ブラックペッパーの効能とは?胡椒との違い、ホール・パウダーの使い方。

スパイスの王様」といわれ、かつては金と交換されるほど高い価値を持っていた胡椒。胡椒には、ブラックペッパーやホワイトペッパーなど複数の種類があります。

その中でも、シャープな香りにピリッとした強い辛みが魅力のブラックペッパーには、その辛味成分である「ピペリン」が、他の胡椒に比べ最も多く含まれており、 カラダに良い優れた効能が期待できます。

今では料理に欠かせないスパイス「ブラックペッパー」の効果・効能胡椒との違いホールやパウダーの特徴使い方をご紹介します。

ブラックペッパーとは・胡椒との違い

ブラックペッパーとは、香辛料の胡椒の実を完熟前に乾燥させたもので、胡椒の一種です。
胡椒は、インド南部から南東部の地中海沿岸の地域を原産とする、コショウ科コショウ属のつる性の植物の実です。
その実が熟す前の胡椒の実をグリーンペッパーといい、これを乾燥させたものがブラックペッパーです。
胡椒の歴史は古く、4000年もの昔にインドなどで使用されていたことが記録されており、「スパイスの王様」といわれ、中世ヨーロッパの貿易が盛んだった大航海時代には金と同等の価値で取引されるほど貴重な食材でした。
胡椒が日本に伝わったのは、奈良時代(8世紀)頃だと考えられています。当時の日本は、中国や朝鮮半島、東南アジアとの交流があり、さまざまな文化や商品がもたらされました。胡椒もそのひとつとして伝わったと言われています。


ブラックペッパーの効果・効能

ブラックペッパーには、ピぺリンと呼ばれる辛味の栄養成分が豊富に含まれ、血流や代謝を促進したり、胃腸の調子を整えたりと様々な効能を持っています。
他にもカリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄分などのミネラル成分なども含まれています。
香辛料として馴染み深いですが、実は様々な効果・効能が期待できるスパイスです。
ブラックペッパーの効能を詳しくみてみましょう。


血流の促進・冷え症の改善

辛味成分ピぺリンは、エネルギー代謝を上げる作用や、交感神経を刺激して血流をアップし、血液が末端の血管にまで行き渡ることによって冷え性改善効果が期待できます。

参考:「UHPLCによるコショウ中のピペリン分析」日本分光

浮腫みの改善

リンパ液の流れが滞ると、体内の老廃物が溜まり、浮腫みの原因となります。ピぺリンには、リンパ管の形成を促進し、リンパ液が全身をスムーズに循環できるようにする働きがあり、リンパ管の循環を改善することで浮腫みを解消するとされています。


参考:「丸善製薬、ヒハツ抽出物およびピペリン類のむくみ改善作用のメカニズム、スマート乳酸菌のアレルギー反応抑制作用のメカニズムを解明」食品と開発

高脂血症・甲状腺疾患予防効果

ピぺリンには、高脂血症による悪玉コレステロールが増えるのを抑える働きや、甲状腺ホルモンが低下するのを抑制する効果、また、高血圧を予防する効果があることから、高脂血症、動脈硬化予防効果や甲状腺疾患予防効果が期待されています。


参考:「高脂肪食 (HFD) および抗甲状腺薬誘発性高脂血症ラットにおける甲状腺ホルモンおよびアポリポタンパク質に対するアルカロイドであるピペリンの効果を研究する」National Library of Ⅿedicine

ストレスの軽減

ピペリンには、落ち込んだ気分を持ち上げてくれるホルモンを増やす働きがあり、ストレス解消に効果が期待できます。

参考:「高脂肪食誘発酸化ストレスを受けたラットにおける黒コショウ(Piper nigrum L.)とピペリンの抗酸化効果」National Library of Ⅿedicine


