スーパーフード「キヌア」の栄養、効果。なぜ注目されてるの?食べ方レシピも。
『キヌア』は、高い栄養価もつスーパーフードとして知られ、医薬品や健康食品に応用されるだけでなく、飢餓問題・栄養失調・貧困問題に重要な役割を果たすことができる食材としても注目されています。
クセのない味なので、いつものお料理にちょっと混ぜたり、白米の代わりにもできる『キヌア』は、普段のお料理にも手軽に取り入れやすい食材です。
ここでは、よく比較される同じスーパーフードの『アマランサス』との違いや、栄養、効果効能、食べ方レシピをご紹介します。
キヌアとは。歴史と注目される理由。
キヌアは、ホウレンソウと同じヒユ科の植物で、アワやキビなどと同様に雑穀の一種です。
原産地はボリビアからペルーにかけてのアンデスの高原で、歴史は古く紀元前3000年にはすでに栽培され、「母なる穀物」としてインカ帝国の重要な食料とされてきました。
キヌアがはじめて国際的に注目を浴びたのは1993年。
その高い栄養価がNASAに「21世紀の主要食」と評価され、宇宙食として採用されました。
2013年には、国連が「2013年を国際キヌア年とする」と宣言。
以来、キヌアは日本でも急激に広まり注目されるようになりました。
高い栄養価をもち、厳しい環境下でも生き抜く力をもつキヌアは、飢餓や栄養失調、貧困問題の撲滅に重要な役割を果たすことができるとして、アンデスの「スーパーフード」として称えられています。
キヌアの栄養素と効果・アレルギー
「母なる穀物」と呼ばれるキヌアは、たんぱく質やビタミンB、ミネラル、食物繊維などが豊富な万能食品です。
白米と比べて、たんぱく質が約2倍、ビタミンB1が約5倍、ビタミンB2が約6倍、エネルギーは100gで368kcalと白米とほぼ同じエネルギー量なのに白米に不足しがちな栄養がたくさん含まれています。
そんな栄養豊富なキヌアの主な栄養素と効果をみていきましょう。
たんぱく質
筋肉や肌、髪、爪、体内のホルモンや酵素、免疫物質などを作り、栄養素の運搬を助けます。
肌や髪のダメージを抑制してくれます。
たんぱく質は約20種類のアミノ酸からできており、その20種類のアミノ酸のうち9種類のアミノ酸は体内で作ることができず食べ物から摂取しなければなりません。この9種類のアミノ酸のことを「必須アミノ酸」といいます。
一般的に、必須アミノ酸を多く含むものを「栄養価が高い」「良質なたんぱく質を含む」などと表現します。
体内でたんぱく質を作るには9種類の必須アミノ酸がすべてそろっていなければなりません。
この必須アミノ酸は、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質にはバランス良く含まれています。しかし、植物性たんぱく質には、一部のアミノ酸の含有量が少ないものが多いのですが、キヌアは9種類の必須アミノ酸がバランスよく含んでいる、稀有な植物です。
ビタミンB1・ビタミンB2
ビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれる水溶性のビタミンです。
糖質を代謝するために欠かせない栄養素で、糖質、アルコールを多く摂取する人は積極的に摂り入れたい栄養素です。
ビタミンB2は水溶性のビタミンで、脂質の代謝を助け、皮膚や髪、爪、粘膜などの再生に役立ちます。
「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に欠かせない栄養素です。
水溶性のビタミンB群は「エネルギー代謝」において重要な役割を果たします。
ビタミンB群はお互いに助け合って働くため、バランス良く摂取することが重要です。
カリウム
カリウムは体内の余分な塩分を排出することで血圧を下げる効果があります。
骨密度を増加したりする働きもあります。
不足すると、筋力低下、便秘、嘔吐といった症状がでることがあります。
植物性エストロゲン
大豆のイソフラボンと同じ成分の「植物性エストロゲン」。
キヌアには、この女性ホルモンに似た植物性エストロゲンが含まれていることもわかりました。
植物性エストロゲンは、エストロゲン(女性ホルモン)の減少によって起こる更年期障害、骨粗しょう症、動脈硬化、乳がんなどのリスクを減らす効果が期待できます。
グルテンフリー
グルテンは小麦などの穀物に含まれるたんぱく質の総称です。
キヌアはグルテンを含まない穀物なので、グルテンアレルギーの方でも安心して食べることができます。
