天然のマルチビタミン「ネトル」の効能とは?ネトル茶の飲み方など。
『天然のマルチビタミン』と称されるほどビタミンやミネラルを豊富に含むことで知られている「ネトル」。
欧米の植物療法には欠かすことができない重要なハーブとされ、古くからさまざま症状に用いられてきました。
特に、花粉症など春先のトラブルの予防として、主にハーブティーとして飲まれています。
ここでは、ネトルの特徴や効能、ネトル茶の飲み方、おすすめのレシピをご紹介します。
ネトルとは?
ネトルは、イラクサ科イラクサ属の多年性植物で、成長すると高さは30~50cm程度になります。
「ネトル」の名前は、英語で「針」を意味する「needle」に由来すると言われ、 和名の「西洋イラクサ」も漢字で「刺草」と書きます。その名の通り、葉や茎に細く鋭いトゲがあり、刺さると焼けるように痛く、皮膚が赤く腫れます。この症状は、トゲにヒスタミン等の毒成分が含まれていることから起こります。
ネトルはヨーロッパ原産のハーブですが、その繁殖力の強さから、今日では世界中の至る所で見られます。
ヨーロッパでは、古くからメディカルハーブとして長く利用されてきました。
天然のマルチビタミンとも呼ばれ、近年はサプリメントやお茶など健康食品の素材としても注目されています。
ネトルの歴史
古代の多くの詩人たちは、ネトルを詩に詠み、薬草家たちは強力な薬草として利用してきました。
アンデルセン童話「白鳥の王子」の中にも登場しており、白鳥になった兄弟の呪いを解くために王女が紡いだ糸にはネトルが使われています。
17世紀の英国の薬草家ニコラス・カルペパーは「冬の間に過剰になった粘液を消滅させる」と記述しており、ネトルは長い冬が終わり、季節の変わり目(木の芽どき)に体調を崩すことなく過ごすための活力を体に与え、春の倦怠感や不調を解消するために用いられていたと言われています。
また、ローマ皇帝シーザーの軍勢がイギリスにイラクサの一種のローマン・ネトルを持ち込み、ネトルで打って体を温めたと言われています。これは、ネトルのトゲに含まれるヒスタミン酸がアレルギー反応を起こしヒリヒリするため体が温まったのかもしれません。
また最近まで、関節炎やリュウマチの患部をネトルで打つのはポピュラーな民間療法だったそうです。
今でも春の浄化強壮薬として用いられ、近年は、花粉症の予防に役立つことで知られるようになりました。
ネトルの栄養と効能
『天然のマルチビタミン』と称されるネトルは、 タンパク質、カルシウム、リン、鉄、マグネシウム、クロロフィル、βカロテン、カリウム、ビタミンB、C、D、 食物繊維などの有用な栄養素をバランス良く、豊富に含んでいます。フラボノイドの一種であるケルセチン 、ポリフェノールなども含まれています。
ネトルの緑色の色素は葉緑素「クロロフィル」で、人間の血液の赤い色素「ヘモグロビン」と構造が類似していることから、『植物の血液』とも呼ばれ、浄血と造血の目的で用いられてきました。
また、鉄やビタミンC、葉酸などを含むことから、貧血にになりがちな妊婦さんや授乳期の栄養補給に役立つとされ、安心して使用することができます。
古くから、欧米の植物療法には欠かすことができない重要なハーブとして知られ、体の中の老廃物の排泄を促すことによって血液を浄化し、アトピー性皮膚炎や花粉症、リウマチといったアレルギー性疾患や痛風や前立腺肥大といった代謝性疾患の予防など、さまざま症状に用いられています。
参考:特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会「ネトル」
花粉症・アレルギー症状の緩和
ネトルの葉に多く含まれているケルセチンには、花粉の反応を媒介するヒスタミンを放出する細胞の膜を安定させる働きがあるとされています。そのため、春先の花粉がつらい季節の体調維持の他、気候の変化に敏感な方の体調をサポートするのに役立ちつとされています。
アレルギー疾患では、不快な症状に直接働きかけるというよりも、アレルギー体質そのものに働きかけて改善に導くとされています。
参考:特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会「アレルギーの改善に役立つハーブを学ぶ「ネトル」Nettle」
デトックス効果
ネトルは、利尿作用や浄血作用に優れていることから、浄化のハーブと呼ばれ、古くから春季療法で親しまれています。
春季療法とは、ドイツをはじめとするヨーロッパでおこなわれている民間療法で、春先にエルダーフラワー、ダンディライオンなどと共にハーブティーとして積極的に飲み、花粉症などのアレルギー予防や冬の間に体の中に溜まった毒素や老廃物を除去しようというものです。
このように、ネトルは古くから高いデトックス効果が期待され活用されてきました。