栄養の吸収を促進する効果

ピペリンには、食品の栄養素の吸収を飛躍的に高める働きがあり、その栄養素の効能を高める働きがあるとされています。

また、体内にあるサビの原因「活性酸素」を取り除くはたらきをサポートする補酵素である「コエンザイムQ10」の吸収を促進させる働きがあるとされています。


参考:「黒コショウに含まれるピペリンは、 ターメリックのクルクミン効果を20倍にも高める」2010 TOKAI AGRIGARDEN


参考:「黒コショウ由来のピペリンは、経口摂取後にコエンザイムQ10の血漿濃度を上昇させる」National Library of Ⅿedicine

胡椒の種類と使い方

胡椒の主な種類は、ブラックペッパー以外にも、ホワイトペッパーやグリーンペッパー、ピンクペッパーがあります。それぞれ特徴があり、用途に合わせて利用されています。
胡椒の種類と使い方をみてみましょう。


「詳しく知りたい方はこちら→★胡椒の種類と特徴を解説。使い分けて楽しむ胡椒とお料理。」


グリーンペッパー

グリーンペッパーは、こしょうの実を未熟なうちに収穫し、乾燥させたり塩漬けにしたりしたものです。
緑色でフレッシュな風味と辛味を持つのが特徴です。
タイ料理やカンボジア料理では具材として炒め物等に使われています。肉料理、魚料理共に相性が良く、フランス料理やタイ料理、カンボジア料理でよく使われます。

【使い方】緑色のきれいなグリーンペッパーは、料理のトッピングとして使うのがおすすめです。カルパッチョやサラダ、スープなどにそのままトッピングしたり、ピンクペッパーなどと一緒に使うととてもきれいな彩りに仕上がります。
また、フレンチなどではソースに使われます。オリーブオイルやマヨネーズとも相性が良く、彩りだけでなく爽やかな風味や辛味を楽しむことができます。


ホワイトペッパー

ホワイトペッパーは、完熟した実を収穫し、水に漬けて乾燥させ、柔らかくなった外皮を剥いたものです。
マイルドな香りとピリッとした辛みが特徴です。

胡椒を薬用で使用する時に使われる場合にホワイトペッパーが使用されています。

【使い方】魚料理との相性が良く、ソースやスープ等によく使われます。胡椒の辛みだけを料理にプラスしたいときや、ペッパーの色を目立たせたくないクリーム系の料理、白身魚などのたんぱくな素材の風味を活かしながら辛味付けをしたい場合にぴったりです。


ピンクペッパー

ピンクペッパーは、胡椒に分類されることが一般的ですが、じつはコショウ科の植物ではなくウルシ科の植物の実で、胡椒とはまったく別物です。見た目がピンク色で胡椒に似ていることからピンクペッパーと名付けられました。
スパイシーでほんのり甘みがあり、華やかで刺激的な香りがします。ブラックペッパーのような辛味はなく、さわやかな酸味とフルーティーな甘みがあります。

【使い方】肉料理や魚料理、パスタなどはもちろん、カルパッチョやマリネ、サラダやムース、パテなどの前菜など、多くの料理の彩りや味のアクセントになります。加えるだけで料理を華やかにしてくれます。


「詳しく知りたい方はこちら→★ピンクペッパーとは?簡単便利な使い方やおもてなしにも大活躍レシピ。」

ブラックペッパーの形状と使い方

販売されているブラックペッパーの形には、粒、あらびき、パウダーなどがあります。
それぞれの特徴や使い方をご紹介します。


粒(ホール)

粒(ホール)のブラックペッパーは、胡椒の実を摘んで乾燥させ、それ以上の加工をしていないものです。
胡椒の香りは挽いて空気に触れると弱まってしまうので、挽いていない粒の胡椒は香りが長持ちします。
その特徴を活かして、ゆっくり香りを引き出したい煮込み料理や、マリネ液などに入れるのがおすすめです。

また、瓶や鍋の底を使って潰して砕くこともできます。砕いた時に香りが立ち、フレッシュな風味が楽しめます。粗めの粒になるので、ペッパーステーキなどの下味に使って食感を楽しむのもよいでしょう。


