マスタードシードの効能、種類や使い方!マスタードとからしの違いは?

「マスタード」や「からし」の原材料でもあり、日本の食生活でもなじみ深い『マスタードシード』。栄養が豊富で、特に辛味成分であるアリルイソチオシアネートには驚きの健康効果が期待されています。

ところで、洋からしと呼ばれる「マスタード」と和からしと呼ばれる「からし」、 黄色いペースト状で見た目が似ていますが、このふたつの違いをご存じでしょうか。

ここでは、マスタードとからしの違いマスタードシードの効能種類や使い方おすすめのレシピをご紹介します。

マスタードシードとは?

マスタードシードは、辛味が特徴のスパイスで、カレーやドレッシングなど、様々な料理に利用されています。アブラナ科のからし菜の種子を乾燥させたもので、日本では「洋からし」として親しまれています。
歴史は古く、原産地の地中海沿岸では、古代ローマ時代から香辛料や医薬品として使われており、現在でも炎症などの湿布材に使われています。

マスタードシードの特徴は、独特の辛みですが、唐辛子やブラックペッパーのようにそれ自体が辛みをもっているスパイスとは違い、マスタードシードそのものには辛みはありません。
粉末状にすりつぶしたものを40度くらいの温水で練ることによってはじめて、鼻にツンと抜けるような辛みと香りが引き出されます。
この性質を利用して作られるのが、粒マスタードやマスタードソース、練りからしなどの調味料です。
またマスタードは世界中で使われるスパイス・調味料として、地域ごとにオリジナルのマスタードが存在します。マスタードシードがあれば、基本の作り方から自分好みにアレンジして、オリジナルソースを作ることができます。


マスタードシードの効果・効能

マスタードの辛味成分であるアリルイソチオシアネートには殺菌作用や抗酸化作用があると言われています。ほかにも、カリウムやビタミンB1、ビタミンB2などの栄養成分が含まれています。


胃痛・胃もたれの改善

マスタードに含まれるアリルイソチオシアネートには、胃もたれを予防する効果や、消化を助ける働き、また、食欲を促すなど、胃腸運動を回復する効果が期待できます。

参考:「機能性ディスペプシア治療薬の開発を目指した新規病態モデル動物の開発と薬効評価」科学研究費助成事業研究成果報告書




ガン予防

マスタードの辛み成分であるアリルイソチオシアネートは最もがん予防効果の期待される食品成分のひとつとされています。
発ガン物質を無毒化、またはガン細胞を死滅させる働きがあると考えられています。

参考:「イソチオシアネート化合物
ーアブラナ科野菜に含まれる機能性食品成分ー
」農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

食中毒の予防

マスタードに含まれるアリルイソチオシアネートには強い抗菌作用があり、食べ物の腐敗を防いだり、食中毒などの予防、防虫効果もあります。

参考:「香辛料の細菌増殖阻害作用と食品保蔵への応用」大阪市立大学

マスタードシードの種類

マスタードシードは、種子の色によって大きく3種類に分けられます。どれも直径1~2㎜ほどの小さな球形であるという点は共通していますが、味わいや風味が大きく異なります。
それぞれの特徴をみてみましょう。


ブラックマスタードシード

ブラックマスタードシードは、マスタードシードの中で最も辛みが強く、わさびと同じ辛み成分が含まれているため、鼻にツーンと抜ける様な刺激的な辛みがあります。
直径1㎜と比較的小粒で、表皮が黒いことから「黒がらし」とも呼ばれています。
肉や魚料理によく合い、カレーなどに使ったり、粒マスタードの原料など、強い辛みをつけたいときに使われます。


ブラウンマスタードシード

ブラウンマスタードシードは、ブラックマスタードシードとよく似ている品種で、粒の大きさはほぼ同じですが、表皮の色はやや薄く、辛みも控えめです。
魚や肉料理、カレー、粒マスタードなど幅広い料理に使われています。
「和からし」とも呼ばれ、練りからしに使用されています。


イエローマスタードシード

イエローマスタードシードは、3種類の中で最も大粒で、ブラック・ブラウンマスタードシードが持つツーンとした辛み成分が含まれないため、辛みがマイルドです。
コクと旨み、深い味わいが特徴で、サンドイッチやホットドッグにつけるマスタードの原料に使われています。
また風味がよいため、ピクルスやマリネに加えたりもします。


マスタード(洋からし)とからし(和からし)の違いは?

