クローブってどんなスパイス?優れた効果・効能!使い方やレシピも。

甘い濃厚な香りにピリッとしびれるような辛味を持つスパイス「クローブ」。

スパイスの中でもとりわけ香りが強く肉の臭み消しとしてカレーやハンバーグなどの料理によく使われます。

また、濃厚な甘い香りを生かしてお菓子やドリンクに利用されることも多いスパイスです。

クローブは、全食品の中で抗酸化能力が一番高く、身体に良い優れた効能に富んでいます。

ここでは、クローブの効果・効能使い方レシピをご紹介します。

クローブとは?

クローブは、インドネシア、モルッカ諸島原産のフトモモ科チョウジノキから作られるスパイスです。
チョウジノキは、樹高12~15ⅿの常緑樹で、夏と冬に淡いピンク色の小さな花を咲かせます。
その花が咲く直前につぼみの状態で摘み取り乾燥させたものがクローブです。
つぼみが開花してしまうと香りが弱くなるので、開花前に摘み取ります。
クローブのつぼみは大きさが約1.5㎝で、乾燥させると小さな釘のような見た目になります。その見た目から、フランス語で釘を意味する『clou』から『clove』と呼ばれるようになったと言われています。
中国では、鶏の舌に似ていることから、『鶏舌香(ケイゼッコウ)』とも呼ばれていました
日本では、釘の『丁』の字を使い『丁子(チョウジ)』『丁香(チョウコウ)』とも呼ばれています。

独特の香りを活かして匂い袋にしたり、胃腸薬としても使われています。


クローブの歴史

クローブは、ナツメグ・シナモン・コショウと共に、四大スパイスと言われ、二千年以上前から世界中で親しまれているスパイスです。

クローブについての最も古い記録は、ヒンドゥー教の医学において内科、外科の処方に用いられていたということです。
またペルシャでは、食欲の増進やリフレッシュ効果、船酔いや通風にも効果があるといわれていました。

クローブの原産地、モルッカ諸島はクローブやナツメグなど香辛料の原材料が手に入ることからスパイス諸島とも呼ばれ、16世紀初頭の大航海時代、ヨーロッパでは香辛料交易での利益を狙って、モルッカ諸島の占有をめぐり激しいスパイスの争奪戦が繰り広げられていました。
1519年ポルトガル人の航海士マゼランは、スペインの国王を後ろ盾に香辛料の航路探索を開始しました。途中戦死したマゼランの後を継いだ船員たちがクローブの実をスペインに持ち帰ったことにより、莫大な利益がもたらされたといわれています。


クローブの香り

バニラのような甘い濃厚な香りの中に、ツンとしたスパイシーな香りが混ざったような香りのクローブは、その強い香りから、クローブの木がある島が目に入る前に船乗りたちがクローブの香りを嗅ぎつけることができたため、『百里香(ヒャクリコウ)』とも呼ばれていました。

また、絶世の美女といわれいたクレオパトラは、薔薇やクローブの香りを好み、その美貌と色香でローマのカエサルやアントニウスを翻弄したといわれています。

エキゾチックでオリエンタルな甘さのある香りは、今もなお愛され、アロマや香水に使われています。

ただ!ゴキブリはクローブの香りが苦手だそうです!
ゴキブリの苦手な成分オイゲノールが含まれているため、防虫剤としても活用されています。


クローブの効果・効能

クローブは、生薬『丁子(チョウジ)』としても知られており、
その作用は「温中降逆」。
胃腸を温め、体内の冷えの改善や腹痛、消化不良など、体の内部の冷えからくる不調に対する漢方処方に用いられます。

また、ちょうじ油の主成分「オイゲノール」には、殺菌・鎮静作用があり、歯痛や歯肉炎を鎮めてくれます。また、歯科でも局部麻酔薬などに利用され『歯医者さんのハーブ』とも呼ばれています。

その他にも、クローブにはビタミンB1、B2、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルも含まれています。

たくさんの優れた作用があり、抗菌・抗ウイルス・防虫・免疫賦活・鎮痙・抗ヒスタミン・抗炎症・抗腫瘍・食欲抑制・抗癌・月経前不安症(PMS)軽減・リラックス作用などがあるといわれています。


