ナツメグとは?ハンバーグ以外の使い方や体に嬉しい効能。中毒量など

ハンバーグのレシピでよく目にする「ナツメグ」。

ほのかな甘味とスパイシーな香りが特徴のスパイスで、料理やお菓子に加えることで、本格的な味わいを楽しめるのが魅力です。

スーパーで簡単に購入でき、何気なく使っているという方も多いかもしれませんが、ナツメグは古くから薬用としても使われており、身体に嬉しい効果をたくさんもたらしてくれるスパイスです。

しかし、摂取量を間違えると中毒症状を起こしてしまうこともあります。

ここでは、ナツメグの特徴適切な使用量、また、ナツメグがない時の代用品ナツメグの使い方レシピをご紹介します。

ナツメグとは?

ナツメグとは、インドネシアのモルッカ諸島原産のニクズク科ニクズク属の熱帯性常緑樹の果実「ニクズク」の種子です。
シナモン、コショウ、クローブと並んで、世界4大スパイスともいわれています。

ニクズクの種子のまわりの網目状の赤い皮の部分を「メース」、その赤い皮の内側の黒い種子を割った中の部分(仁)が「ナツメグ」で、ひとつの果実からふたつのスパイスが得られるめずらしい植物です。
ひとつの実からできるスパイスなので、当然この2つはよく似た香味です。
甘い刺激性の香りと、まろやかなほろ苦さをもっていますが、メースのほうが、よりおだやかで上品な風味です。
どちらも古くから西欧で珍重されてきたスパイスで、17世紀初頭から150年間はオランダが独占していましたが、当初この2つが同じ木の実とは知らず、「ナツメグの樹を全部切って代わりに値のはるメースを植えるように」と指示したという、笑い話のようなエピソードがあるそうです。

ナツメグは、nut(豆)とmeg(ムスク)に由来し「ムスクの香りがする豆」を意味します。
ナツメグの和名はニクズクで、名前の由来の通りムスクを思わせるエキゾチックでスパイシーな香りが特徴です。加熱することで刺激がなくなり、甘みに変化し、特有の甘くスパイシーな香りがします。


ナツメグの効果・効能

ナツメグの効果・効能としては、消炎効果・消化促進などが期待できます。
ナツメグは、漢方では「肉荳蒄(にくずく)」と呼ばれ、消化不良や下痢の薬として処方されています。日本でも古くから健胃材として用いられ、シナモンとともに胃腸薬にも配合されています。
主な香り成分は、森林の香り成分といわれるα‐ピネンや、ミリスチシン、甘いバニラの香りが特徴のクローブの香り成分でもあるオイゲノールなどで、エッセンシャルオイルとしても利用されています。
これらの香り成分には、リラックス効果や肝臓を保護する働きがあるとされています。


リラックス効果

ナツメグの香り成分であるα‐ピネンは、ヒノキやスギ等に多く含まれる木の香り成分で、α‐ピネンを吸入することにより、空気の吸入と比較して46.8%有意に上昇し 、心拍数も2.8%有意に低下しました。また、α-ピネンの吸入によって「快適である」と感じていることが示されました。α-ピネンの吸入は、生理的リラックス効果をもたらすことが分かりました。


参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所「木材由来のにおい成分α‐ピネンは人をリラックスさせる」

肝臓を損傷から保護

ナツメグは、肝臓の酸化ストレスの減少、および肝臓の炎症を軽減するなどの、肝臓を損傷から保護する働きがあることが明らかになりました。


参考:LINK ⅾe DIET 「ナツメグの隠された力:肝臓を助ける」





ナツメグがないときの代用品5選!

