日以下であれば、胎児に健康リスクは生じない」としています。
各機関の研究内容によっても基準に若干の差はあります。
参考:別府大学文学部人間関係学科,別府大学大学院文学研究科臨床心理学専攻,別府大学短期大学部食物栄養科「コーヒー摂取による作業成績の向上とストレス反応の軽減」
コーラナッツの保存方法
直射日光や高温多湿な場所は避け、冷暗所にて密閉保存して下さい。
開封後はお早めに使用してください。
まとめ
コーラナッツは主にクラフトコーラの材料として使われ、コーラナッツを使うことで風味が良くなり、格段にコーラ感が増します。
カフェインやテオブロミンなどが豊富に含まれ、さまざまな健康効果が期待できるのもうれしいです。
ただし、カフェインの摂り過ぎは健康に異常をきたす場合があります。適量を守りましょう。