ストレス軽減・リラックス効果

健康成人男性にオイゲノールの匂い刺激を行い、心拍変動解析により交感神経と副交感神経成分の変化を調べたところ、人間のストレスホルモンであるコルチゾールの血中濃度を調べると、3日間のオイゲノール芳香により顕著に低下することが分かりました。これはオイゲノールが人間に対してリラックス効果を発揮することを示唆しています。


★参考:「脳波や自律神経に及ぼす香辛料クローブの主成分オイゲノール芳香の効果に関する研究」ブレインプロ FM-929/パルラックスプロ PUL-PRO ーFUTEK
 

口臭ケア

オイゲノールには、口臭ケアにも効果が期待できます。
古く紀元前から使われていたクローブは、中国では、皇帝の前に出る時は、口の中にクローブを含み口臭を消すという習慣があったそうです。
歯磨き粉の原料としても使用されています。


★参考:特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会「口腔ケアに有効なハーブ」 

エイジングケア・生活習慣病の予防

体が酸化すると、体の老化や血管の老化が進んだり、シミやしわ、肌あれなどの肌トラブルが起こったり、生活習慣病やがんの引き金になったりと、さまざまなトラブルの原因になると言われています。
クローブの抗酸化能力は食品の中でナンバー1です!
強い抗酸化作用が体の酸化を抑え、これらトラブルや病気を予防、抑制する働きがあるといわれています。


体を温める効果・胃腸トラブルの改善

芳香健胃薬として利用されているクローブは、胃腸を温める効果があり、冷えが原因の胃腸トラブルや食中毒や下痢、嘔吐、消化不良などの改善が期待できます。
また、冷えから起こる関節炎やリウマチの改善にも役立つといわれています。


クローブの副作用・注意点

クローブの副作用は特にないと言われていますが、妊娠中の方や授乳中の方、お子さんにへの安全性ははっきりと確認されていません。
妊娠中の人は香りづけ程度なら問題ありませんが、クローブの配合された医薬品やサプリメントの摂取は控えましょう。

クローブの摂取量の目安は1日大さじ2杯程度まで、精油を直接肌に使用する場合は、0.25%以下にしましょう。クローブの精油は刺激が強すぎるためオイルマッサージには不向きです。またアロマバスでは入れ過ぎないように注意してください。

クローブに含まれるオイゲノールには血液の凝固を抑制する効果もあり、血液凝固抑制薬を服用している人が摂取すると出血傾向になる可能性がありますので注意してください。


クローブ ホールの使い方

クローブの効能を活かした活用法をみてみましょう。


料理の香り付けや臭み取り

クローブは肉料理と相性が良いです。
肉の臭みを取り、抗菌作用により保存性が増します。
使い方は、ホールのグローブを肉の脂身側に切り込みを入れて直接刺し、ローストしたりグリルします。
調理後はクローブを取り除きます。
香りは脂溶性なのでお肉の内側に浸透しながら脂に溶けて香り豊かに焼き上がります。
料理に使う際は少量にし、様子をみて使いましょう。
ハンバーグなどではパウダーを練りこみますが、肉塊にホールのクローブを刺して煮込むこともできます。
また焼き菓子や果物のコンポートに使ったり、焼きりんごに1〜2本刺すこともあります。
似た香りの他のスパイスと一緒に使うとスパイス臭さが緩和されるため、粉末はシナモンやナツメグとブレンドしてガラムマサラにして使うこともできます。


紅茶やスープに入れる

クローブをお茶に入れて飲むこともできます。
空腹時に飲むと効果的なのですが、飲み過ぎには注意してください。

スープにクローブを入れて煮込むとスパイシーな風味になります。また、ポトフの玉ねぎにクローブを刺したり、ロールキャベツなどのスープに入れて煮込んでもよいでしょう。

クローブは、インドの甘いミルクティー「チャイ」を作る時にも、欠かせないメインスパイスのひとつです。シナモン、カルダモンと共に入れると本格チャイができます。


アロマ

エッセンシャルオイルを使うと手軽にクローブの効能を活用することができます。
クローブのスパイシーで刺激のある香りは、気力が弱り沈んでいる心を盛り上げ、やる気を出してくれる働きがあります。