ハンバーグなどの挽き肉料理にはぜひ使用したいナツメグですが、自宅にストックがない場合は他のスパイスでも代用できます。
おすすめの代用品をご紹介します。


①ブラックペッパー

ブラックペッパーは、ナツメグと同様にひき肉の臭みを消す働きがあります。そのため、ハンバーグのレシピには、ナツメグとブラックペッパーの両方が記載されている場合も多く、ナツメグがなくてもブラックペッパーだけでも間に合わせることができます。


②オールスパイス

オールスパイスは、ジャマイカやメキシコが原産のフトモモ科の植物の木の果実を乾燥させた茶色のスパイスで、「ナツメグ、シナモン、クローブ」の香りがミックスされているような深みのある香りです。お菓子作りにもおすすめです。
使用するときは、ナツメグと同量入れてください。


③カルダモン

ナツメグと同じほろ苦さがあるカルダモンは、お肉料理やスイーツ、パン作りなどに代用品として使うことができます。チャイティーやナツメグを使ったクッキーなどに代用すると、美味しくできるのでおすすめです。
 
カルダモンは、ナツメグよりも香りが強めなので、代用するときはレシピにあるナツメグの量の半分程で作ってみてください。


④ジンジャーパウダー・ガーリックパウダー

にんにくは香りが強く、ナツメグのように肉や乳製品の臭みをしっかりと抑えてくれます。ただし、入れすぎると料理の味のバランスがくずれるので注意が必要です。
生姜もにんにくと同じように香りが強いので、肉や乳製品の臭みを抑え、料理全体の味をさっぱりと仕上げてくれます。生姜も使いすぎると辛くなるので、使用する量に注意が必要です。
どちらもパウダーが便利で、特に、ガーリックパウダーは生のにんにくよりも香りが優しいので、臭いが気になる方にはおすすめです。


⑤ターメリック

カレーのスパイスとしておなじみのターメリックは、ナツメグと同じく肉の臭みを消す働きをしてくれます。ひき肉との相性もよいので、ナツメグの代用スパイスとしては、とくにおすすめです。
ナツメグより少しスパイシーな香りが加わります。


ナツメグの効果的な使い方

ハンバーグ以外でナツメグの使い方がわからないという方も多いのではないでしょうか。
ナツメグは肉の臭み消し以外にも、乳製品や野菜の臭み消し、また香り付けとして焼き菓子にも使えます。
ナツメグの活用法を紹介します。


ひき肉の臭み消しに

ナツメグといえばハンバーグに入れるスパイスというイメージのとおり、ひき肉の臭いを消すのに効果的なスパイスです。
他の調味料を加える前にナツメグを加えることによって、より肉の臭みを抑えることができます。
ハンバーグだけでなく、ロールキャベツやカレーなどに加えると、肉の臭みを消し、スパイシーで奥深い風味になります。


乳製品の臭いをまろやかに

ナツメグのほんのり甘い風味は、バターや生クリームなどの乳製品とも相性が良く、乳製品独特の臭みを抑えてくれます。
ホワイトソースやポタージュ、クリームスープ、ホットチョコレートなどに少量振り入れるとグッと美味しくなります。


野菜の青臭い風味消しに

ナツメグは、野菜の青臭さを消して甘みを引き出してくれる効果もあります。
なかでも、ポテトサラダやコロッケなどポテト系と良く合い、ジャガイモ特有の青臭みを消して甘みを引き出してくれます。
他にも、野菜スープやいつもの野菜炒めにナツメグをひとふりするだけで、いつもとちょっと違った味わいを楽しむことができます。


焼き菓子に

ナツメグは加熱するとより甘い香りが引き立つので、クッキーなどの焼き菓子にも合います。
ドイツのクリスマスには欠かせないスパイスクッキー『レープクーヘン』にも必ず使われるスパイスです。
シナモンなどと一緒に使うとより美味しくなります。


ナツメグのレシピ

ナツメグには肉の臭み消しや野菜の旨みを引き出す役割があります。
加熱することで香りが増すため、火を通す前のタイミングで加えるのがポイントです。
ハンバーグなどのひき肉を使った料理の場合は、ひき肉と調味料を合わせるときに一緒に加えましょう。
また、ほんのりとした甘みとスパイシーな風味があるので、その甘みを活かしてお菓子作りに使うこともできます。