また、血液をきれいに保つために役立つとされており、過剰になってしまった尿酸を排泄する働きにも優れ、古くから痛風、 リウマチの治療、関節炎などにも利用されてきました。
髪や爪の強化
ネトルには、ケイ素も含まれています。
ケイ素は、人の骨や髪、皮膚などを構成している元素のひとつで、健康的な歯、髪、爪の生成に不可欠なものです。
また、コラーゲンやエラスチンといった結合組織に働いて構造を強化することでも知られ、爪や髪の弱質化や傷跡の修復など、植物美容学や植物皮膚学の領域でも用いられています。
貧血予防
ヘモグロビンに構造が類似したクロロフィルを豊富に含むネトルは、古くから浄血と造血の目的で用いられてきた歴史があります。
クロロフィルとは、葉緑素とも呼ばれる色素成分で、抗酸化作用や抗炎症作用、解毒作用などがあるとされています。
体内の老廃物の排出を促して血液をきれいにすると共に、豊富に含まれるクロロフィルや鉄が造血を助け、貧血をはじめとする血液のトラブル改善に役立つとされています。
ネトル茶(ハーブティー)の飲み方
ネトルは、古くからヨーロッパで春先に起こるアレルギーなどの不調を予防するためにハーブティーを飲む、「春季療法」に用いられてきました。
ネトル茶は花粉の季節を穏やかに過ごせるお茶として現在も人気です。
ここでは、ネトル茶のおすすめの飲み方を紹介します。
ネトル茶の淹れ方
1.ティースプーン山盛り3~4杯(約4g)のドライネトルの葉に熱湯を150mℓを注ぐ
2.フタをして10分間抽出する
1日2~3杯が適量です。
緑茶や抹茶のような風味で、他の茶葉とブレンドするのもおすすめです。
レモンやハチミツを加えると、甘さと酸味が増し、より深みのある風味になります。
ネトル茶におすすめのブレンドハーブ
〈エルダーフラワー〉
・抗アレルギー作用を持ち、風邪やインフルエンザ、花粉症の治療に用いられているハーブです。欧州では、冬のうちからネトルとエルダーフラワーのブレンドティーを飲み、老廃物やアレルギー物質を排出し春の不調に備えるほど、ポピュラーな組み合わせです。春に体調を崩しがちな方におすすめです。
〈ダンディライオン〉
・デトックスハーブと呼ばれ、体の毒素だけでなく心に溜まっている怒りなどのマイナスの感情も浄化してくれると言われています。緑茶のような味わいのネトルと、ほうじ茶のような味わいのダンディライオンは、ほっこりと落ち着く味でとても相性が良く、食事に合わせて飲むのにもおすすめです。
〈その他〉
・他にも、レモンバームやローズ、ローズヒップ、ペパーミント、ルイボスなどとも相性が良くおすすめです。
ネトルを使ったおすすめレシピ
ネトルは春に限らず、健康維持にとても役立ちます。
主にハーブティーとして使われることが多いのですが、ヨーロッパでは、パン生地やスコーンに練りこむなど料理にも使われています。
ネトルの簡単スコーン
・薄力粉 250g
・ベーキングパウダー 小さじ3
・はちみつ 大さじ1
・バター 50g
・卵 1個
・牛乳 大さじ2
・ドライネトル 小さじ1と1/2
・ドライエルダーフラワー 小さじ1と1/2
1.ネトルとエルダーフラワーを混ぜ、すりこ木で摺る
2.①に牛乳を入れ、レンジで30秒温める
3.ボウルに薄力粉とベーキングパウダーを入れ混ぜる
4.③に1cm角に切った冷えた状態のバターを入れ、手で潰すように混ぜる
5.卵とはちみつと②を加え、しっかりこねる
6.薄力粉をひいた台の上に置き、手の平で1㎝ぐらいの厚みになるまで伸ばし型抜きをする
7.180℃に予熱しておいたオーブンで約15分焼く
ハーブスコーンの出来上がり♪
焼き加減は様子を見ながら時間調節してください。
甘さ控えめなので、ジャムやヨーグルトを添えて食べてもおいしいですよ。
ネトルふりかけ
・ネトル 大さじ3
・塩 大さじ1
・ごま 大さじ2
・かつお節 適量
1.フライパンで塩を弱火で炒り水分をとばす
2.ボウルに塩とその他の材料を入れて混ぜる
保存容器に入れて、できあがり♪
ご飯にかけたり、おむすびにしたり、炒め物に使ったり、天然のマルチビタミンといわれているネトルの栄養をたっぷり摂るのに便利ですよ。
ネトルの副作用
ネトルに副作用の報告はありません。
「妊婦さんのためのハーブ」とも呼ばれているネトルは、鉄分やビタミンC、葉酸などを含み、貧血になりがちな妊娠中の方や授乳期にも良いとされ、安全なハーブと言われています。
まとめ
天然のマルチビタミンと称される「ネトル」は、ビタミンやミネラルが豊富で、主にアレルギーや花粉症ケアとして用いられています。
ハーブティーは、1日2~3杯を毎日飲み続けることが大切です。そうすることで、じわじわと自然の力を体内に取り込むことができます。さまざまなハーブと相性が良いので、ブレンドティーにするといろいろな風味が楽しめますよ♪