よく似ている「マスタード」と「からし」、どちらもマスタードシードから作られる香辛料ですが、原料に使うマスタードシードの種類や製造方法が違うため、味わいが大きく異なります。
マスタードとからしの違いは、主に原材料・製法・味の3つです。
それぞれの違いをチェックしてみましょう。


原材料の違い

【からしの原材料】
主に、刺激的で鼻に抜けるような強めの辛味が特徴の「ブラウンマスタードシード」から作られています。

【マスタードの原材料】
主に、穏やかな辛みで刺激が少ない「イエローマスタードシード」から作られています。


製造方法の違い

【からしの製造方法】
からしは、マスタードシードをすり潰し粉末状にした「粉からし」と、その粉からしを温水で練りペースト状にした「練りからし」があります。

【マスタードの製造方法】
マスタードは、練りからしのようにペースト状にするところまでは同じで、そこからさらに酢や砂糖、ワインといった調味料を加え、よりやわらかい味わいに仕上げます。種をすり潰すものから、粒を残すものまでバリエーション豊富です。


味・風味の違い

【からしの風味】
からしは、ツンとした強い辛みが特徴です。
純粋にからし菜の種だけを使用しているため、ピリッと刺激的な風味が楽しめます。
和食との相性がよく、おでんやとんかつ、麺類などに少量添えて、味つけのアクセントに使うことが一般的です。薬味としても使われます。

【マスタードの風味】
マスタードは、調味料が加わっているので、マイルドな風味なのが特徴です。
サンドイッチやホットドッグ、ハンバーグなどの肉料理や魚料理のソースといった洋食と相性抜群です。
辛さもマイルドなので、辛いものが苦手な方でも、比較的食べやすいです。


マスタードの種類と使い方

加工法や地域によってさまざまなマスタードがあります。
それぞれのマスタードの特徴をみてみましょう。


粒マスタード

粒マスタードは、マスタードシードをそのままか、粗びきにしたものを使い、酢や塩、砂糖、ビネガーなどの調味料を加えて作ります。
ソーセージやアメリカンドッグ、チキンナゲットなどにディップして食べるのがおすすめです。
粒感とマイルドなコクのある風味が、料理のアクセントにぴったりです。


アメリカマスタード

アメリカマスタードは、ターメリックが入っているのが特徴で、色味からイエローマスタードとも呼ばれます。
ワインビネガーが含まれており、やや酸味があります。
辛みが少なくケチャップと相性が良いので、ホットドッグやハンバーガーなどに使われています。


イギリスマスタード

イギリスマスタードは、アメリカマスタードと同じくターメリックが入っていますが、ワインビネガーは入っていません。
粉マスタードに砂糖、塩、小麦粉、ターメリックと水分を加えたものが一般的です。発祥地のイギリスではなじみ深い調味料で、パキッとした黄色の見た目と辛みが強いのが特徴的です。
ローストビーフやステーキ、サンドウィッチなどによく合い、脂ののってる魚料理に使われる「マスタードソース」の原料にも使われています。


ディジョンマスタード

ディジョンマスタードとは、フランス発祥のマスタードで、フランスブルゴーニュ地域のディジョンという都市からその名がつけられました。
マスタードシードの外皮を取り除いてすり潰し、ワインやワインビネガーと合わせて作られるため、滑らかで舌触りがよく、ほかのマスタードと比べ、果実の酸味とフルーティーな香りが魅力です。
見た目は明るい黄色です。
肉・魚料理のソースに使ったりサンドウィッチに塗ったりするほか、サラダのドレッシングに加えるとうま味がより引き立ちます。


ハニーマスタード

マスタードにはちみつを加えて作られるマスタードです。
砂糖を加えて作られるものよりもマイルドな甘さです。辛みも少ないので、お子様でも食べやすいのが特徴です。
好きなマスタードに蜂蜜を足すだけなので簡単に作ることができ、粒状のものやペーストタイプのものなど、自分の好みに合わせて楽しめます。
肉料理との相性が大変よく、料理にコクと旨みを足してくれます。ソースなどにして使うと一層風味を引き立ててくれます。


マスタードシードの代用品3選!