あらびき

あらびきのブラックペッパーは、粒のブラックペッパーをミルで粗く挽いたものです。
香りが引き立ち、具材全体に風味をつけることができるうえに、粒をカリっと噛んだ時に口の中にひろがる香りを楽しめます。

魚料理の臭み消しや、黒胡椒焼きのような素材の表面にまぶして焼いたり、カルボナーラやリゾット、スープなどブラックペッパーを活かしたい料理におすすめです。


パウダー

パウダーは、ブラックペッパーを粉末状に加工したものです。
粒やあらびきの胡椒は噛むと辛味を感じますが、粒子の細かいパウダータイプは、素材に馴染みが良く、辛味は感じにくくなります。
形状が細かいため香りが立ちやすいことも特徴です。
食べる前に料理にかけると、豊かな胡椒の風味を楽しめます。

ハンバーグなどひき肉に練りこんだり、ステーキやソテーの下味付け、野菜炒めや炒飯、料理の仕上げに振りかけるなど、さまざまな使い方ができます。
クミンやコリアンダーなど他のスパイスとブレンドして、スパイスカレー作りにも活用できます。


フラックペッパーのレシピ

ブラックペッパーのワイルドな風味や辛味を活かした簡単本格レシピをご紹介します。


濃厚カルボナーラ

・スパゲティ 100g
・お湯 (ゆで用) 1ℓ
・塩 (ゆで用) 小さじ2
・ブロックベーコン 80g
・牛乳 150ml
・卵黄  2個
★コンソメ顆粒 小さじ2
★粉チーズ 大さじ2
・有塩バター 20g

〈トッピング〉
・卵黄  1個
・ブラックペッパー (粗挽き) 適量

1.鍋でスパゲッティを袋の表記通りの時間茹で、湯切りする
2.中火で熱したフライパンにバターを入れ溶けたら、短冊切りにしたベーコンを焼く
3.焼き色が付いたら①と牛乳、★を加えて中火のまま混ぜ合わせる
4.全体がなじんだら火から下ろし、卵黄を加えて混ぜ合わせる
5.お皿に盛り付け、卵黄をのせ、ブラックペッパーを振りかける

ブラックペッパー香る濃厚カルボナーラの完成♪
卵黄を入れるときは必ず火を止めてから入れ、手早くかき混ぜて下さい。
生クリームがなくても牛乳で濃厚なカルボナーラが作れますよ。
アスパラやマッシュルームなどお好みで具材をプラスしてみてください。


サーモンの漬け丼

・サーモン (柵) 200g
★めんつゆ 130ml
★ごま油 大さじ1.5
★ブラックペッパー(ホールor粗挽き) 小さじ1
★ゆず胡椒 小さじ1
・卵黄 2個
・大葉 2枚

1.ボウルに★を入れて混ぜ合わせる
2.サーモンは1cm幅に切り、バットにおき、①を入れて冷蔵庫で半日漬ける
3.器にご飯をよそい、大葉を敷き、サーモンを盛り付け、中央に卵黄をのせる

スパイシーなサーモンの漬け丼の完成♪
漬け込み時間は、お好みで調整してください。

ピリッと辛いブラックペッパーで味が引き締まります。
卵黄を絡めて食べると、まろやかになりますよ。
刻み海苔やネギをトッピングしても美味しいです。


簡単!ガーリックシュリンプ

・むきえび 150g
★チューブニンニク 3㎝
★オリーブオイル 大さじ1
★白ワイン 大さじ1
★塩 小さじ1/2
★ブラックペッパー(ホールor粗挽き) 少々

1.むきえびの背ワタを取り除き、サッと洗って水分をふく
2.ボウルにむきえびと★を入れて軽く混ぜ、冷蔵庫で30分程ねかす
3.フライパンを温めて、②を全部流しこんでむきえびに火が通るまで炒める

