女性を美しくするハーブ「フェンネルシード」の効能、使い方やレシピも。

スパイス、ハーブ、また生薬としても用いられているフェンネルは、種だけでなく、葉や株すべてが料理に使える優れた植物です。

特に、種(シード)はスパイスとして魚料理との相性が抜群で、 ほんのり甘い香りとかすかにほろ苦い風味は、料理以外にもスイーツとも相性が良く、またハーブティーとしても親しまれています。

また古くから、女性を美しくするハーブとして愛され、女性に嬉しい効能にも優れています。

ここでは、フェンネルシードの効果・効能や、フェンネルハーブティーの淹れ方使い方やおすすめ簡単レシピをご紹介します。

フェンネルとは

フェンネルは、地中海原産のセリ科ウイキョウ属の多年草の植物で、古代ギリシャ時代では薬用として栽培されていました。
フェンネルの名は、ラテン語で「小さな干し草」を意味する「Foeniculum」に由来しています。
日本では「茴香(ウイキョウ)」、イタリアでは「フィノッキオ」と呼ばれ、中国のミックススパイスである「五香粉」や漢方薬にも使われており、平安時代に中国を経由して日本に伝わったといわれています。

フェンネルは、スパイスである種(シード)はもちろん、葉や株も利用することができる優れた植物です。
日本ではまだあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパ諸国では日常的に食べられており、主にサラダやパスタ、魚料理の香りづけなどに使われています。
また、インド料理のレストランなどで見かける、カラフルな粒状のものもフェンネルです。
フェンネルシードを砂糖でコーティングした「ソーンフ」という食べ物で、消化を助ける目的と、お口直し用に置かれています。


種(シード)

スパイスとしてよく使われている種(シード)は、正確には種ではなく、その周囲の果皮ごと乾燥させているので、フェンネルの果実です。

フェンネルシードはフェンネルの花が終わった後にできる果実で、0.7~1㎝の楕円形をしています。フェンネルシードには甘い香りがあり、パンやクッキーなどのお菓子作りや、ハーブティーとしても親しまれています。
ぷちぷちとした口当たりで、パウダー状でも売られています。


フェンネルの葉の部分は、生のままハーブとして食べることができます。独特の甘い香りを持ち、ディルと同様に「魚のハーブ」と呼ばれ、魚介類と組み合わせた料理に使われます。
他にも、ちぎってサラダに加えるほか、細かく刻んで和え物やパスタ、スープや煮込み料理などに加えると、甘くさわやかな風味と彩りをプラスすることができます。また、カルパッチョや魚のソテーなどの仕上げに添えると、高級感のある味わいに仕上げることができます。


フローレンスフェンネルと呼ばれる種類は、株元が白く肥大しており野菜として食べることができます。
生で食べるとセロリのようなシャキシャキとした食感で、加熱すると玉ねぎのような甘味が楽しめます。
薄くスライスしてサラダに加えるほか、加熱してスープやパスタ、ピクルスの具材として使うことができます。
イタリア料理の「パスタコンサルデ」という、イワシとフェンネルを使ったパスタは、代表的な料理のひとつです。


フェンネルの味と香り

フェンネルは、リコリス(甘草)のような少し甘くスパイシーな香りと、ほんのり苦味があるのが特徴です。
香りも見た目も、同じセリ科のハーブである、ディルとよく似ています。
また、八角(スターアニス)と香りが似ていることから、八角を「大茴香」、フェンネルを「小茴香」と呼ぶこともあります。


フェンネルと他のハーブとの違い

フェンネルとディルの違い

ディルはフェンネルと同じセリ科の植物です。
どちらも魚のハーブとして知られ、さわやかな風味が特徴です。
味や香りも食べ比べないと分からない程と言われており、お店などで名前が表示されていないと見分けがつきにくいかもしれません。
若干、ディルの方が葉が細かく柔らかめです。


フェンネルとセージの違い

セージは、シソ科の植物です。
葉はオーバル型をしており、フェンネルとは見た目も香りも全く異なります。
ミントのような爽やかな香りを持っているため、ローズマリーやパセリなどと一緒に肉料理の臭み消しなどに使われることが多いハーブです。