アロマディフューザーで香りを拡散させる場合は香りが強いため入れ過ぎに注意してください。
クローブ1滴に対し柑橘系の精油5滴程加えて使うとクローブの強い香りが和らぎます。また、スプレーで室内に振り撒いてもよいでしょう。

他にも、お風呂の湯にクローブのエッセンシャルオイルを数滴入れてゆっくりと浸かると、自然な香りで身体がリラックスし、ストレスを解消する効果が期待できます。

クローブは、ハーブ系、柑橘系、スパイス系などの香りと相性がいいです。

《クローブと相性のいいオイル》
ハーブ系・・・クラリセージ、ユーカリ、ラベンダー、ティートリー、ペパーミント
柑橘系・・・オレンジ、ベルガモット、マンダリン
フローラル系・・・ラベンダー、ローズ、イランイラン
スパイス系・・・カルダモン、シナモン、ジンジャー、バニラ
オリエンタル系・・・イランイラン
樹木系・・・ローレル
ウッド系・・・フランキンセンス、ベンゾイン

クローブは、印象の強い香りなので、使用時には少量から使用しましょう。高濃度で長時間嗅いでいると、濃厚すぎて疲れてしまったりする場合があります。 刺激を感じる場合がありますので、使用濃度には気を付けて使用してください。


口臭対策

歯磨き粉の原料としても使われるクローブは、口臭ケアに効果的です。
クローブ溶液でうがいをすると口臭対策になります。
クローブ溶液の作り方は、数個のクローブを入れた水を数分間沸騰させ2分放置し、冷やし、食後にうがいします。
または、クローブティーを飲むのもよいでしょう。
お口の中の粘着きや、違和感を取り除いてくれます。


虫よけ・ゴキブリ対策

クローブの成分オイゲノールは、ゴキブリが嫌いな香りです。
ゴキブリがでそうなところにクローブを置いておくとゴキブリ対策になります。

【精油で作る】
・無水エタノール:小さじ2
・精製水か水道水:大さじ1
・クローブの精油:3滴

携帯用スプレーボトルに材料を入れて振れば完成です。柑橘系の精油を2滴ほど加えてもよいですが、揮発性が高く日持ちしないため少量ずつ作るとよいでしょう。このスプレーはアロマにも使えます。

【ホールのクローブで作る】
・ホールクローブ:50g
・無水エタノール:250g

ガラス容器に材料を入れ1週間ほど置き、薄く色づいたら完成。冷暗所で1年程保存でき、使う量だけスプレー容器に入れ数倍の水で薄めて使います。木製の家具や床に原液で用いると変色するため避けてください。

【ホールでそのまま】
クローブをそのまま置くのが一番簡単な方法です。1〜2ヶ月で香りが弱くなったら置き換えます。
精油を数滴垂らした熱湯を排水溝に流してもよいでしょう。


クローブ水の作り方と使い方

1.500㎖のミネラルウォーターのペットボトルにクローブホール10粒を入れ、蓋をしっかりしめる
2.冷蔵庫で最低でも一晩は置く

入れるだけなので、作り方は非常に簡単ですが、使い方は無限の万能水です!

クローブホールをそのまま使うため、オーガニックの物を使うと安心でおすすめです。


食後や歯磨き後に!

コップに入れて、食後や歯磨き後に飲むと、細菌の繁殖を防ぐことから口臭予防や歯周病の予防にもなります。
さっぱり感が強いので、口の中がすっきりします。
いつも飲んでるお茶などに混ぜて飲むのもおすすめです。


除菌に!

スプレーボトルに入れてキッチンで使用すると、食品にかかっても安全な除菌スプレーに。
床などの拭き掃除の際に使用すれば虫も菌も予防し、ウィルス性の感染症予防にも役立ちます。


化粧水に!