キヌアとアマランサスの栄養素比較
キヌアは、同じスーパーフードの「アマランサス」とよく比較されます。
色や形も似ていて、「ぷちぷち」「もちもち」している食感も同じです。
どちらも完全栄養食といわれるだけあり優れた栄養素を豊富に含んでいる点も似ているのですが、少しずつ違う特徴もあるのでみていきましょう。
〘キヌア〙
NASAが「21世紀の主要食」と評価
[大きさ] 直径2mm程
[食感] ぷちぷち もちもち
[アレルギー] アレルギーフリー、グルテンフリー
[食べ方] ほかの食材と混ぜたりトッピングにしたり、白米の代わりに主食として食べることができる
[アマランサスより高い含有量の栄養素] たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2、ナトリウム、葉酸など
[特徴] 味や匂いのクセがなく、粒が大きいため水を含みやすく腹持ちが良い。
〘アマランサス〙
世界保健機構が「未来の食物」と評価
[大きさ] 直径1mm程
[食感] ぷちぷち もちもち
[アレルギー] アレルギーフリー、グルテンフリー
[食べ方] トッピングにしたり、何かに混ぜて使うのが一般的
[キヌアより高い含有量の栄養素] 食物繊維、ビタミンB6、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛など
[特徴] 若干穀物っぽい匂いとほのかな苦みがある、粒は小さいもののキヌアより含んでいる栄養素は多い。
キヌアの食べ方・レシピ
キヌアの食べ方は大きく分けて3種類あります。
①ローストとして粉に挽く(パンやクッキーなどの材料に)
②茹でる(サラダのトッピングやスープになどに入れる)
③炊く(米や他の雑穀と一緒に炊く)
キヌアは生で食べられないので必ず加熱してください。
キヌアの炊き方① 鍋を使った茹で方
キヌアと水を3:1の割合で火にかけます。
沸騰したら蓋をして弱火にし、20分間ほど加熱します。
水がなくなり、キヌアが半透明になっていれば火を止め、そのまま5分以上蒸らしてください。
茹であがったキヌアはフォークなどで軽くほぐしてから使います。
キヌアの炊き方② 電子レンジ
キヌアを浸しておく時間がない時は、キヌア大さじ1に水大さじ3を耐熱容器に入れレンジで3分加熱でもできます。
キヌアのレシピ① 白米と一緒に炊く
いつもの白米1合に対して、キヌア15~30gほどをお好みで入れるだけ。
簡単に栄養豊富な主食ができあがります。
炊飯器で炊く前に30分ほど浸水させてください。
キヌアのレシピ② キヌアサラダ
・キヌア 100g
・アボカド 1/2個
・きゅうり 1本
・リンゴ 1/2個
・チーズ お好みで
(ドレッシング)
・オリーブオイル 大さじ1
・はちみつ 大さじ1/2
・お酢 大さじ1
・塩コショウ 少々
1.アボカド、きゅうり、リンゴ、チーズを角切りにして、茹でたキヌアを入れる。
2.ドレッシングの材料を混ぜて、1と和える。
混ぜるだけのぷちぷち食感が楽しめる栄養満点サラダのできあがりです。
ひよこ豆や豆腐、玉ねぎ、サラダチキンなど何にでも合います。
キヌアのレシピ③ キヌアコンソメスープ
・キヌア 大さじ1
・水 600㏄
・コンソメ顆粒 大さじ1/2
・ベーコン お好み量
・玉ねぎ 1/2個
・塩コショウ 適量
1.キヌアを水に30分ほど浸しておく。
2.鍋に水、浸しておいたキヌア、コンソメを入れて中火で茹でる。
3.5㎜幅ほどにカットしたベーコンと玉ねぎを、玉ねぎが透き通るまで炒める。
4.3をキヌアを茹でてる鍋に入れ、10分ほど煮込む。
5.塩コショウで味を調整する。
キヌアの簡単スープのできあがり。
具が少なくてもキヌアが栄養を補ってくれます!
キヌアのレシピ④ グラタンやラザニアのトッピング
グラタンやラザニアのソースの中に茹でたキヌアを加えたり、粉チーズと茹でたキヌアを混ぜてトッピングとしてパン粉の代わりにも使えます。
特にブロッコリーやカリフラワーなどの野菜とは相性がよいです。
まとめ
「キヌア」は、その高い栄養価から国連も認めるスーパーフードです。
宇宙食にも使われ、飢餓などの世界の問題にも重要な役割を果たすと言われています。
白米の代わりに主食にもなり、他の食材と混ぜたりトッピングしたりと様々なメニューに手軽に栄養価をプラスできる万能食材「キヌア」を、毎日のお料理に取り入れてみてください。