フェンネルとアニスの違い

アニスは、フェンネルと同じセリ科の植物の種子で、形状が良く似ています。
どちらも香りの主成分アネトールを含んでおり、独特な甘い香りも似ていますが、アニスの方がより刺激的です。
スープや煮込み料理、焼き菓子の風味付けなどに使われます。


フェンネルとクミンの違い

クミンもフェンネルと同じセリ科の植物の種子で、形や色も似ています。
甘い香りのフェンネルに対し、クミンは独特なスパイシーな強い芳香があります。
カレーの主原料であり、カレーを作るうえで欠かせないスパイスです。


フェンネルシードの効果・効能

フェンネルの主な栄養成分は、カルシウムや鉄、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維などです。
消化を助け、口臭を消す効果があると考えられ、インドでは食後に口直しとして噛む習慣があります。

フェンネルの独特な甘い香りは、アネトールという成分がもたらしています。
アネトールには、消化促進作用や腸のガス排出、整腸作用などがあるとされ、安中散(あんちゅうさん)や、太田胃散、仁丹など、胃腸薬や漢方薬などにも使われています。
また、古代ギリシャでは「痩せるハーブ」として知られ、ダイエット効果や、高い抗酸化力により、エイジングケア効果も期待できるとされています。


参考:「フェンネル種子からの成分の抗酸化活性」CiNii(学術情報検索サービス)



参考:「八角とフェンネルの加熱香気について」東京家政大学研究紀要





エイジングケア効果

フェンネルには高い抗酸化力があり、老化や病気の原因となる体の酸化を抑制する働きがあります。


参考:「抗酸化による老化防止の効果」公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット



ダイエット効果

フェンネルは、「痩せるハーブ」として古くから親しまれているメディカルハーブです。
フェンネルには利尿作用や発汗作用があり、さらに便秘を解消し、お腹に溜まったガスを排出する作用があります。これにより、肥満の原因となる体内の余分な水分や老廃物を排出する効果が期待できます。また、フェンネルの香りには食欲を抑える働きもあることから、ダイエット効果が期待できます。


参考:「フェンネル」ハーブ辞典

更年期症状の軽減

フェンネルは、更年期症状を軽減するための安全かつ有効な治療であると結論づけられました。
特に効果的だった症状は、ホットフラッシュ、不眠症、膣乾燥および不安です。


参考:「フェンネルシードの効果と安全性 生理前・更年期のハーブ」

消化不良・便秘・お腹の張りを改善

フェンネルは、消化を助け、胃腸に溜まったガスを除いてくれます。消化不良や便秘、お腹が張っているときなどに効果的といわれています。


参考:「フェンネルの効能・効果を活かして、すてきなハーブライフを…」ハーブのちから

利尿・発汗作用

フェンネルには利尿・発汗作用があり、古来よりダイエットに効果のあるハーブとして使用されてきました。利尿作用により体のむくみを和らげ、手足の浮腫を取り除きます。


参考:「フェンネルの効能・効果を活かして、すてきなハーブライフを…」ハーブのちから

眼精疲労の改善

フェンネルは、眼精疲労に効果があるとされ、古来より視力回復に使用されてきました。


参考:「フェンネルの効能・効果を活かして、すてきなハーブライフを…」ハーブのちから

フェンネルシードの代用品

フェンネルシードは、普通のスーパーでは売られていないこともあります。どうしても手に入りにくいという時の代用品をご紹介します。


代用品①:セロリ

セロリはフェンネルと同じくセリ科の植物なので、風味が似ており、料理の風味付けに使いたいときなどの代用に適しています。


代用品②:アニス

アニスも同じくセリ科の植物で、フェンネルシードと同じ香り成分アネトールを含んでいます。
そのため、食材の臭み消しや風味付け、お菓子の香り付けなどに活用したいときの代用品として適しています。


代用品③:キャラウェイ

キャラウェイはフェンネルと同じセリ科のスパイスで、 スッとした爽やかさとほんのり甘い香りが特徴です。
肉や野菜のグリルやカレーなどの煮込み料理や、パンやクッキーなどの香り付けの代用品として適しています。