代用品①:クミンシード

マスタードシードの代用でおすすめなのが、クミンシードです。
クミンシードは、マスタードシードと同じく、油に風味を付けるスタータースパイスとして使われます。カレーや炒め物を作る際に使うことができます。
加熱することで、マスタードの辛みはほとんど残らず、香ばしい香りが残ります。


代用品②:粉からし

粉からしはブラウンマスタードシードをすり潰したものなので、代用に適しています。
粉末のままだと辛みや香りはありませんが、水またはぬるま湯で練ることで辛さや香りがでます。辛みは揮発性が高く、加熱するとなくなります。
酢やレモン汁、ワインなどによって辛み成分が抜けにくくなるので、ピクルスやマリネなどに使う場合は、ツンと鼻に抜ける辛みが残ります。


代用品③:粒マスタード

粒マスタードは、マスタードシードを酢などの調味液に漬けこんで作ったものなので、粒をそのままスパイスとして使うことができます。
加熱して使うことで辛みや酸味が抜けますが、カレーのスタータースパイスやピクルスの材料として使うことができます。


マスタードシードの使い方

【ピクルス・マリネ・ドレッシングなどの風味づけに】
マスタードシードは、ピクルスやマリネの風味づけとして加えたり、液体をとろっとさせる乳化作用があるので、ドレッシングやソースにもぴったりです。

【カレーや炒め物などのスパイスとして】
マスタードシードは、油との相性が良く、ホールのまま肉や野菜の炒め物に加えると、簡単に風味をアップさせることができます。
また、油で加熱して香りを引き出し、スタータースパイスとしてカレーに加えるのもおすすめです。


マスタードシードのレシピ

マスタードを手作りしたり、いつもの料理のアクセントとして、手軽に使えるマスタードシードのおすすめレシピを紹介します。


手作り粒マスタード

・イエローマスタードシード 大さじ2
・ブラウンマスタードシード 大さじ1
・白ワインビネガー 大さじ2~3
・塩 小さじ1/3
・砂糖 2つまみ

1.器に2種類のマスタードシードを入れ、ひたひたになるくらいの水を加えて、約1時間おく
2.マスタードシードの水気をしっかりきり、スプーンの背などで好みの粗さにつぶす ※1 ※2
3.白ワインビネガー、塩、砂糖を入れてよく混ぜる(途中かたさをみて、柔らかくしたい時は、白ワインビネガーを足し、好みのかたさに調整する)
4.保存容器に入れて冷蔵庫で1日置く

味がなじんだら完成♪
香りの強いイエローマスタードシードとピリッと辛いブラウンマスタードシードをブレンドして作る粒マスタードです。お好みで量を調整して下さい。
酢はりんご酢、米酢などでも代用できます。
市販品の粒マスタードよりも、薄茶色の仕上がりになります。もう少し黄色くしたい場合は、マスタードパウダーやターメリックを加えるといいでしょう。
はちみつを加えると、マイルドな味わいになります。さらに、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、カレーパウダーなどを加えると、オリジナルのマスタードが簡単に作れます♪

ソーセージやベーコン、サンドウィッチに塗るなど、手作りならではの美味しさが味わえますよ。

※1 粒は細かく潰すと粘り気のある仕上がりになり、スパイスの香りがマスタード全体につきます。粗く潰すと粘り気は少なく、香りは強く立ちませんが口の中でプチプチと潰れ、スパイスの香りが口の中で広がります。お好みの食感で調整してください。

※2 水に浸す時間が短いと、潰すのに力が必要です。すり鉢に入れて、すりこ木などでつぶすと簡単に潰せます。


タコのマスタードマリネ

・ゆでダコ 80g
・玉ねぎ 1/4個
★酢 小さじ2
★粒マスタード 小さじ1
★砂糖 小さじ1/2
★オリーブオイル 小さじ2
・塩こしょう 適量

1.ゆでダコはぶつ切りにし、玉ねぎは薄くスライスする
2.ボウルに★をよく混ぜ合わせる
3.②に①入れ、混ぜ合わせたら、塩こしょうで味を調える

タコと玉ねぎのマスタードマリネの完成♪
玉ねぎの辛みが苦手な方は、切ったあと少し水にさらしてください。
調味料はオリーブオイル以外をよく混ぜたあと、オイルを少しずつ垂らしながら混ぜると分離しにくくなります。

粒マスタードがいいアクセントに!すぐにできるおつまみマリネです。


カラフルピクルス

・玉ねぎ 1個
・にんじん 1本
・赤パプリカと黄パプリカ 各半分
・きゅうり 2本
★酢 200cc
★水 200cc
★砂糖 大さじ10
★塩 大さじ1
★粒マスタード 大さじ1
★鷹の爪 1〜2本