量が多すぎると香りが強くですぎるので、使用する量には気を付けましょう。


本格的スパイスカレー

・牛豚合びき肉 200g
・玉ねぎ 1/2個
・生姜 50g
・ニンニク 1片
★カルダモンパウダー 小さじ1/3
★クミンパウダー 小さじ1/3
★ナツメグ 小さじ1/3
★チリパウダー 小さじ1/3
・水 100ml
・塩 小さじ1/4
・ケチャップ 大さじ2
・油 大さじ1

1.玉ねぎ、生姜、ニンニクをみじん切りにする
2.フライパンを中火で熱し、油をひいたら、①を入れてニンニクの香りが立つまで炒める
3.★を入れ全体に馴染んだら、牛豚合びき肉を入れて火が通るまで中火で炒める
4.水と塩を入れて水分がなくなるまで中火で加熱したら、ケチャップを入れ、さっと混ぜて火から下ろす

生姜がたっぷり入ったキーマカレーの完成です♪
スパイス4つでできる本格的カレーです。


手羽元の唐揚げ

・手羽元 8本
★チリパウダー 小さじ2
★すりおろしニンニク 小さじ1
★コンソメ顆粒 小さじ1
★しょうゆ 小さじ1
★砂糖 小さじ1
★ナツメグ 小さじ1/2
★黒こしょう 少々
・薄力粉 大さじ2
・片栗粉 大さじ2

1.オーブンを180℃に予熱する
2.手羽元はフォークで数ヶ所刺し、ポリ袋に入れる
3.★を混ぜ合わせ②に加えてよく揉み込み、冷蔵庫で30分ほど置く
4.薄力粉と片栗粉を加えて揉み込む
5.クッキングシートを敷いた天板に並べ、180℃のオーブンで20分ほど焼く

中まで火が通ったら手羽元の唐揚げの出来上がり♪
ナツメグやチリパウダーなどのスパイスが香り、食欲をそそる一品です。
おつまみにも!


煮込みハンバーグ

・牛豚合びき肉 170g
・塩 小さじ1/4
・卵  1個
★ナツメグ 少々
★パン粉 30g
★黒こしょう 少々
・玉ねぎ 1個
・しめじ 50g
・ブロッコリー 30g
・にんじん 100g

(煮込み用ソース)
・薄力粉 大さじ2
・水 300ml
・コンソメ顆粒 5g
▼ケチャップ 大さじ3
▼ウスターソース 大さじ3
・有塩バター 5g
・油 小さじ2

1.玉ねぎ半玉をみじん切りにする
2.残りの玉ねぎは薄切りにし、しめじは石づきを切り落とし、手でほぐす
3.にんじんとブロッコリーは一口大に切り、耐熱皿に並べ、ふんわりとラップをかけ、600Wの電子レンジで3分加熱する
4.ボウルに牛豚合びき肉、塩を入れてこね、粘りが出たら★、卵、みじん切りの玉ねぎを加えて、さらにこねる
5.全体がなじんだら2等分にして、成形し、中央にくぼみを作る
6.中火で熱したフライパンに油をひき、⑤を入れて焼き、両面にこんがりと焼き色がついたら一度取り出す
7.同じフライパンを中火で熱し、バターを入れて溶かし、②を入れて炒める
8.しんなりしてきたら、薄力粉を茶漉しでふるい入れ、炒め合わせる
9.粉っぽさがなくなったら、水を少しずつ加えて都度混ぜ合わせ、コンソメ顆粒を加えて中火で加熱する
9.沸騰したら▼を加えて混ぜ合わせる
10.とろみがついたら⑥を戻し入れ、ソースをかけながら弱火で10分ほど煮る

器に盛り付け、にんじんとブロッコリーを添え、残りのソースをかけたら完成♪

表面に焼き色をつけてから煮こむのがポイントです。そうすることで煮崩れることなく、きれいに仕上がります。


ジャガイモのポタージュ

・じゃがいも  3個(250g)
・玉ねぎ 60g
・水 150ml
・牛乳 300ml
★塩 小さじ1
★コンソメ顆粒 小さじ1/4
★ナツメグ 小さじ1/4
・オリーブオイル 大さじ1