フェンネルシードの使い方

フェンネルシードは粒状のものだけでなくパウダー状のものもあります。
魚介料理の臭み消しに用いられることが多く、魚介の蒸し物やマリネなどに使われます。
また、魚介料理だけでなく、ザワークラウト、ピクルスなどの野菜料理や、ドーナツや焼き菓子など、甘い香りを活かしたスイーツにもおすすめです。

マイルドな香りなので、他のスパイスとも相性が良く、また、熱を加えなくてもそのまま振りかけるだけで香りが立つので、サラダなどに直接振りかけるだけで、フェンネルの爽やかな風味を味わうことができます。

ヨーロッパでは、日本でいうゴマを使うような感覚でさまざまな料理に使われ、クミンがエスニック風味にするとしたら、フェンネルは西洋風に変化してくれます。


フェンネルハーブティーの作り方

フェンネルシードはハーブティーとしてもよく利用されます。
甘みのあるスパイシーな香りにほんのり甘い味わいがあり、整腸作用や、むくみ、便秘によいとされています。
フェンネルシードの良い香りと風味が口の中をすっきりさせてくれるので、食後におすすめのハーブティーです。
さらに、炎症を鎮める作用もあるので、風邪のひき始めに飲むと症状を和らげる働きがあるとされています。


フェンネルハーブティーの淹れ方

1.小さじ1杯半程度をポットに入れる
2.沸かした熱湯を注ぎ、蓋をする
3.そのまま5分程浸出し、お好みの濃さになるまで置く

ストレートではもちろん、独特な風味が苦手という方は、ローズヒップやカモミール、レモングラスなどとブレンドするのもおすすめです。
はちみつなどを混ぜても美味しくいただけます。


フェンネルシードのレシピ

カレーやサブジ(野菜の炒め煮)など、インド料理はもちろん、スイーツにも活用できるフェンネルシードのおすすめレシピをご紹介します。


フェンネル香るキーマカレー

・油 大さじ2
・牛豚合挽き肉 200g
・玉ねぎ 200g
・にんにく 2片
・生姜 20g
・フェンネルシード 小さじ1/2
・トマト水煮ダイス 大さじ4
・ナツメグ 少々
・カレー粉 大さじ2
・塩コショウ ふたつまみ
・水 100cc
・ガラムマサラ 小さじ2
・塩 小さじ1/2

1.鍋に油を引き、フェンネルを入れ弱火にかける
2.ふつふつと泡が出てきたら粗みじん切りにした玉ねぎと、みじん切りにしたにんにく、みじん切りにした生姜を入れ、玉ねぎが飴色になるまで炒めたらトマトを加え水気が飛ぶまで炒める
3.トマトの水気が飛んだら弱火にしてカレー粉を加え馴染ませる
4.挽き肉を入れ、塩こしょうとナツメグを加え炒める
5.肉に火が通ったら水、塩、ガラムマサラを加え汁がなくなくなるまで弱火で煮詰める

お好みでターメリックライスに卵黄をのせたら完成♪
トマトは水分が飛ぶまでしっかり炒めてください。
フェンネル香る本格的キーマカレーです。


サバのトマトソースパスタ

・サバ缶 1缶
・オリーブオイル 大さじ1
・ニンニク 1〜2片
・フェンネルシード 小さじ1
・カットトマト缶 1缶
・醤油 小さじ1/2
・はちみつ 小さじ1/2
・塩コショウ 適量
・ドライバジル 適量

1.パスタ(2束)を茹でてる間にフライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りにしたニンニクと、フェンネルシードを炒める
2.水気を切ったサバ缶を加え、サバはヘラで適当な大きさにつぶす
3.トマト缶、醤油、はちみつを加え、ある程度煮詰めてから塩コショウで味をととのえる
4.火を止めて、茹で上がったパスタを加えてからさっと混ぜる

器に盛ってドライバジルを振りかけたら完成♪

サバ缶で簡単にできて栄養満点です。


小松菜とツナのサブジ

・小松菜 1袋
・ツナ水煮缶 1缶
★コリアンダーシード 3~4粒
★フェンネルシード 2つまみ
★クミンシード 小さじ1/3
・オリーブオイル 小さじ2
▼クミンパウダー 5振り
▼塩 少々
・カイエンペッパー お好みで少々