クローブ水にグリセリンを加え化粧水を作ります。季節の変わり目にできやすいブツブツ肌などの炎症を抑えてくれる効果が期待できます。


クローブ ホールのレシピ

クローブの香りの強さを利用し、食材の臭み消しに使われます。
特に肉料理との相性がとてもいいです。
生肉や玉ねぎに直接、ホールのクローブを根元まで差し込み、そのまま調理し、食べる前にクローブを抜くことで、クローブの香りが全体に染み渡り、臭みも消えます。
シチューやポトフなどの煮込み料理にも、よく合います。
香りも味も強いクローブですが、カレーやチャイなどを作る時に、他のスパイスと混ぜ合わせることによりまろやかになります。
また、自家製サングリアなど、お酒の香り付けにも良いでしょう。

クローブは、噛むと強く痺れるような苦味と辛味がありますので、料理に使用する時には、分量に気をつけましょう。


自家製ジンジャーエール

簡単にスパイスから作るジンジャーエールです。
自分好みの味わいにでき、アイスクリームにかけたりお菓子づくりに使ったり、無添加の自家製ジンジャーエールが楽しめます。

「自家製ジンジャーエールの作り方はこちらから」

本格チャイ

(4杯分)
・アッサムかセイロン茶葉 ティースプーン4~5杯
・セイロンシナモン(スティック) 1本
・カルダモン(ホール) 4個
・クローブ(ホール) 4個
・水 400㎖
・牛乳 400㎖
・砂糖 適量

1.シナモンは4つに手で折る、カルダモンはサヤから黒い種子を取り出してすり鉢でつぶす(サヤは使うので捨てない)クローブはそのまま
2.鍋にスパイスと水を入れ強火にかける(カルダモンはサヤも一緒に)
3.湯が沸いたら中火にする
4.湯が茶色になるまで煮出す
5.火を止め茶葉を加え2分程おく
6.牛乳と砂糖を加え中火にかけ煮立つ直前で火を止める
7.茶こしで濾してからカップに注ぐ

シナモンの上品な香りに、カルダモンのすっとした爽やかさ、鼻から抜けるクローブのドライな香りが混ざり合います。
パウダー状のスパイスとは違い、ホールを使うことで比較にならないほどの深い香りのチャイができあがります!


スパイスチキンカレー

・玉ねぎ 1個
・ニンニク 1片
・生姜 1片
・トマト 1個
・鶏もも肉 1枚
・ヨーグルト 100g
・サラダ油 大さじ1
・塩 小さじ1
・水 100ml
〖パウダースパイス〗
・ターメリック 小さじ1
・クミン 小さじ1
・コリアンダー 小さじ1
・チリペッパー 小さじ1/2〜1
〖ホールスパイス〗
・カルダモン 5粒
・クローブ 5粒
・シナモン 5cm

1.玉ねぎ・ニンニク・生姜をみじん切りにする
2.トマトはクシ切りにし、鶏もも肉は一口大に切る
3.フライパンにサラダ油とホールスパイスを入れ、弱火〜中火にかける
4.玉ねぎ・ニンニク・生姜を入れカラメル色になるまで炒める
5.トマトを加え潰しながら炒める
6.パウダースパイスと塩を入れ、かき混ぜる
7.鶏もも肉と水、よく混ぜたヨーグルトを入れ混ぜる
8.蓋をして10分程煮込む
9.塩で味を整える

ヨーグルトはダマになりやすいのでよく混ぜてから入れてください。
簡単にできるインドカレーです!


ポトフ

・にんじん 1/2本
・じゃがいも 1個
・玉ねぎ 1/2個
・ブロッコリー 1茎
・塩 少々
・クローブ 2粒
・ウインナー 4本
・粒マスタード お好みで

1.じゃがいもを食べやすい大きさに切る
2.玉ねぎを半分に切ってクローブを刺しておく
3.にんじんとブロッコリーを食べやすい大きさに切る
4.鍋にカットした野菜とウインナーを入れ、かぶる程度の水を加えて煮る
5.クローブを取り除いて、塩で味付けをする
6.お皿に盛って、粒マスタードを添える

クローブの香りが食欲をそそります。 トマトやキャベツなどお好きな野菜を加えてアレンジしてみると良いでしょう。


まとめ

実や種ではなく、花のつぼみを乾燥させたスパイス「クローブ」。
甘く濃厚な香りとしびれるような刺激的な風味が特徴で、その独特の香りはスパイスの中でもっとも強く、お料理では肉の臭み消しや香り付けなどに使われています。
食品中ナンバー1の抗酸化作用や優れた効能を活かした活用法はお料理から虫除け対策までさまざま!
ぜひ、クローブを普段の生活に取り入れてみてください。


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