(トッピング用)
・オリーブオイル 小さじ2
・黒こしょう 適量

1.玉ねぎを薄切りにする
2.じゃがいもは薄めにスライスする
3.中火で熱した鍋にオリーブオイルをひき、玉ねぎを入れ、すきとおるまで炒める
3.じゃがいもと水を入れ、蓋をして中火で10分程煮る
4.じゃがいもに火が通り柔らかくなったら、へらで潰しながら加熱する
5.牛乳と★を入れて混ぜ合わせ、中火で沸騰直前まで温めたら火から下ろす

器に盛り付け、トッピングの材料をかけたら完成♪

じゃがいもや玉ねぎの食感を少し残した、食べ応えのあるポタージュです。


スペキュロス(スパイスクッキー)

・薄力粉 240g
・砂糖 140g
・バター 120g
・卵 1個
★ナツメグ 小さじ1/2
★シナモン 小さじ1
★カルダモン 小さじ1/2
★クローブ 小さじ1/2

1.バターを常温に戻し、ボウルに入れ、泡立て器で柔らかくなるまで混ぜる
2.砂糖を少しずつ加えさらに混ぜる
3.溶いた卵を3回に分けて入れ、都度混ぜる
4.薄力粉と★を合わせて、ふるい入れる
5.ヘラで切るように混ぜ、塊にしたらラップで包み、冷蔵庫で3時間以上置く
6.生地を伸ばして5mm弱の厚さにしたら型抜きをする
7.170℃に予熱したオーブンで18分焼く(焦げないように確認しながら調節)

焼けたらオーブンから取り出し、固くなるまで冷ましたら完成♪

スペキュロスは、ベルギーの伝統的なお菓子で、シナモンやカルダモンなどのスパイスをきかせているクッキーです。
少しハードに焼き上げられているのが特徴なので、満足感があります。

スパイスはお好みで量の調節をしてください。ジンジャーパウダーなどを加えても美味しく仕上がりますよ。


ナツメグの注意点

ナツメグは薬にも使われ、体に嬉しい効能がたくさんあるスパイスですが、大量摂取すると中毒症状を引き起こす恐れがあるので、適正量を守って使うようにしてください。


ナツメグのアレルギーと中毒症

ナツメグはナッツ類ではないので、ナッツアレルギーの心配はありません。

ナツメグを大量摂取すると、幻覚作用・精神錯乱・めまい・呼吸困難・吐き気などの症状が起こる可能性があります。
これらの症状は通常1日程で回復するといわれていますが、人によっては2~3日続くこともあります。


ナツメグの中毒量と致死量の目安

ナツメグによって中毒症状が出る量は、
・中毒量:ナツメグ5g~15g(茶さじ9杯/日で中毒症状の報告あり)
・最小致死量:ナツメグ2個
とされています。

成人でも、5gで中毒症状があらわれる場合があるため、それ以下の摂取量を守りましょう。
通常の料理に使うだけであればあまり気にすることはありません。

また、生のナツメグには子宮収縮作用があり、堕胎薬として使われていたこともあります。
妊婦の方は特に使用に注意が必要です。必ず加熱調理して口にするようにしましょう。

※ナツメグの標準的な使用量は、肉1kgに対して0.2g程度といわれています。


まとめ

ハンバーグなどの挽き肉料理で活用される「ナツメグ」は、野菜料理や乳製品とも相性が良く、また、甘くてスパイシーな香りはお菓子作りにも適しています。
古くから薬用としても人々の生活に取り入れられ、身体にも嬉しい効果をたくさんもたらしてくれますが、摂取量を誤ると中毒症状を起こしてしまう可能性があります。
適切な使用量を守り、ナツメグの優れた栄養を効果的に摂り入れてみてください。


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