1.小松菜は根元を切り落とし3cmくらいのざく切りにし、コリアンダーシードは軽く潰しておく
2.フライパンにオリーブオイル、★を入れたら弱火にかけ、ふつふつと泡立って香りがたってきたら小松菜を入れ、少し火を強めて炒める
3.小松菜がしんなりしてきたらツナを加え炒め合わせ、▼を振って味をととのえる

お好みでカイエンペッパーをかけたら完成♪
サブジとはインド料理で野菜の炒め煮込みのことです。

ホールスパイスは弱火でじっくり香りを引き出してください。
ツナの塩分があるので塩は味を見て調節してください。
作り置きおかずにも♪


フェンネルピザ

・ピザ生地 1枚
・玉ねぎ 1/4
・マッシュルーム 5個
・アスパラ 2、3本
・ハム 1枚
・フェンネルシード 2つまみ
・トマトソース 大さじ2
・粉チーズ 大さじ1
・ハーブ塩 1つまみ
・ブラックペッパー 1つまみ

1.ピザ生地にトマトソースを塗り、薄切りにしたマッシュルーム、みじん切りにした玉ねぎ、薄切りにしたアスパラとハムをのせる
2.ハーブ塩、ブラックペッパー、フェンネルシード、ピザ用チーズ、粉チーズをかけて、200°Cのオーブンで10分程焼く

お酒にも合うスパイスピザの完成♪
おもてなし料理にも!


キャロットラペ

・人参 2本
・柑橘系フルーツ 1個
・フェンネルシード 小さじ1
・酢 大さじ3
・オリーブオイル 大さじ2
・はちみつ 大さじ1
・塩 小さじ1

1.人参は千切りにし、塩小さじ1をふりかけてしんなりさせる
2.酢、オリーブオイル、はちみつを混ぜた中にフェンネルシードを入れる
3.人参がしんなりしてきたら水気を絞り、②の調味料と和える
4.皮を剥いた柑橘系を食べ易いサイズにカットし和える

常備菜にも便利なキャロットラペの完成♪
お好みで甘さや酢を調整してください。
仕上げにブラックペッパーをかけたり、レーズンやナッツを入れても美味しいです。

人参嫌いのおこさまにも♪


フェンネルクッキー

・バター 100g
・砂糖 80g
・卵 1個
・薄力粉 160g
・フェンネルシード 30g
・レーズン 30g

1.常温にしたバターを泡だて器で滑らかになるまで混ぜる
2.バターに砂糖を入れ、白っぽくなるまで空気を含ませるように混ぜる
3.卵をほぐし、2~3回に分けて混ぜ合わせる
4.振るった小麦粉を入れ、ヘラで8割程まぜたら、フェンネルシードを入れ粉っぽさが無くなるまでさっくりと混ぜる
5.レーズンを入れ、またさっくり混ぜる
6.天板にクッキングシートを敷き、スプーンで生地を間隔をあけて置き、180℃のオーブンで20分ほど焼く

ザクザク食感がやみつきになるフェンネルクッキーの完成♪
レーズンを入れることでしっとり感も楽しめます。

焼く時、レーズンは焦げやすいので表面にできるだけでないように置くといいです。
生地は冷凍保存できます。


フェンネルシードの注意点

授乳期に摂取すると、母乳の出をよくすることが知られていますが、同時に子宮を刺激するともいわれています。妊娠中の方やテンカンの方は使用法、摂取量に注意しましょう。
また、にんじんやセロリ、ヨモギなど、セリ科の植物にアレルギーのある人は、アレルギー症状がでる場合があるので注意が必要です。


フェンネルシードの保存方法

直射日光、高温多湿を避け保存してください。
開封後は冷暗所にて密封保存し、早めにご使用下さい。


まとめ

フェンネルは、種(シード)、葉、株すべてが料理に使え、特に種(シード)は、魚料理との相性が良く、ほんのり甘くスパイシーな風味は、料理以外にも焼き菓子などのスイーツなどにも合います。
また、更年期の症状やダイエットにも効果が期待できるなど女性に嬉しい効能にも優れています。
料理になかなか使えないという方は、ハーブティーにすると簡単に取り入れることができます。ぜひティータイムの一杯にしてみてください。


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