お皿に盛り付けて完成♪
お好みでバジルやパセリをかけても風味良くなります。
とても簡単!お酒のおつまみにも。


手羽中の甘辛揚げ

・手羽中 20本
・塩こしょう 数ふり
・片栗粉 大さじ2
・サラダ油 
★しょうゆ 大さじ2
★みりん 大さじ2
★砂糖 大さじ1
★酒 大さじ1
★すりおろしにんにく 小さじ1/2
★すりおろししょうが 小さじ1/2
・ブラックペッパー(粗挽きorパウダー) 適量
・白ごま 大さじ1~2

1.★を混ぜておく
2.手羽中をポリ袋に入れ、塩こしょうをし片栗粉をまぶす
3.フライパンに手羽中が少しつかるくらいのサラダ油を入れ、強めの中火で6~7分揚げ焼きにする
4.片面に焼き色がついたら裏返し、全体に焼き色がつくまで揚げ焼きにする
5.手羽中に火が通り、全体にカリッと焼き色がついたら、キッチンペーパーで余分なサラダ油をふき取り、①を加え煮詰める
6.仕上げにブラックペッパー、白ごまをふる

手羽中の甘辛揚げの完成♪
辛味を漬けたい場合は、コチュジャン小さじ1くらいを加えると韓国風の味付けになりますよ。
あとひく美味しさで、おかずにもおつまみにもピッタリの一品です。


ベーコンポテトサラダ

・ベーコン 80g
・じゃがいも 3個(450g)
・玉ねぎ 1/2個
・油 小さじ1
・ブラックペッパー(粗挽きorパウダー) 少々
★マヨネーズ 大さじ4
★塩 小さじ1/4
★こしょう 少々
★粒マスタード 大さじ1

1.ベーコンは1cm幅にきり、玉ねぎは薄切りにする
2.じゃがいもはよく洗い、皮付きのまま濡らしたキッチンペーパーにひとつずつ包んでラップで巻き、600Wのレンジで5分加熱して皮をむく
3.フライパンで油を熱し、ベーコンを入れて油が出て来るまで弱めの中火で炒め、玉ねぎを加えてしんなりとするまで2分程炒め合わせ、火からおろして粗熱をとる
4.ボウルにじゃがいもを入れてフォークなどで粗めにつぶし、★を加えて混ぜ、③を加えて和える
5.器に盛り、ブラックペッパーをふる

満足感たっぷり!ベーコンポテトサラダの完成♪
シンプルな食材で、食卓の存在感抜群の一品です。
じゃがいもは熱いうちに潰してください。
にんじんやきゅうりを入れたりアレンジもおすすめです。


ブラックペッパーの賞味期限・保存方法

【賞味期限】
保存環境が余程悪くない限り、未開封の場合は記載されている賞味期限が過ぎていても使用することができます。
ただし、年月の経過とともにスパイス本来の風味が落ちてしまうので、できるだけ早く使ったほうが美味しく食べられます。
目安は、パウダー状のもので1~2年、ホール状のもので2~3年です。
一度に大量購入する場合は、ホール状のものを買って使うたびに挽く方が、長持ちします。

開封後は、香りや風味がどんどん落ちていきます。特にパウダー状のものはホール状に比べて劣化の速度が非常に早くなります。そのため、開封後は半年程度を目安に使い切ってください。

【保存方法】
保存場所は、直射日光が当たる場所や、高温多湿な場所は避けましょう。
また、温度差が大きいと結露が発生し、湿気ってしまう恐れがあるので、温度変化の少ない場所に保存しましょう。


まとめ

胡椒の一種であるブラックペッパーには、辛味成分ピぺリンが豊富に含まれ、さまざまな優れた効果・効能が期待できます。
芳醇な香りとシャープな辛みが特徴で、どのような食材にも合い、特に香りを積極的に楽しみたい料理におすすめです。
ホール、あらびき、パウダーの特徴を活かして普段の料理に活用してみてください。


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