1.保存容器を煮沸消毒し乾かす
2.お好みの野菜を棒状に切る
3.保存瓶やタッパーなどの保存容器に詰める
4.★を火にかけあたため、保存瓶に流し入れ、冷蔵庫で一日置く

味がなじんだら完成♪
セロリやミニトマトなどおうちにある野菜で作れます。


マスタードドレッシング

・オリーブオイル 90ml
・酢 30ml
・粒マスタードorディジョンマスタード 大さじ1
・塩、砂糖 各小さじ1/2
・ブラックペッパー 少々

1.全ての材料をよく混ぜる

サラダにかけて出来上がり♪

酢は白ワインビネガーやりんご酢、米酢など、おうちにあるものでOK!
砂糖を少し入れることで、酸味が弱まりまろやかになります。
保存は、冷蔵庫で3日ほどです。


マスタードエビカレー

・冷凍むきエビ 250g程度  
・ココナッツミルク 200ml  
・玉ねぎ 小1個
・ヨーグルト 大さじ3  
・トマトピューレ 大さじ1  
・粒マスタード 大さじ3
・オリーブオイル 大さじ1  
・カレーパウダー 大さじ1
・ししとう 1本  
・にんにく 1片  
・しょうが 1/2片 

1.玉ねぎは2~3mm幅にスライスし、にんにくとしょうがはみじん切り、ししとうは粗みじん切り、冷凍むきエビは、ボウルにあけておく
2.フライパンに油(大さじ1と1/2)を熱し、にんにくとしょうがを香りが立つまで炒める
3.粒マスタードを加え混ぜ合わせ、玉ねぎと水150mlを入れ、強火にしたら、フタをしてきつね色になるまで炒め煮をする(途中、玉ねぎが焦げつかないようかき混ぜる)※1
4.ヨーグルトとトマトピューレを加え、水分がなくなるまで中火で炒める
5.カレーパウダーと塩を加え弱火で炒め、エビを加え、しっかり絡めながら炒め混ぜ合わせる
6.ココナッツミルクと水を加え、強火で2分程煮込む
7.オリーブオイルでししとうを炒め、油ごとカレーに加えたらとろ火で5分程煮込む ※2

エビに火が通ったら出来上がり♪

熱した油に粒マスタードを加える時は、マスタードが跳ねるので火傷に注意してください。


※1 水分が蒸発してしまったら水を加えてください。強火なのでなべ底が焦げやすいです。鍋底をしっかりこそぎながら炒めていきましょう。

※2 油が熱すぎると、加えた瞬間、カレーが爆発するように噴き出す可能性があります。温度を少し落ち着かせてから加えましょう。


ポテトのマスタード炒め

・じゃがいも 900g
・油 大さじ4
・ブラウンマスタードシード 小さじ2
・玉ねぎ 1個
・にんにく 4片
・生姜 2cm
・唐辛子 1本
・クミンパウダー 小さじ2
・コリアンダーパウダー 小さじ1/2
・レモン汁 小さじ1

1.じゃがいもは皮をむいて1/4にカットし、沸騰した鍋に塩を少し入れて火が通るまで茹で、ざるで湯切りをする
2.熱したフライパンに油を入れ中火にし、ブラウンマスタードシードを入れて炒める
3.油がプクプクと気泡が出始めたらスライスした玉ねぎとみじん切りにしたニンニクとショウガ、唐辛子を入れて5分程炒める
4.じゃがいも、クミンパウダー、コリアンダーパウダーを入れて塩で味を調え、レモン汁をかける

マスタード香るほくほくポテト炒めの完成♪
さっと作れるスパイスの炒め物です。ピリッと辛めのブラウンマスタードシードを使うことで、お酒のおつまみにもぴったりの一品に!


マスタードシードの保存方法・賞味期限

【保存方法】
乾燥した冷暗所で保存すると、風味や品質を長持ちさせることができます。
密閉容器に入れて空気や湿気から保護するとさらに効果的です。
古くなった場合でも、食べられなくなることは少ないですが、香りや風味が弱くなることがあります。風味が落ちた場合は、新しいものと交換することをおすすめします。

【賞味期限】
マスタードシードの賞味期限は、未開封で適切に保存されている場合、約1〜3年が目安です。しかし、これはあくまで推奨される期間であり、保存状態によってはそれ以上も品質を保つことがあります。


まとめ

スパイスとしていろいろな料理に使えるマスタードシード。
いつものお料理にプラスして、テイストのアレンジに活用してみてください。


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